第32話「夜の会話」

「…ふー。今日は凄い怖い思いしちゃった」


私たちは帰り道を通っていた。あの神隠しと呼ばれるところはもう二度と行かないことにした


もしやよさんが来てくれなかったらあの世界で私は死んでたであろう。そのぐらい怖い思いをした


私を助けてくれたやよさんはどこに行ったのか?それは一切わからない


「…良かったわね愛子。無事で何よりだわ」


「本当にね。やよさんのおかげだと思うよ


みんな安心したかのように言う。何度も言うが本当にそうだ


私たちはそんな怖い思いをして駅前に着いた。ここでみんなとお別れだ


「先輩たち。妙子ちゃんそれじゃあまた」


「ええ。お疲れ様愛子」


「また会いましょう」


雅先輩と桃子先輩は去っていく。駅前に私と妙子ちゃんが残った


「妙子ちゃんって違う路線の電車だよね?」


「…ええ。雅と桃子とは違うのよ。本当だったら行きたいんだけどね…」


確かにそうだ。こんなたくさんの経験をして刺激をもらっている4人は戦友であり、一番の友達だと思うから


雅先輩と桃子先輩。最初の学校のことからさっきの神隠しのことまで。ほとんど4人でやってきた


だから、大切な先輩と恋人、ずっと一緒にいたい。妙子ちゃんと2人きりになるのもいいけどね


でも先輩もいなきゃだめだ。4人でやってきたのだから。1人欠けてもだめ。そういうことだ


「…ねえ愛子」


私はちょっと考えていたが、妙子ちゃんは私の体をぎゅっと抱きしめた


「…今度、4人で星輝街に行きましょう。そこにもオカルトがある。それを暴いていきましょう」


「うん。先輩もそうだけど妙子ちゃんとならどこまでも」


妙子ちゃんから伝わる優しい体温。優しい香り。こんな人を恋人にして本当に嬉しい気持ちでいっぱいだ


「ここでは無理だけど…後で会話でいちゃいちゃしましょ?」


「うん。妙子ちゃん大好き」


そう言うと妙子は体から離れた。そろそろ帰るのだろう


「またね。愛子。愛しい人」


そう言って先輩とは違う路線の駅の改札口に入った妙子ちゃん


「…私も帰ろう」


この駅は色々な路線があるため私も別の路線で帰ることになる。本当は一緒が良かったけど



私は家に帰った後早速ごはんを食べていた


帰りが遅いのは相変わらずだがそのことで親はあまり言ってこないから安心だ。高校生になって門限もないし


…でも妙子ちゃんが言ってたが4人であの街に行くとしたら一体どういう手順で調べることになるだろうか


どこから?どこまで?いつになる?まあそこは先輩たちとの話し合いで決めるね


「…愛子!」


おっと!お兄ちゃんが何か言ってる


「どうしたの?」


「愛子…お前最近表情が凄い明るいな。遅く帰ってきても明るいぞ?」


明るい?ああ、きっと妙子ちゃんと付き合うことになって嬉しい気持ちでいっぱいなのだろう


「最近先輩と仲良くなれて嬉しいのよ」


「そうなのか。板垣妙子とも仲良くしてるのか?それならいい」


まあ、妙子ちゃんの場合恋人同士だからそれの影響もあるわね


「でも気をつけてね。オカルト部はいいけど、危険なことしちゃだめよ?」


「そうだ。可愛い娘が怖い思いしてしまったら親としてよくないからな」


母と父は言う。そうだねえ。危険と感じたら逃げるのも手だと思うなあ


「わかった。気をつけて部活動するね」


「俺もまあ…ちょっと危険なところに行くことがあるが…とりあえずお前はまだ若いからな」


若いからと言って危険なことはだめと言われる。若い女の子が危険があるのはだめなんだろう


でも、大丈夫。妙子ちゃんもそうだが先輩たちと行けば怖いものなんてない


安心してね。私は大丈夫だから。みんなを頼りにしているから



部屋に戻った後そういえばそろそろテストの時期だと思って勉強する


テスト期間は当然部活動はできない。私は渋々と言っていい感じに勉強する。あー、めんどう


前に聞いたが雅先輩は勉強が苦手らしく赤点を取ってしまったら部活できないほど危険なことになってる


桃子先輩は頭良さそうなイメージあるから桃子先輩が教えているのだろう。大丈夫だろうか


妙子ちゃんは…どうなんだろ?彼女の頭の良さはあまり聞いてない気がする。恋人なのに


だがスマホは没収されないためいつでも妙子ちゃんの会話はできる。今でも彼女の会話を聞きたい気分


先輩たちは大切だが妙子ちゃんはもっと大切。可愛いし美人だし。きっと頭が良いと思う


ある程度勉強した。ふー。次は妙子ちゃんに連絡しようっと


会話アプリで彼女にメッセージを送る。するとすぐに連絡をくれた。凄い嬉しい


妙子ちゃんもやっぱり勉強してるらしい。まあテストなんて全学年そうだろうしね


そして彼女から連絡の通知が来た。やった!話すことができるわ!


「もしもし妙子ちゃん?」


「…こんばんは愛子。勉強、してるわよね?」


当然。そう思った


「うん。でもそこまで大したことないからね」


「…そう。今ごろ雅なんかは頭沸騰して勉強してると思うわ」


…やっぱり雅先輩頭悪いのか


「それ前聞いたけど雅先輩って頭悪いの?失礼だけど」


「…うん。桃子と付き合う前は学年ぶっちぎりのワースト1位をとってやばいことになったらしいからね」


うわあ…マジもんの頭の悪さ…


「…でも。頭の良い桃子と付き合ってからはある程度大丈夫になったのよ。…それでも悪いけど」


「じゃあ今は桃子先輩と一緒に勉強しているんだね」


「…そうでしょう。ワーストにはなってないだけましよ」


うーん。雅先輩も大切な先輩だから部活行けないのはちょっとつらいし厳しい


「頑張ってもらいたいね雅先輩」


「大丈夫でしょう…。こういう勉学は苦手ってだけよ」


私は雅先輩と桃子先輩が同じ勉強をしているのをイメージした。2人の邪魔しちゃいけないか


「…最近ウチね。ママやパパから元気で明るくなったねって言われたの。これも愛子のおかげだと思うわ」


「嬉しいわ妙子ちゃん。私もさっき元気で明るいねと家族に言われたのよ」


当然だ。私と妙子ちゃんは恋人なのだから


「もう。入院しなくて大丈夫になった?」


「うん。元気だから、心配いらないわ…」


良かった。でも無理はしないでほしいなあ


「妙子ちゃんのこと、好きで好きでたまらないから」


「ウチだって。愛子のこと、大好きなのよ」


かのぴ大好き


「…そうだ。さっきね。ちょっと恥ずかしいけど愛子が元気になりそうな画像撮ったのよ。そろそろ寝るから送るわね」


「そうなんだ?」


私が元気になる画像?ホラーかしら


「じゃあね愛子。今日はこのへんで。おやすみ」


「うん!おやすみ!」


ぷつん


会話が終わった。ちょっと短い会話だったけどいいでしょう


そして私の会話アプリから画像が届いた。どれどれ、何かしら。その画像を見たら凄い良かった


妙子ちゃん。かのぴの下着姿だった。下着で恥ずかしそうに鏡の前でピースしてる姿だった。私は嬉しい気持ちになる


ああ~!やっぱり妙子ちゃんを恋人にして正解!!こんな画像が届いたら当然嬉しい気持ちになるわよ~!


そんな興奮と幸福を満たされつつ私は誰にも見せないように画像をダウンロードしてスマホ内の隠しフォルダへと移動させた


ふふふ…妙子ちゃん。だーいすき



私は寝れそうで寝れなかった


あんなの送ってきたら興奮しちゃうでしょ~



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