第23話「曰く付きの森林その2」

…私達はさっき来ていた美優ちゃんと別れて曰く付きの森林に向かおうとした


美優ちゃんはそのままバレー部へ。私達は森林へ。でもその森林はそう遠くはないようだ


学園から出て徒歩で歩ける程度に、そこはある。なんか色々と詰まった街ねえ


先頭に雅先輩と桃子先輩が。後ろ私と妙子ちゃんが。そういえばこの部はこういうカップルで作られているんだった


私と妙子ちゃんはまだできたてのカップル。だから最初はきちんとしないといけない


てくてく歩くと目的地へ。もちろん時刻は夕方。この部活はずいぶんと夕方になる場合が多いのは仕方がない


雅先輩と桃子先輩が公園の場所が書かれている石を見る。ここは「たぬき公園」という場所であった


「たぬき公園…ですか」


「なんだか可愛いたぬきがいそうね」


そんなネーミングで少し笑ってしまう。だが横にいる妙子ちゃんは至って真面目


「…一応。霊が出たとされる場所までいきましょう」


「妙子ちゃん。どこかわかる?」


「地図を見ればいいのよ。…そこにいるわ」


私達4人は早速はいる。ずいぶんと大きい公園ね。というのが第一印象


夕方なのか、人もまばらで公園で遊んでた子供もそろそろ帰るところだろう


「へえ。樹木がいっぱいありますね…」


「イチョウ並木っていうのかしら。こういうのは貴重よね」


雅先輩と桃子先輩はのんびりと上を見つつ歩いていた


うっそうとした場所はどこだろう?そう思って歩いているとそこは見つかった


「…あった」


雑木林。と言っていいだろうか。橋もありその下へ行ける階段があった。もしかしてここで撮影してたのだろうか?


私と妙子ちゃんはその場所を見た。そして妙子ちゃんは私達の方向に向く


「…普通の人が見える怨霊はとても強い恨みを持つ霊。ここはウチだけでなくみんなの力が必要よ」


一言言い、そしてまた言う


「…まずウチがお祓い棒を振って動きをにぶくする。そして雅か桃子が清めの塩を払って更に何もできなくさせる…。

そしてとどめに愛子が御札をばしっと貼ればきっとその霊は成仏する。これが作戦よ」


なるほど。チームワークが大切な除霊なのね。その話を聞いて誰も意見を言おうとはしなかった


「わかった。じゃあ私が清めの塩を持つわ」


「妙子ちゃんの御札を持つね」


「わたくしも持ちます!万が一のときに」


妙子ちゃんに渡されたそれぞれの除霊グッズを持って私達は行くことになった。とりあえず覚悟を決めて


階段に降りると妙子の顔つきが険しくなる。私も当然おかしいと思った。雅先輩も、桃子先輩もわかっているだろう


「何か…あるわね、妙子ちゃん」


「…ええ。どこから来るかしら…」


どさっ


とても嫌な音がした。人間が落ちる音だった。その音で全員が振り向いた


人間。いや、『者』だろう。その『者』はゆっくりと立ち上がる。その『者』は首が折れていて全く生きていないのがわかった


「あ…あああ…」


これはゾンビの鳴き声か?『者』は私達を見るとこちらへ来た。私達はさっき妙子ちゃんの言った作戦通りをしようとした


「悪鬼の霊よ。静まりたまえ!」


妙子ちゃんはお祓い棒を振っている。まず、これで動きが鈍るのだろう


するとその『者』は動きが鈍った。というより止まった。妙子ちゃんはまだ振っている


「それ!嫌な霊は退場よ!」


「わたくしもやります!」


雅先輩。桃子先輩は清めの塩を思いっきり『者』にかけた。すると『者』からじんわりとやけどしたような煙が出てくる


「ああああ…あああ…」


でもまだその『者』はいる。妙子ちゃんが私の方向に向いた


「今よ愛子!とどめに御札を貼りなさい!」


…おっと!最後の役目を果たすのを忘れてた!私は御札を貼ろうとして勇気を持ってその『者』に貼り付けた!


「そりゃあ!」


成功!するとその『者』は倒れた。お祓い棒の祈祷。清めの塩。そして私の御札とかなり効いたのだろう


「あ…あ…」


『者』は倒れ。やがて砂のように消えた。これは除霊したと言っていいのかもしれない


「や、やった!」


「すごいです愛子さん!」


『者』とのバトルはこれでおしまい。私達の完全勝利であった。でも、妙子ちゃんは何かを見ていた


「…どうしたの妙子ちゃん?」


「…あれを見て」


妙子ちゃんの指差す方向を見ると、そこに首を吊ったような縄があった。もしかしてこれは自殺?


「あれ…自殺用の縄だよね…」


「そうね。きっと何か強い恨みを持って自殺したから、こういう霊が出てしまった…ってことね…」


妙子ちゃんが言うと私の方向に向いて言う


「もう終わったわ。…後は警察がやってくれると思う。…帰りましょう」


「ええ。妙子」


「今回はわたくし達、役に立ちましたわね」


みんながそう言うと、私達はここを去ることにした。二度と、こういう悲劇が生まれないように…



「…ねえ愛子」


帰り道。私と妙子ちゃんは一緒に帰っている


「どうしたの妙子ちゃん?」


「さっき言えばよかったけど…あの公園、恐らく封鎖されると思うわ…なぜなら自殺があるから」


そうなのか。確かに自殺が出てしまうとそれは封鎖になるかもしれない


「公園としてはいい場所だけど、ああいうのがあったらね…」


てくてく…私と妙子ちゃんは歩いていた。もう夜になってしまった


「ねえ、愛子。これからもずっとウチの側にいてね?」


「当然だよ妙子ちゃん。だって、私は妙子ちゃんと一緒にずっといたいって思ったもん」


私が言うと、すっと止まる


「なら…カップルになったこと…しよっか…?」


「愛子?」


私は妙子ちゃんの唇を奪った。キスであった。キスが終わると妙子ちゃんは全然恥ずかしい気持ちにならずに私を見た


「…嬉しいわ。愛子」


「上手くいくわ私達。妙子ちゃんのこと、支えてあげるから」


うふふ…2人はわらいあった。2人私達はずっと手を繋いで歩いていた



明日どうしようか?


妙子ちゃんとならなんだっていいよ



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