第28話「星輝街の噂」
…私たちは廃洋館の後、少しの間どこも行かないことがあった
ネタ切れ…というかもうこの街ではほとんど行ったり、除霊したり、去ったりしてだいたいのスポットに行ったからだ
でも、別に良かった。また危険な目に会うなんてことがなかったからだ。公園の『者』だったり、ストーカーだったり
たまにこういうのもいい。もちろんなにかあったら当然動くが、少しの間だったら私たちは暇にしてもいいだろう
そして今日もオカルト部は集まっている。私の恋人妙子ちゃん。そして頼れる先輩雅先輩、桃子先輩
実際この部活動は恋人同士で成り立っているという不思議な部活動だ。しかも女性同士のカップリングだ
そんなことは関係無かった。私はあくまでもこの妙子ちゃんを大切にしたいと今まで以上に思ったから…
妙子ちゃんの笑顔が可愛い。妙子ちゃんの美人な顔つきが良い。妙子ちゃんの頼れる姿がかっこいい…色々とこの人の惚れている
当然雅先輩や桃子先輩も気に入っている。いざというときはこの人たちは当然霊に向かって攻撃してくれるから
正直、このオカルト部はこれ以上は増えないだろう。いや…増えてもこの雰囲気を耐えられるかが心配でもある
…そんな今日の部活動。雅先輩が地図を広げて言う
「正直、もうこの白坂街には何もオカルト、ないと思うのよ」
あれ?廃校があったって話はどうしたのかな
「先輩?廃校があるっていうのはどうしたのですか?」
「ああ。そこねー。私が行ったら取り壊しが始まってもう跡形も無いのよ」
あ…取り壊し…それでは意味が無くなってしまう
「でもね…後から聞いた話だと変なものが取り壊しをしたときにあったらしいのよ」
「変なもの…?」
妙子ちゃんが言うと雅先輩は言う
「うん…長い髪の毛と、ボロボロの制服が見つかったって。あそこ中学校だから当然制服だけど…なんだろうね?」
ふーん?不思議なものがあるものだ
「そんなわけよ。だから、ちょっと足を伸ばして隣まで行くのもありかなって思うの」
「隣街ですか?星輝街のことですよね?」
桃子先輩が言うと雅先輩は広げていた地図を白坂街から隣にあるという星輝街の地図を広げた
そこは…案外住宅地。と言っていいのだろう。住宅地っぽいものが多かった
そして駅前は当然広い繁華街。ここにオカルトはあるのだろうか?
まあ…星輝街なんていうから結構輝かしい街なのかなーなんて思うが思ったより違うのかもしれないわね
「ここね。でも問題は…」
「…ここにオカルトはあるかって話ね?」
妙子ちゃんが言うと雅先輩はこくりとうなずく
「隣街だから情報がないのと何があるかわからないってことなのよ」
「そうですね。だから、ここの街に詳しい人がいればいいのですが」
4人全員でうーんとした表情になってしまう。なにか情報があれば助かるし行動もできるのだけど
コンコンコン
うん?ドアのノックオンが聞こえた。ドアが開いた
そこにいたのは少々背が高く、髪の毛が金色と黒で混ざったショートヘア。当然制服も着て、まるでかっこいい王子様のような人だった
その人を全員が見ると、雅先輩が言う
「…大和竹子(やまとたけこ)!」
「やあ雅。僕だよ竹子だよ」
「竹子先輩?」
私は竹子先輩を見ずに雅先輩に言う
「あ、紹介するわね。竹子は私と同じクラスメイトで今放送部の部長をしてる人なのよ」
へえ。放送部。そういえば昼食のときに音楽を流したりトークする人たちの部があるのは知っている
…ん?ちょっと待て?雅先輩は2年だが、竹子先輩も2年のはず?
そう思っていると竹子先輩は空いている席に座る。うーん。結構かっこいいぞこの人
「はじめまして先輩。相宮愛子と言います。先輩。2年なのに部長だなんて凄いですね?」
「はじめまして愛子。僕は竹子だ。僕が部長になっているのは3年の部長が調子崩してしまって部活動できないから臨時で部長してるのさ」
なるほど元の部長が体調不良で竹子先輩が臨時の部長…放送部ってそこまでハードな部活ではないような気がするけど…
「ま、部長は僕のものだしね」
ん!?小さい声でなんだか聞き捨てならない言葉を発したような!?
「どういうい…」
「あ、いやいやなんでもない!軽くスルーしてくれたまえ。ははは!」
怪しいなあ
「そうそう。僕がここに来たのは実は君たちにオカルトの情報をあげようとしてるんだ」
お。もしかして星輝街のことだろうか?
「実は…星輝街は君たちにピッタリな場所がいっぱいある。それを言うよ」
広げた地図をそのままにして竹子先輩は指を指しながら言った
「まずここ。ここは呪われた樹木があって、公園内にある。なにか霊がいるのでは?という噂のある場所なんだ」
前に行った呪いの切り株に似てる話ね
「そしてこの墓地。ただの墓地なんだけど、変な者が現れるらしい。黒くて…変な者がね」
墓地?肝試しにはうってつけだがそんなのが出るのか
「ちょっと分かりづらいけど、ここの道路になぜか交通事故が多いって言う場所さ。霊は関与してる可能性が高い」
霊がいるなら妙子ちゃんの出番ね
「次はここ。公園になっている。そこはもやに包まれた者が出てきていたずらをするらしい。被害はあってないらしいけど、怪しい者さ」
前の散歩道で会った幽霊かしら
「後この山道はね…誰かが突然突き落として怪我をさせる者がいる。危ないから行くなら気をつけて」
こわ…崖から落ちたら死亡確定じゃん
「最後にここ。繁華街の裏通りってとこだけど、ここは妙に幽霊が出てくるって噂さ。どんな霊かはわからないけど…」
そうして竹子先輩は指を指すのを止めていた
「…こんな感じ。どう?ネタになっただろ?」
「ありがとうございます先輩。これは行くべきですね」
「とりあえず今行ったとこ、マークしておくわね。…ごめん竹子もう一度指指して」
「はいはい」
~
「済まないわね竹子。貴女も部活動あるのに時間取らせてしまって」
「いいよ。オカルト部はネタがないと意味ないしね」
竹子先輩は終わったのかドアに行き帰ろうとした
「…竹子。もしまた何かあったら遠慮なくウチか雅に言って頂戴」
「わかったよ。じゃあね」
竹子先輩はドアから離れてきっと部活に戻るのだろう
「…良かったわね。これで行くところが決定したわ」
「そうだね妙子ちゃん。でもオカルト部でもないのに結構詳しい人だったね?」
そう言うと雅先輩が言う
「実はあの竹子って人は星輝街の人でもあるのよ。もしかしたらそういう情報が流れて行くってことかしらね」
「へえ…そうなんですね」
なんだかワクワクしてくる
もうすぐに星輝街に行きたい気分だわ
~
「…あ、先輩お疲れ様です」
一方竹子は放送室にいた。明日の放送や今後の放送をどうするか会議しているところだった
「やあ。とりあえずオカルト部に行ってネタを提供してきたよ。部活動とはお互い仲良くしないとだめだからね」
放送室は色々な機材があってごちゃごちゃしてる室内。そんな場所に部員少々と竹子の人がいた
「美羽。言っておいたよ」
部員に交じり、元部長の美羽がいた。紫色の髪をしておとなしそうな人であった。3年で、妙子ほどではないが体が少し弱い
「ありがとう竹子。でもあいつら、すぐ行動すんのか?」
「ああいうのはすぐに行動する。僕は間違いなく思う」
竹子は美羽の側に行く
「いつでも復帰していいからね。僕はずっと待ってるから」
「お前がいて本当に嬉しい。私は思ってるぞ」
この2人は恋人同士でもあった
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