第19話「Vチューバーの子その2」
…私達は早速渚ちゃんの家に行くことになった
私、渚ちゃん、そして妙子先輩と。もし渚ちゃんに何かあったらすぐに妙子先輩が助ける感じだ
雅先輩と桃子先輩は帰る。私達は向かう。一体渚ちゃんの家はどのような家なのだろうか
駅に向かい、電車に乗り、下車して家に行く。徒歩で歩いて行けるのでそうしている
私達は歩きながら渚ちゃんのことを話していた
「渚ちゃんっていつからそのVチューバーって始めたの?」
「高校生になってからかな。先輩がやってるのを見て私もやってみたいと思ったんだよ」
案外動機というのは簡単なものだ
「…へえ。ウチもそういうのやってみようかしら」
「難しいですよ先輩。色々と機材が必要だからいきなりやるとなると様々な準備をしないといけないですし」
…なかなかVチューバーというのは難しいものなのね
「あらそうなの…。ならいいわ…」
すぐに止める妙子先輩。なんだか可愛い
…ん?可愛い?女の子に可愛いなんて言うの妙子先輩が初めてではないか?私の心、どうなってるんだろ
「…で、本題の呪術を唱えてくるのって本当に出てくるの?」
「はい。恐らく凸配信したら出てくると思います」
こんな呪術を唱えてVチューバーの活動を妨害してくるなんて許せない気持ちになる
「そんなことしたら私だったらすぐにキレだすと思うわ」
私は知らずに怒っていた
「愛子ちゃん、それはだめ。中にはキレたあげくに登録者数が減ってしまったケースがあるの」
…まるで会社の上司に逆らうのはだめみたいな言い方された
「う、うーん。わかった」
「…まあ行ってみないとわからないでしょう…」
静かに冷静に。妙子先輩は言う。このひと、本当に冷静沈着で霊に関してはすでにプロフェッショナルのような気がする
私は本当にこのひとに付いて行きたいと思っている。まだまだ会えて、そして私を気に入ってくれる。その時点で嬉しいのだから
…私、彼女のこと…いったい…?
~
「ただいまー」
「おじゃましまーす」
「…お邪魔するわ」
渚ちゃんの家の中に入る。なんだか私の家と作りが一緒だなあ
「…2階に自室があるのね?」
「そうです」
そう言って私達は上へと上がる
2階に上がり、そして部屋へ。渚ちゃんの部屋はとてもきれいな部屋だ。きっと掃除もしているのだろう
私みたくあまり掃除もせず漫画やゲームがいっぱい重なっているのはちょっと恥ずかしく感じた
「ちょっとまってね。パソコン起動して準備するから」
渚ちゃんは制服のままパソコンを起動をさせてデスクトップ画面に移ろうとしていた
「あ。愛子、妙子先輩。ベッドを椅子代わりにして待ってね」
そう言われると私と妙子先輩はベッドに座る。なんだベッドも心地よい感触ね
「…で。その問題は電話をかける配信になると出てくるって話ね?」
「そうです。一応配信画面にしてアバターも用意してっと」
渚ちゃんが言うと渚ちゃんの分身、いわばVチューバーの画面が出てきた
「へえそれが渚ちゃんのやつ!」
「…ずいぶんと可愛いじゃない」
思わずベッドから立ち上がって見てた私と妙子先輩
私は妙子先輩のそばにいて、ほのかに妙子先輩の優しい香りがした。私は少しドキドキするのがわかった
ドキドキ?なんで?でもそんなこと考えてられなかった
「配信準備して…よし!」
渚ちゃんは配信をする画面へと切り替えた
「わ!この時間なのに結構人集まっているの!」
「…まあ、もうコメントも流れているわ」
視聴する人数が増えた。コメントも多くある。すると妙子先輩は気付いた
「…変な言葉言ってるのがいるわね」
妙子先輩が言って私と渚ちゃんはわかった
「これ?」
「多分…一応、そろそろ配信するね」
渚ちゃんはヘッドホンとマイクを付けて言う
「こんにちは!美羽ナズナです!今日もよろしくお願いします~!」
なんだその明るい声は。学校で使っている声の声帯とはまた違う声だ
「さあ今日は雑談配信!誰でもいいですよ!私と一緒に語りましょう!」
当然これは狙いだ。その呪術を使う者。それをおびき寄せるための配信だ
そしてそのパソコン、いや配信から即座に通知音が来た。間違いなく、渚ちゃんを悩ませた者だった
「来た…」
「…勇気を持って着信ボタン押して。後はウチがやるから…」
渚ちゃんは恐怖と対抗してボタンを押す。するとすぐに何もわからない言葉が渚ちゃんを襲った
「ひっ…!」
「貸しなさい」
ヘッドホンとマイクを妙子先輩に渡す。すると妙子先輩はすーっと大きな呼吸をして、言う
「心頭滅却!蓬莱極楽!呪術突破!呪術よ!ここで収まることを一気に滅びなさい!!」
な…!妙子先輩から聞いたことがない言葉と大きい声が聞こえた。このひとこんな大きい声出せるんだ!
するとヘッドホンから声が出た
「ぐええええ…!」
その謎のうめき声を聞いたら突然通話は終わった。妙子先輩の言葉が聞いたのか?
妙子先輩が確認を取るとヘッドホンとマイクを再び渚ちゃんにわたす
「もう大丈夫よ。呪術は滅んだ。ウチが呪いの言葉を言ったから。相対効果よ。安心しなさい」
私は画面を見たがコメントが何があった!?みたいなコメントで埋め尽くす
「あ、なんでもないです!ちょっと色々と声を変えまして…!あはは…!」
渚ちゃんはごまかすように言う。だがコメントも一応そうだったのかみたいなコメントが多かった
「さあ、他にございませんか?ナズナとお話しましょう!」
~
夜になる時間で渚ちゃんの配信は終わった。これで一件落着と言っていいだろう。全部妙子先輩のおかげだ
私と妙子先輩は帰ることになる。玄関で渚ちゃんが見送ってくれた
「ありがとうございます先輩。頼りになる先輩がいて嬉しい気持ちです」
「…いいのよ。またいつでも困ったことがあったら呼んでちょうだい。…霊的なものなら特にね」
「じゃあね渚ちゃん。Vチューバー、頑張ってね」
「うん!ありがとう2人とも!」
そう言って私と妙子先輩は渚ちゃんの家から離れた
家に帰る時間。それはまるで霊でも出そうな感じだが、それでもゆっくりと歩いていた
妙子先輩。彼女は私に言う
「…おや、今日は月がきれいね?」
妙子先輩に言われて上を見上げる。なんだ。今日は満月だったのか。確かにきれいな月ね
「…ねえ、愛子」
「どうしました先輩?」
妙子先輩は私のそばまで近寄った。そのそばにいるのはやっぱりドキッとしてしまう
先輩のかすかな優しい香り。なんて気持ちいい香りだろうか。もうずっとこの香りをかいでいたい
「…ウチね。貴女に出会わなければ、こんな色々とできなかったと思う。雅や桃子じゃだめだった。だから、嬉しいの」
「妙子先輩。私はまだこれからなんです。妙子先輩のことは、私がきちんとフォローしてあげますから」
胸がドキドキしながら私は妙子先輩の目を見た。嘘のない瞳。偽りなんてないまっすぐな色
…どうしてだろう?妙子先輩、彼女に対してはどこか特別な気持ちになる。なんで胸がドキドキするんだ?
…よくわからない。でも、信頼しているのは確かだ。でもそれ以上?それ以上の気持ちとは一体なんだろうか?
「…いきましょう、愛子」
「はい先輩」
私達は帰る。それぞれの家に
妙子先輩。
私はどうしたらいいの?
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