第35話「下町とネット」
キーンコーンカーンコーン
はい。授業おしまい。ホームルームも終わって次はお待ちかねの部活動。とても楽しみにしている
…でも前に行ったあの家はどうも廃墟にして壊すとの連絡があった。大丈夫かな呪われないかな
まあ大丈夫か。『者』はすでにチリにしたし祭壇に何があるかちょっと怖いけどなんとかなるでしょう
さあ、行こう
「おーい。愛子」
おや、誰かが私を呼ぶ声がした。先輩でも無さそう。その方向に向く
「あ!美優ちゃん」
彼女はもうなんだかオカルト部でもないのに準レギュラーに近い人だ。なぜならネタを提供してくれるし
「実はさ、アンタたちにどうしても調べてほしいところがあるんだ」
「うん。いいわよ」
そう言って私と美優ちゃんは一緒にオカルト部の部室に向かう
~
「先輩たちお疲れ様です」
「よっす先輩たち」
私と美優ちゃんが部屋に入るとすでに雅先輩、桃子先輩、そして私のかのぴ妙子ちゃんがいた
「あら…貴女?」
「どうも。美優っす」
私は妙子ちゃんの隣、美優ちゃんは桃子先輩と妙子ちゃんの席の間ぐらいの席に座った
「美優さん。もしかしてオカルトですね?」
「そうっす!みんなに見てもらいたいものがあるんですよ」
美優ちゃんはスマホを取り出す。また曰く付きの森林のような動画を見せるだろうか
「愛子や先輩たちに見せてほしいのはこれっす」
美優ちゃんのスマホを私たちに向けて動画を再生するボタンを押した
まず最初に見えたのはどこかの街の風景だった。その次に女の子の映像が流れる
『こんにちは!今回はですね、この白坂街の下町にある神社に行きたいと思います!』
白坂街の…下町?
「この街の沿岸沿いにそういう街があるんだ」
動画を再び見ると色んな家と建物があった
『いや~。色々とありますね。とてものどかで、散歩にはうってつけでしょうか』
女の子はのんびりと歩いている。なんだオカルトちっとも関係ないじゃない
「これ本当に怖いシーンあるの?」
「ここからなんすよ」
少しの間。黙って見るとその神社というのに着いたらしい
『着きました~。さあ早速中に入りましょう~』
その神社というのは階段を上がり、鳥居を抜けて歩くところだった
「…何が起こるのですか?」
すると、異変があった。その映像からは何か、浮遊してるものがある。参道の横に何かがあった
『ちょ、〇〇ちゃん…!』
この声は撮影してる人の声だろう。撮影をしている前の女の子より人魂と言っていいだろう。そんなものを写していた
『わ、わあ!なんかこれ…人魂!?』
「人魂がこんなくっきりと見えるなんて!」
私は思わず大きな声で言う
『に、逃げよう!なんだか危ないよ!』
その子とカメラの人は画面が揺れるように走って逃げているのだろう
…そこで映像が終わった。なんとも言えないことだった。しかし下町にそんなのがあるとは
「…な?こんな感じだよ」
私。妙子ちゃん、雅先輩、桃子先輩。みんな納得していた
「でも…撮影しても見える人魂なんて…あるの?」
「…多少なりともあるでしょう。結構濃い人魂かもしれない。ただ浮遊してるだけか怨念があっているだけか…」
怨念…か
そう思っているといつの間にか雅先輩は地図を広げて白坂街を確認していた。そして下町を指す
「ここね。でも…ここは学校から遠いし今行くと確実に夜になってしまうわ」
確かに。下町は学校から遠いことがわかった。今行くと夜になるだろう
「いつかでいいっすよ。アタシ、ネタ提供しただけっすから」
「わかったわ。美優ちゃんありがとね」
「…じゃあ今度、休日を使って行ってみましょうか」
そう言ってみんなうなずく
「あ。そうだ。実はもうひとつネタっぽいものがあるんすよ」
美優ちゃんは突然話題を変える
「まだあるの?いいわよ?」
雅先輩が言うと美優ちゃんは少しスマホを動かしてから見せた
「皆さん、つぶやきマンって知ってますよね?」
つぶやきマン?ああ、SNSのことか
「ええ。知ってるわよ」
「もちろん私も知ってる」
私と雅先輩は言う
「はい。父がそれに近い会社勤めなのでわかります」
「…ウチは知らない」
桃子先輩は知ってるけど妙子ちゃん知らないのか
「妙子ちゃん。これはSNSって言ってネットに繋げて誰でも文字を公開できるサービスなんだよ」
「…ふうん」
あまり反応無し。全然興味ない顔してる
「で、そのつぶやきマンは色々なやつがいるんすよ。で、結構ヤバいやつがいるんです」
美優ちゃんはそのヤバいやつと言うページを開いた
まずそれ、アイコンがなくてヘッダーもない。名前は「あ」でIDも初期のままだ
しかも最初のつぶやきで『ネットに関わる嫌いなやつをまとめました~』というつぶやきで画像もある
「…何よこれ」
妙子ちゃんは無反応だったが私と雅先輩は嫌な顔に。桃子先輩はあらあという顔をした
「うわあ…否定文ばっか。この性癖はおかしいとかこういう行動するやつはだめとか絵の否定とか凄いわねこれ…」
正直ドン引きである
「なんかこいつ、バズっているししかも共感者?みたいなのもあって今結構炎上しているにもかかわらず投稿してるんだ」
「炎上商法ですか…それは困りますね」
桃子先輩は初めて嫌な顔をした
美優ちゃんはそいつのつぶやきをゆっくりスクロールした。すると私は見知ったものがあった
「あ、あれ?これ渚ちゃんのVTuber?」
そう。私はあの渚ちゃんのアバターを見た
「うん?これ確かに渚のVTuber姿だな?」
よく確認してよかった。そいつのベージに変なことが書かれてあった
「えーと何々…『突然VTuberになったやつ』『VTuberなんて下品だしやめちまえ』『チヤホヤされたいだけのネット活用かよ』だって」
ちょっと嫌な予感がする
「ね、ねえ美優ちゃん。渚ちゃんのVTuberの名前知ってるよね?」
「ああ。ナズナだろ?」
そう言って美優ちゃんは恐らくフォローしてるのか渚ちゃんのアカウントを開いた
「で、どうした?」
「コメント欄に…何か書かれてない?」
ますます嫌な予感がする。美優ちゃんはあっ!という顔をした
「お、おい…『調子に乗っているてめー。特定して懲らしめてやるからな』…っていうコメントあるぞ!」
「あ、危ない!渚ちゃんが…!本当に危ない!」
「…とりあえず全員で行きましょう。そして不審者を懲らしめてあげましょう。美優、ついてきてくれる?」
妙子ちゃんは冷静な口調で言う
「わかった!万が一ってときがアタシが不審者をとっ捕まえる!」
私たちは急いで帰りの支度をして渚ちゃんの場所まで向かうことになる
渚ちゃん…!
急いで行くからね…!
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