第29話「愛子と妙子の夜」

…ふふふ、妙子ちゃん。かーわい


私は夜に恋人のことを思っていた。会話アプリで何度も妙子ちゃんの会話をしている。もうなんだか嬉しい気持ちしかない


元々私は刺激を求めてこのオカルト部に入り様々な経験したけど、今度は人間への刺激がある。それがなんとも言えないのだ


彼女の可愛い写真を送られてきたり、私も可愛い写真を送ったり、色々なものを交換しあっている


除霊師としての妙子ちゃんだけど、何度も言う通り。普通に強くて普通に除霊できているのだから。その時点で違う


だからこそこの人を大切にしたいって気持ちは強い。だって本当に恋人同士になれて嬉しいもの


雅先輩や桃子先輩もそうだけど…きっとあの2人も仲良く会話してるでしょうね。イメージしてちょっとニヤニヤする


…そういえば。まだ妙子ちゃんとはデートらしいデートはしてないわね。いつかしたいな。オカルト関係無しで


でもやっぱりオカルトに関係しちゃうのかしらね。妙子ちゃんのお母さんが除霊師で本業だしね


…もしかしたら私と妙子ちゃんは結構珍しいカップルかもしれない。私は霊感が強くて、妙子ちゃんは除霊師の一族


会ったときはただの頼れる先輩。っていうイメージだけだったけど、自然と好きな気持ちになっていった。刺激だね


そんな除霊師の一族である妙子ちゃん。普通に会話してると可愛い部分が多すぎる。もっとかのぴを可愛くしてあげよう


あらかのぴだなんて言ってしまった。でもいいよね。ちゃんとした彼女なんだし。うふふ、本当に可愛い


…おっと?声が聞きたいっていう妙子ちゃんからの伝言。うふふ、妙子ちゃんの声、可愛いから電話しよっと


「もしもし妙子ちゃん?」


「…やっぱり貴女と会話したかったわ」


「当然だよ。だって私、妙子ちゃん大好きだもん」


「嬉しいわ。…貴女のことをウチだって大好きよ」


ふふふ、愛を語れるのが嬉しい


「…そういえば愛子。貴女になぜ御札をもたせたか、わかる?」


…?確かに私はよく御札でバシッと霊に貼り付けて除霊してるような


「う、うーん?でもそうだったら雅先輩や桃子先輩でもいいわよね?」


「…ううん。貴女は私やママでもわかるとおり、霊感がかなり強いの。霊感が強い人ほど除霊グッズは効果を増す。それだけなの」


なるほど…じゃあ御札担当というのは私が一番だったのか…


「もちろん。雅や桃子。そこでもいいの。彼女たちも霊感が強いのは前から知ってるから清めの塩をふりかけているけどね」


「じゃあ…霊感が強いからこそ私もそうだし先輩たちも上手くこの除霊をできてるってわけなのね」


そう言うと妙子ちゃんは静かな声でうんうんと言う


「これがもし霊感が全くない人が除霊グッズ持っても全く意味はない…しかも効果すら発揮しない…そういうことよ」


「そうなんだ…誰でもいい。というわけじゃないのね」


「ただね。ひとつだけ。霊感が無くても効果が発揮するものあるの。わかるかしら?」


なんだろ。とは思ったが、すぐに私はわかった


「…聖水?」


「正解。あれは水自体に効果があるから素人でも投げつけたり水をまけば普通に霊相手に効果が出るわ」


あの清めの水って結構効果凄いんだなあ…改めてあれは強いと思った


そうだ。ストーカーの霊がいたとき、妙子ちゃんは聖水をぶん投げてやっつけたんだ。そのぐらい効果があるのだろう


「金額の話になっちゃうけど…結構高いんだ?」


「…そうね。あれは特殊な水。まず売られてないしあったとしても結構な値段になるわ」


ふーん…そうだ。妙子ちゃんのお母さんからもらった聖水、まだあったんだ


いずれにせよどこかで使うだろう。割れないように大切に保管しておいたほうが良さそう


「わかった。妙子ちゃんのお母さんからもらった聖水。大切にしておくわね」


「…うん。まだストックはあるけどそんなたくさんはないからね。大切にしてね」


いざというときに使うのがベストだろう。私は改めてそう思った


「…じゃあそろそろウチ、寝るからね」


「うん。おやすみ妙子ちゃん」


ぷつん…


電話が終わった。ん~。やっぱり妙子ちゃんの声聞くととても嬉しいし安らかな気持ちになる


彼女になってから嬉しいことだらけだ。だから彼女のことはずっと大切にしたい。オカルト部にしても、一人の女性としても


そういえば、雅先輩と桃子先輩はどういう会話をしているのか。きっと普通の会話なんだろうなあ


あ、そうだ。まだ時間があるしオススメされたフリーのホラーゲームでもやってみよう。パソコンを起動してDL、と



「うわ~。なんだこれ気色悪い。こんなのが襲ってくるんだ」


私はパソコンでゲームをしていた。それも名前が『混沌の森』とかいうやつ。でっかい顔が襲ってくる気持ち悪いやつだった


「前にストーカーをやっつけたことあるけど似てるわね~。さすがにこのゲームだと対処法はないから逃げるのみね」


しかしこれほんと気持ち悪い。多分普通の人だと恐怖でプレイ不可能になるだろうけど、残念ながら私はホラーに耐性がある


このゲームの情報源は美優ちゃんなんだけど、あの子もずいぶんと色々とゲームしてるんだなあ。ギャルなのに


そういえばあの美優ちゃんは連載中の漫画を全部持ってるとかいう隠れオタクのような性格してるんだった


そうなのだからゲームも少し詳しいのだろう。今度昼ごはんのときにもうちょっと詳しいことを聞いてみようかしら


…あ!突然なにかに襲われてゲームオーバーになった!奇襲っていうのもあるのね。びっくりせずに油断してたわ


だがこれは何度もやればクリアできそう。つまらなくないし、今度またゆっくりやらせてもらそうかな


それでも私は妙子ちゃんのことを気にした。私の人、今寝ているんだろうなあ…



「…」


ウチはゆっくりと寝ていた。そろそろ寝れるかなーと思いつつもウチは目を閉じている


ふと、思い返すのは愛子の顔。笑顔の彼女であった。ウチは確かにあの子に告白をした。そして両思いだった


それに、ママにも紹介をした。ママもとても気に入ってくれた。だから嬉しい気持ちではあった


でも…今後も上手くいけるだろうか?愛子はとてもウチのことを好きでいる。ウチだって愛子のことは好きだ


未来…卒業したらどうするのだろう。もし卒業をしてしまったら、ウチの愛子はどうなってしまうのだろう?


…ううん。まだ考えなくていい。ウチも雅も桃子もまだ2年。あと1年ぐらいは猶予が残っている


これからもっとオカルト部は色々な場所に行って経験を積めばいい。ウチが部長なんだからそこはしっかりしないと


時刻はもう22時か。ウチもそろそろ本格的に寝よう。そう思った


…玄関になにか聞こえた。ウチはベッドから出てドアを開き、そこへ向かった。階段を降りて玄関へ


そこにはパパがいた。いつも仕事が趣味でいないパパ。ママもそこにいた


「おう。妙子帰ってきたぞ」


「…おかえりパパ」


「あなたまた残業したの?」


ママがちょっと怒った言い草をする


「ははは。そうなんだ。でもちょっとお腹すいたな」


「全く。おにぎり作るからリビングにいて」


…こういうときでもママは優しい部分がある


ウチとパパはリビングの場所に。ママはキッチンにいた


「どうだ妙子。オカルト部、上手くやってるか?」


「…当然よ。最近ではもう学園近くのオカルトスポットはほとんど行ったから隣街まで行こうとしてるの」


そう言うとパパは関心した顔をする


「そうなのか!いやあお前はやっぱりママと同じだな!パパは霊感ないからそういうのはとても興味深く聞きたいと思っている」


ママがリビングに来ておにぎりを用意してこちらへ来た


「だいたいね。あなた仕事ばかりしててちっとも家にいないじゃない。休日出勤は止めなさい」


ママに言われてパパはおにぎり一口食べて言う


「わかってるよ。休日出勤は止めるさ」


「かと言って自ら望んで残業をするのも止めなさいよ」


「わかったわかった」


…本当にわかっているのだろうか


「ほんとに…私が稼いでいるからお金は心配いらないって何度も言ってるじゃないの」


「いや、そうなんだけどさ。いつか妙子も養育費で何か使うかもしれないから、今のうちに稼いでおこうかなって思ってんだ」


…ウチの…養育費…


こんなにパパは働いているからいずれ社長クラスになりそうな予感はしなくてもないわね


いつの間にかパパはおにぎりを食べ終えてこれもいつの間にか置かれていたビールがあった


「ごくごく…ふー…。そうだ。ママ、俺思ったんだけどさ」


「何?」


「…『新垣家』って、今どうなってんだ?」


あ…新垣家…



新垣家…


それはウチの家と同じ家計の人…



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