第31話「神隠しとやよ」

「ここが、神隠しの神社…」


まるでうっそうとしたこの神社。私、妙子ちゃん、雅先輩、桃子先輩は見ていた


参道の先にある神社はやや潰れかけている。そこに行くと神隠しにあうのか?それはわからない


ちょっと間は4人でその神社の前にいた。本当なのだろうか?花乃ちゃんの言葉を信じていないわけではないが


妙子ちゃんは早速水晶玉を用意した。ここに悪さをする霊がいるだろうか?


「…みんな行くわよ」


妙子ちゃんは先頭に立ちゆっくりと慎重に歩き始める


参道の鳥居をくぐり抜けて神社の方向へと向かっていく。一歩ずつ、ゆっくりと歩いて行く


ちょうど参道のもうひとつの鳥居だろうか。私は何かを感じた。まるでどこかに連れて行かれそうな気分がした


これはまずいのでは…!?そう思ったがもう遅かった。私はすっと意識が消えた



「ん?ん~」


私が目覚めると竹林にいた。なんだここ?地面はあり。左右に竹があり、そして道がある


まさか…神隠しとは本当だったんだ…!私は思わず大きい声でみんなを呼んだ


「雅先輩!桃子先輩!妙子ちゃん!どこにいるの!?」


誰からも返事が来ない。私は絶望した。神隠しというのはこういうことなんだと


やはり行かないほうがよかった。こうなるなら神社の前で止めておけばよかったと感じた


だが…進むしかない。どこに行けばいいのか?左右のどちらかに進まないとだめなのだろう


私は勇気を振り絞って前に進むことにした。早く助けに来て妙子ちゃん…!



「愛子ー!どこに行ったのー!」


「愛子さん!どこですか!」


一方ウチは愛子が突然消えてしまったことにかなり慌ててしまった


まさか…神隠しは本当のことでしかもウチの恋人がいなくなるなんて…さぞ恐ろしいところだった


「いた?」


「…いなかったわ…」


これは後悔。全員が神隠しに合えば4人でなんとかなるかもしれないのに一人のみ神隠しに合うのはまずい


ああ…愛子…どこに行ったの…


「妙子さん。わたくしたちも神隠しの場所に行けないでしょうか?」


「…ごめん。これはよくわからない。鳥居をくぐってそうなったのは確かだけどウチらも行けるかどうか…」


「じゃあ…どうすればいいのよ…!?」


ウチら3人は迷った。ウチだってこういうのは始めてだし。どうすれば…


「…うん?貴女は妙子?」


…おや?ウチに話しかける人がいた。その声の方向に向くととても大きい女性がいた。大きく、普通の服装を着て、どこか強そうな体


ウチはわかっていた。この人のことを、この人の名前を


「…新垣やよさん!」


ウチのママと同じ、そして強烈な除霊師、新垣やよさんだった


「新垣さん?」


「ママと同じ除霊師なの。なぜここに?」


やよさんは周りを見て言った


「最近ここで神隠しにあってるっていう情報を聞いてここへ来たのさ。まさか誰か神隠しにあった?」


なんていうベストタイミング。ウチは包み隠すことなく言う


「そうなの。実は…ウチの後輩がここで神隠しにあって…!どうすればいいかわからなかったのよ…!」


「なるほど。なら安心してほしいな。神隠しの居場所。即見つけてあげる」


そう言うとやよさんは一歩ずつ歩く。ウチらはやよさんの邪魔にならないようにどいた


そしてやよさんは2つ目の鳥居に止まる。もしかしてここか?


彼女はゆっくりとお祓い棒を構えた。あ…これは新垣家のやり方をするやつ


「ど、どうなるの?」


「黙って見てましょう」


新垣やよさんはその場所をしっかりと見定めてお祓い棒を空間に一刀両断した。ぶん!!


…するとその空間から何か扉のようなものが出てきた。間違いない、ここだ。空間が開いた前でやよさんは言う


「私はこれから貴女の後輩を見つけて戻してくる。安心して待ってて」


「わかったわやよさん…!」


やよさんに言われてウチらは見送ることにした。愛子の無事を願って



「うーん…どこだろここ…」


私はしばらくその道を歩いていた。なんだここ。変な世界だね


まっすぐ行っても同じ道。左右には竹林。道は砂利道。そんなところを歩いていた


しかし。ようやくその道の終わりが見えてきた。そろそろ暗くなってきたときに視界が開けた


「げ…!」


私は絶句した。竹林を抜けたと思ったら全く凄い光景が見えた。まず地面が鉄格子の地面になっている


そして周りも建物があるが全部錆びついた建物のみある。そして何よりも暗い。私は慌てて今来た道に引き返そうと思った


だが、道がなぜか見えない壁に覆われていて全く進めない。戻りたいのに戻れない


ここは間違いない。ゲームでやったからわかるが裏世界というやつだ。フィクションだと思っていたのに存在するなんて…!


私はこんな世界で死にたくなかった。見えない壁を力の限りどんどんと叩いた。それでも開くことはなかった


「助けて…!妙子ちゃん…!」


そして背後から嫌な予感がした。後ろを向くと、前にストーカーを撃退したであろう黒いモヤが来た


とてもじゃないがあれは御札が効かない。…そうだ!聖水なら!


私はかばんから急いで聖水を取り出した。あるわね!それで私はそのモヤに投げつけた!


…だが、最悪なことにモヤに投げつけたはずなのにモヤの横を通ってしまった。結果聖水は地面に割れた


モヤが近寄る。もう私には抵抗するものがない。私は死を覚悟することになった


「あ…あああ…」


絶望の顔をしていた。だが、突然何かが後ろに来た。人間の足音で今まで塞がっていた壁をパリーンという音がして私の前に来た


「え!?」


その人はモヤに立ちそしてお祓い棒で一気に一刀両断というのだろう。モヤを退治した。モヤはあっという間に消した


倒した後、その人はこちらに振り向いた。美人で、どこか頼もしく、辰子さんに似ている姿だった


「大丈夫?貴女が愛子だね?」


「は、はい」


「私は新垣やよ。板垣家と同じく除霊師の家系なの。説明は後にしてここから出よう!」


そう言ってやよさんは私の手を引いて起こして、道に戻ろうとしていた


私とやよさんはとにかく走った。この人本当に体力あるなとは思いつつも


竹林の道を再び通ると何かが見えた。間違いない。元の世界へ戻れる空間だ。私とやよさんは迷いなくその空間に飛び込んだ



バァァァン!


という音がして私とやよさんは元の世界に戻れた。心配そうにしてた妙子ちゃんと先輩の姿があった


「妙子ちゃん!雅先輩!桃子先輩!」


3人は私とやよさんの姿が見えたら近寄る。私はこの世界に帰れたことを感謝したいと思った


「…大丈夫?愛子?」


「大丈夫よ。全部やよさんのおかげ!」


雅先輩も桃子先輩も一安心したのかふーという声が聞こえた


「みんな。ここはもう危険な場所として認定するから近寄ったらだめだよ」


「…ごめんなさいやよさん。貴女がいなかったら愛子が大変なことになっていたわ…」


妙子ちゃんが言うとやよさんは首を横に振った


「平気だよ。でもね、貴女たちはまだ若いだから危ない目はしないでほしいの。これからは約束だよ?」


そう言うと私たち4人はわかったという合図した。首を縦に振って


「よろしい。じゃあ、私は帰るね」


やよさんはクールに去っていった。もう時刻は夜。私たちも帰らないといけない時間になった


「…もう、帰りましょうか」


「そうね。二度とこないようにするわ」


桃子先輩、雅先輩が言うと私たちはここから帰ることになった



危ない経験だった


やよさんにはお礼がしたいわね





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