第24話「妙子の母」

「…ねえ愛子。ウチの家に来ない?」


「え?いいの妙子ちゃん?」


「ウチのママが会いたいって言ってるの。貴女のことを」


「…うん!わかった。妙子ちゃんの家に行きたい!」


「…うふふ、嬉しいわ」



…そんなことで私は妙子ちゃんの家に行くことになった


妙子ちゃんの家は学園から少々離れたところ。もちろん電車通学である。私だって電車通学だからね


休日。私はワクワクした気持ちで妙子ちゃんの最寄り駅まで行く。ここも結構都会なんだなあ


あの学園は少し田舎の部分がある。だって井戸の場所に行ったときはもう完全に田舎のような感じだったもん


私は最寄り駅のモニュメントにいた。ここで待ってほしいとのことだ


しかしこのモニュメント…やけにネジ曲がった彫刻になっている。誰が作ったんだ?カオスなような彫刻だね


駅前だからか人が多いしあちこちな店も多い。こんなところに妙子ちゃん、通っているんだ…


でも、待つのは嫌いじゃない。なおさら付き合っている人となら、全然苦なんか思わないわ


「…おーい。愛子」


…おや?誰か私を呼ぶ声がした。その方向に向く。すると妙子ちゃんと恐らく母であろう辰子さんがいた


妙子ちゃんは相変わらず可愛い服を着てこちらに来たが、母は…待って。なんだ?大きいぞ?


私と妙子ちゃんは身長がほとんど一緒だが、お母さんはなんかでかい…。もしかして美優ちゃんぐらいありそうだ


そんなこと思っていたら私と妙子ちゃんは近くなった。当然お母さんも近い


「妙子ちゃん!会えて嬉しいわ!」


「ウチだって…愛子といれるのが嬉しいんだから…」


早速イチャイチャ


「…貴女が愛子ね?」


真面目な口調で私に言うお母さんの辰子さん。私も真面目になった


「はい。そうです。私の名前は相宮愛子です」


まずは名前からの自己紹介。辰子さんは真面目な表情で私を見た。少し経つと、彼女から言う


「ふうん…。かなり良さそうね。いや、むしろ霊感を持つ未成年としてはだいぶ強いわね」


え?見ただけでこんなこといわれるの?


「ママ。ウチの愛子はとても良くできているわ…」


妙子ちゃんは辰子さんの目を見て言った。そういわれると辰子さんは微笑んで言った


「ごめんね。早速なんか言っちゃって。私は板垣辰子。妙子のママよ。どうかよろしく」


「はい。辰子さん」


しかしだいぶ強いとはなんだろうか?霊感のことか?体的なことか?


「早速私の家にいきましょう」


私、妙子ちゃん、辰子さんは止めてあった車に行く


止めてあった車は結構大きいものだった。いわゆるワゴン車。これで色々と連れて行くのだろうか


3人が中に入り、辰子さんが運転する。ワゴン車なのにかなり乗り心地の良い車だった


運転席に辰子さん。助手席に妙子ちゃん、後部座席に私になった。乗り心地が良ければ車自体も早いものね


「…貴女たちはいつごろから好き同士になれたの?」


辰子さんから早速質問だ。私から答えることにした


「はい。私は妙子ちゃんの優しさや強さ、そして暖かい感情を持つ人として恋しました。妙子ちゃんも一緒だと思います」


「…ウチは愛子はきっとウチのこと好きなんだろうなとはふつふつと思っていたわ」


単純明快な答え。辰子さんは車を運転して前を見てたが言った


「ふふふ…。なるほど。両思いだったのね。それは良かった」


そんな会話をして家に着いた。おや?まあまあ遠くないんだな?


しかしびっくりするのはその家。一軒家なのだが、その大きさはすごいものだった。豪邸?そんな雰囲気もした


駐車スペースももちろんあってそこに止まった。私たちは車から降りた


「ここが…妙子ちゃんの家…」


「大きい…でしょ?」


私たちは家の玄関まで行く。玄関も大きいわね…


「ただいまー」


「おじゃましまーす…」


あまりにも大きくて少し緊張する


まず靴を脱いで廊下を見たが、これも大きい。まっすぐと続く廊下。木造住宅なのか木をふんだんに使ったであろう床


まるで富豪の家に来たような新鮮な香り。うーん…私の家とは全然違う…


「さあ、リビングに来て、そこでお茶でもしましょう」


辰子さんの言うとおりに私と妙子ちゃんはリビングに行くことになった



「…はい。お茶。ほうじ茶よ」


リビングというか居間で私と妙子ちゃんは隣同士。その対面で辰子さんはいた。熱いほうじ茶を飲む


…ほうじ茶というのはなんでこんな美味しいのだろう。コンビニでも売ってるが、淹れたてのお茶は美味しいものね


「今日は私はいるけど、ごめんね。実は旦那も一緒に挨拶したかったけど…旦那、休日出勤してていないのよ」


旦那?ああ辰子さんの旦那さんか。今日はいないのか


「…ウチのパパ、仕事は趣味みたいなものだから仕事熱心なのよ」


仕事が趣味…漫画しかなさそうな設定がまさかこの現実にもいたとは…


「わ、わかりました。残念ですね」


言う返事はこれでいいのだろうか


「うん。紹介はまた今度ね。私が除霊師としてお金稼いでいるにもかかわらず仕事ばかりするんだから」


…相当な仕事熱心な父。なんだね


「まあこんな話は置いといて…。付き合ってどう?愛子?」


旦那の話から私の話になった


「はい。妙子ちゃんのこと、大好きですし…それに、まるで病弱とは思えないほど活躍してて…それが心にきたんだと思います」


私は嘘の無い言い方を辰子さんに言った


「なるほど。確かに妙子は体が弱いところがあってね…前に入院してたのよ」


「それは聞きました」


辰子さんは私と妙子ちゃんを見るように言う


「だから愛子。貴女が見守ってあげてね。またどこで倒れるかわからないから…」


そうだったのか。ならますますこの人を支えてあげないとだめだろう


「わかりました。しっかりと支えます」


「…よろしくね。ウチの人」


そう言うと私の顔を見て笑顔になる妙子ちゃん。私も笑顔で妙子ちゃんを見た


「…いいわね。そうやって好き同士でいるの。私と旦那なんかほぼシークレットで付き合ってなんとか籍入れて妙子を生んだから…」


割とオープンに付き合うというのは難しいことなのだろうか


「だから…私からは何もいわない。未来が明るいような雰囲気を保ちなさい。母としての命令よ」


「はい。辰子さん」


ぴしっとお願いをちゃんと反応する私


「ねえママ…最近、ママとウチであったオカルトの話って…あったわよね?」


お?オカルトの話が聞けるのか


「そうね。じゃあ何かのネタか思い出話になるようなこと言ってみますか」


辰子さんは言うとゆっくりとその話をしようとする



どんな話だろ?


除霊師の話ってすごいワクワクしちゃうわ



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