第34話「悪意の家その2」
てくてく
大友さんに引き連れられて私たちは歩きだす。でも駅の向こう側、住宅街にそんなのがあるなんてね
この辺は歩いたことがない。でも色々な場所には行ってるから全然知らないというわけではなかった
廃神社から、散歩道まで…そういう住宅街に近い場所に行ったから初見ではなかった
しばらく歩くととある一軒家の門で止まった。ここだろう
「ここ…なんだ」
大友さんの表情が暗い。その一軒家を見るとごく普通の一軒家という感じ。何も変なところはない新築のような家だった
私は周りを見る。庭もある。ロフトもある。もしかして屋根裏もあるのか?どこも怪しい場所ではない気がする
「…とりあえず中に入ってみないとわからないわ」
「そうね。入ってみましょう」
私たちは大友さんが玄関の鍵を開けて入っていく
その玄関は良い玄関だった。何ひよつ悪いところはない。きれいな玄関だった
だが…何かを感じる。この世のものでない。何かを。私たち霊感のある一行はその何かを感じた
「…一応、あがるわね」
私たちは靴を脱いで玄関をあがる。そしたら、聞こえた
『…カエレ…カエレ…!』
「ひっ…!あの声だ」
大友さんはとても怖がっていた。なるほど確かだ。だが、私たちは全然驚かない。雅先輩も桃子先輩も、そして妙子ちゃんも
まずはリビングに行こう。相変わらず何か言ってるが無視
リビングはテーブルと言ったものはないが、冷蔵庫はあった。何かあるのか?
「…なんにもないわね」
「待って愛子。下手に動くともしかしたらポルターガイストがあって食器が落ちてくるかも」
…おっとあの動画を見てなかったらそうなったのかも
「大丈夫です。食器はないよ。安心してくれ」
大友さんが言う。ならここを調べてみよう。私たちはこのリビングを調べることにした
「何か地下とかないかしら」
雅先輩先輩は床を集中して調べている
「確かに地下があったら怪しいですよね」
私も地下がないか確認した
「…ここに霊感はないけど…やたらと水晶玉は光っているわね」
やぱり怪しいとは思う
しばらくして私たちはリビングを調べたが特別怪しい部分は無かった。地下への入口があるかと思ったら無かった
「…ありませんね」
桃子先輩は周りを見て言う
「実はここは地下というのはないんだ。調べてもらって申し訳ないけどさ」
なるほど。大友さんが言うならないのだろう
「2階、行きましょうか」
私たちはリビングを後にして階段を登る。しかし、あの声が更に響く
『…サレ!…カエレ…カエレ…!!』
なんでこんなにカエレと言うのだろう。ますます怪しい。大友さんは怖がっているが、私たちは全然平気だ
2階に上がると個室がちょこちょことある階層になった。ここらへん怪しいなあ
「まずは階段手前の部屋から」
がちゃ…
個室だった。しかし何もない。こんなところに何かあるだろうか?
「引き出しがあるわ」
そのドアを開けると中身は何も無かった。ここは何もないに違いない
「じゃあ次へ」
私たちはこの階層の個室を全部調べようとした
…結果的にはなにも無かった。全部の個室には何もなく、しかもいつでも声が聞こえてよくわからない
「おかしいわね~。何もないじゃない」
「…ウチ一応水晶玉を持ってるけど光っているのは確かだわ」
「光っていると言う事は霊がいるってわけですよね?」
でもそれがわからない。何が。どこに。あるかわからないのだ
「…困ったわね…あ」
私を天井を見上げたら何かがあった。そう何かが
「…どうしたの愛子?」
「これ…屋根裏部屋に行けるやつだよね?」
私が指指すとその屋根裏に行けるものがあった
「ま、まさかここ!?」
「可能性が高いですね…」
後ろにいた大友さんが言う
「屋根裏の部屋に行ける鍵はあったはず。僕が用意するよ」
そう言って大友さんは下に降りた
「しかし…よく見つけたわね愛子?」
「たまたまだよ。上をなんとなく見ただけよ」
すると大友さんが戻り、屋根裏に行ける棒を持ってきた
「これで行けるはずだ。僕に任せて」
屋根裏に行ける棒。いわばつっかえ棒だろうか。それを穴を通し、開けて、階段が現れた
しかしその瞬間。声がますます響き渡る。更に警告のような声が
「うっ…!凄い声だ…!」
「後は任せてください」
私たちはゆっくりとその屋根裏へと向かう階段を上がっていく。ここだ。間違いなくここが一番怪しい
大友さんは下にままでいて私たち4人は屋根裏に上がる。すると見たものがあった
「…これ何?なんかの儀式でもやってたの?」
大きいとは言えないが小さいと言えない屋根裏には祭壇みたいなものがあった
何かを祀るような、まるで悪霊を降臨させるような、そんなようなものがある
その祭壇の前には人の形をしたものがあった。これが恐らくさっきから声を発した者だろう
私たちは見た。その『者』が動いたのが。ゆっくりと起き上がり、そしてその『者』が言う言葉を
『…カエレ…!…シネ…!』
ここまで来てそれはできない。私たちは臨戦態勢に入った
「『者』よ!沈まれ!」
まず先手で妙子ちゃんがすでに用意されたお祓い棒で動きを鈍くする
「よーし!投げつけるわよ!」
「清めの塩をくらいなさい!」
雅先輩、桃子先輩は清めの塩を『者』に向けて投げる!効果はあったようで更に鈍くなり弱っていく
私も御札を用意して『者』に貼ろうとする!今だ!
「うりゃあああ!」
勇気を持って貼る!するともうお祓い棒と清めの塩が効いているのか最後の御札であっという間に機能停止した
『あ…あ…』
…気の所為か最後はまるで人が喋っているかのような声がした。さっきまで怨念の声だったのに
『者』は完全に消えて、灰になった。これにて除霊完了ってとこね
「…一体…どうしてこんなとこに祭壇みたいなものが…」
「…わからないわ…それは前に住んでた人に聞いてみるしかない」
私たちは声も聞こえなくなった祭壇を目の前にして、『者』との戦いを終えた
すると。すでに上がったのか大友さんが来てくれた。その祭壇にびっくりした様子だった
「これは…一体…!?」
「大友さん、何かわかりますか?」
大友さんは祭壇を見て考えていた
「いや…わからない…もう…ここは家を取り壊す必要がありそうだ…」
大友さんはどこかまだ怖がった様子で私たちと祭壇を見ていた
この屋根裏という存在を知らなかったのだろうか?それともわかっていても祭壇というのをわかっていなかったのだろうか?
なんとも後味が悪い今日のこと
悪意ある家、ね…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます