第33話「悪意の家その1」

キーンコーンカーンコーン


…はぁ。やっとテストが終わった。みんなそう思っているだろう。高校生になるとこういうテストは定期的にある


妙子ちゃんは無事にテスト終わってるかしら。でも妙子ちゃんって頭良いらしいから安心できるけど…


問題は妙子ちゃん曰くぶっちぎりに頭わるい雅先輩。彼女は本当に大丈夫だろうか


でも…色々なところ行ったなあ。この学園の近場の場所だったり遠く離れた場所だったり、色々な場所に行った


むしろこの区内でもまだオカルトっぽいところはあるのだろうか?だいたい行ったからもうないとは思う


そんなことで今日でテスト終わり。みんなテストの重圧が終わって色々と部活動も再開という形になっている


さっき言われたがオカルト部もまたやるらしい。いつだろうか?今日かな?


様々な人たちがそれぞれの部活動や帰宅をする。さあ、私も行こうか


「おーい。愛子ー」


おや?誰か私のことを呼ぶ声がした。その方向に向くとロングヘアーの青い髪をした人。雅先輩だった


「雅先輩!」


私は当然この人をとても尊敬している。頭が悪いことは除いて


「愛子。今日はね。早速依頼があるのよ」


「依頼?誰ですか?ところで雅先輩はテスト大丈夫だったのですか?」


依頼は気になるがまずは彼女自身のテストはどうだったか聞いてみる


「テスト?あーっはっは!大丈夫よ~!わかっていると思うけど桃子がいるから教えてもらって余裕だったのよ!」


…まあ嘘ではないだろう


「余裕…よかったですね」


その笑いでおそらく大丈夫だと思った。と


「さ、行きましょう。もうすでに桃子と妙子はいるわよ」


「はい先輩」



「桃子先輩。妙子ちゃん」


「まあ愛子さん。テスト、どうでしたか?」


「…大丈夫よ桃子。愛子はできるから」


私と雅先輩はオカルト部の部室に入り座る。対面式で隣の妙子ちゃん。そして雅先輩と桃子先輩となる


この4人でやってきたもう戦友と言っていい、大切な人たちなのだから


「で、本題に入るけどある人にね。家を調べてほしいっていう依頼なのよ」


家?なんだろうか


「そこの家は、何かノイローゼになりそうなほど何かどこかで声が聞こえて…どこから聞こえるのかわからないのよ」


…これは霊の仕業?


「…本当ならママがやるべきなんだけど、今ママいないから私たちにお願いされているの」


なるほど。今妙子ちゃんのお母さんどこかに行ってるのね


「とりあえず、その家を管理してる不動産屋さんに行こうってことになってるの」


そして私たちの出番になったってわけか


「わかりました。みんな行きましょう」


私の合図で4人は立つ


「…その前にお腹が空いたわね」


「時間指定されてます?」


「いや、いつでもいいとは言われたわ。だから昼ごはん食べてからにしましょう」


こうして私たちはまずはどこかでごはんを食べてから行くことになる



「ふぅ~!満腹だわ~!」


「もう雅さんったらいっぱい食べて…」


私たち4人はファーストフード店に行き食べた。これで気合は十分になったところで行く


「…おっと、そういえばその不動産屋はすぐ近くだったんだ」


そう言って雅先輩は3人をエスコートするように先頭に立って歩く


歩いていると、ふと懐かしい気分にさせる空き地があった。すでにない、妙子ちゃんと行ったところ


「…雑居ビル」


立入禁止の看板が建てられ今は空き地のこの場所。私と妙子ちゃんでこの雑居ビルの『者』を沈めたとこ


…まだ全然日にちが経ってないのに懐かしい気分になった


「どうしました愛子さん?行きますよ?」


「あ、ごめんなさい」


私たちは不動産屋に進む


しばらく歩いた後に着いた。駅から離れたビルの一階。そこには看板に「大友不動産」と書いてあった


「…ここね」


雅先輩は遠慮なく入っていった


そこに行くとドアの前にカウンターみたいなものがあり、その後ろにテーブル、ソファがあった


更にその後ろには不動産屋のスタッフが仕事するであろうデスクがある。まさに普通の不動産屋といった感じね


私たちが入るとカウンターの後ろにいた人がこちらに来た


「もしかして依頼の人ですか?」


その人はメガネをかけていてスーツを着た真面目そうな男性であった


「はい。そうです雅です」


「ああ、良かった。早速みんな座ってくれないか?」


私たちは指示どおりにソファにすわる。うーんソファが気持ちいい…


「はじめまして。僕は大友と言うんだ。一応この地区での管理人。色々な人に家やマンションを提供してる人なんだ」


大友さんは笑顔で話す。あまり陰キャの雰囲気はしない。ちゃんとした真面目な人なのだろう


「…で、大友さん。ウチらに依頼は何かしら?」


妙子ちゃんは言うと大友さんは少し暗い顔をする


「うん。実はとある家が曰く付きのような家があってね…なぜそうなったのかもわからない。とりあえずこれを見てほしい」


「これ?」


大友さんはスーツのポケットからスマホを取り出し少々動かして私たちに見せた


その映像には最初に家の玄関が映し出す。そして上がっていくと何か聞こえた。そう、まるでこの世のものでない声が


『…カエレ…キエロ…カエレ…!』


「なっ…!」


その声は奥に進むと更に反応があった。リビングに行くと更に異変が


ガタガタ…!ガタガタ!


リビングにある棚や窓が思いっきり音が鳴るまるで何か人間がやってるかのような音がした


しかもまだ昼間。夜なら多少わかるとは思うのに、昼からこんな現象が起きてびっくりしてしまう


…ここで動画が終わっていた


「大友さん…これって」


「僕が写したやつさ。理由も現象も全くわからない。むしろ何かいるのは確かだ。だがその何かがわからない」


大友さんが言うと妙子ちゃんはポツリと言う


「…ポルターガイスト。ね」


「ポルターガイスト…」


それ、どこかで聞いたことある


「ポルターガイストなら家に移り悪さをするでしょう。でももしこれが悪霊、見えない『者』だとするとそういうことになるでしょう」


なるほど。悪霊の家ってやつね


「本当ならこんな悪い仕業をする家をこんな若い人たちにやらせたくはないのだけど…」


「…大丈夫よ大友さん。ウチらは幾度も悪霊を追い払うことをしてたから。行きましょう」


妙子ちゃんは本当に頼もしい。だから私はこの人を好きになれたんだと思う


「雅、桃子。一応清めの塩をいつでも取り出せるようにして。愛子。愛子もいつでも御札を取り出せるようにしてね」


そう言われて私たちは荷物の確認をして用意する


「ええ。ばっちりよ」


「わたくしも万が一はやります」


「私も準備できてるわ」


なんて頼もしい人なんだろう。と大友さんは思っていると思う


「…ありがとう!では、早速案内するよ」


私たちは大友さんに連れられてその家に向かうことになった



悪霊の家…か


何が始めるのだろうか



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る