第12話「ウチと病院」
…ウチが入院してたときのことよ
ウチはいつも病弱で体力もないからこうやって入退院を繰り返すことはしばしばあったの
そして高校生になってもまだ入退院をしていたのよ
でも、親である辰子ママは決して嫌ったりはしなかった。父もそうだった。大変だなって
ママは除霊師だから除霊のやり方については厳しく教われた。でも、それ以外ではとても良いママだったの
入院してるときにいつも暇を見つけて病室に来てくれて、そんなママを嫌いになんてならなかった
…ある日。ママが来てくれて病院を軽く見て回ったそうなの。そしてこう言われた
「妙子。ここは何かあるかもしれない。そのときは貴女がしっかり守りなさい」
そんなこと言われた。ウチが?除霊を?ママから除霊でおなじみの札と水晶玉を持たされた
…このときウチは思ったけどこの病院、何かあると確信した。ウチはぼんやりだがそう思った
そして夕方になったらウチのママは帰っていった。そしてその病室には一人。残された
~
「…へえ。妙子先輩のお母さんってそんな感じだったんですか」
「そうよ。ウチも一応除霊師の端くれ。とりあえず簡単なやつならできるわよ」
~
夜になった
食事を済ませて看護師さんがこちらに来て薬を渡される
…薬を飲まないと看護師さん、戻ってくれないからね。そんな薬を飲んで後はウチは寝るだけだった
ウチは薬を飲んで横になる。そういえば、ママが言ってたことは一体なんだろうか。ここに亡霊でも出るのだろうか
そういえばさっき病院を歩いていた。何かあるか確認したのだろう。そしてウチに渡したのだろう
錠剤が効いているのか、21時消灯のときにはすっかりウチは眠っていた
…ウチはおきた。もちろんぐっすり寝ていた。時計をスマホで確認する。なんだ夜中の1時だったわ
少しトイレに行きたい。そう思ってベッドから出て病室を出る。…おっと除霊グッズも用意していたの
病室から出て廊下を出る。そこは静かになった廊下。暗い廊下。そして何も聞こえない場所
こんなのを不気味と思うほうが当たり前だった。ウチはさっさと済まそうとして除霊グッズを持ってトイレに行く
しかし病院の廊下とは気の所為か寒い気がする。まだ家の廊下のほうが温かい。そんな冷たい廊下を歩いていたの
水晶玉を確認した。特に異常はなし。さっき渡されたものは必要ないだろう
トイレに行き、用事を済ませる。トイレから出るとふと水晶玉を見た。すると光っているではないか
この水晶玉は何か霊が見えると光る仕組みになっている。何かある。ウチはちょっと怖いけど確認することにしたのよ
…いる。どこだろうか
ウチは辺りを見渡す。トイレか。廊下か。すると眩しい光がウチの顔を覆った
確認してきた看護師さんだった。ウチのことを見て何かしてるのか確認してくるだろう
「…何をしてるんですか?」
「看護師さん。ここに幽霊がいます。水晶玉が光ってるのは幽霊がいる証。ウチがなんとかします」
水晶玉?幽霊?そんなこと言われた看護師さんはキョトンとした
今着ている服装は寝巻きだが、そんなこと言ってられないだろうと思うの
そしたら後ろにあるウチのロングヘアから何かの感触があった。…!一瞬で反応してウチは振り向いたわ
そこにはこれまたロングヘアの幽霊がいた。ウチは間違いなくこいつだと思ったわ
「な…!なんだこいつ!」
看護師さんは焦っていたがウチは全然大丈夫だった。これも除霊師の娘の心の大きさかしら
「はっ!!」
幽霊に御札を貼った。もちろん力強く。すると幽霊は大きい声を言う
「があああああ……!!」
さー…その幽霊は砂みたくあっという間に消えていった。やはりママの言う通りだった。ここに幽霊はいたのだろう
「なんだいったい…!?」
幽霊は砂となり消えて、残った御札をしっかりと元に戻した
「…看護師さん。ここで、何か事件なんてあった?」
暗い廊下でウチの声が響いた。すると看護師さんは思い出すように言う
「そういえば…どこかの病室で自殺があって…それがなんの理由だが知らないけど、幽霊が出るって話は聞いたな…」
そういうことだったのか。ウチはその話を聞いて納得した
「でももう大丈夫でしょう。ウチが消したから。もう安心ですね」
「あ、ああ。そうですね…貴女は一体?」
「ウチ?ウチは除霊師の娘です」
力強く、はっきりとそう伝えた。ウチでもできることがあったんだって。誇りに思ったわ
~
やがて退院のときが来た
ウチは荷物をまとめて病室から出た。すでにいるママとパパと一緒に出ていた。その時いた看護師さんからお礼を言われる
「退院おめでとうございます。そしてありがとうございます。もう、安心できます」
「見てよこの娘の顔を!とても助かったでしょ?」
…ママは相変わらず自意識過剰な部分がある。でもウチは除霊したからそう思っても仕方ないことだわ
「お気をつけて!」
病院から出たウチとママ達は車で帰ろうとした
車に乗り込む前に、ウチはママに言われた。その顔はどこか優しい顔だった
「妙子。貴女は優秀だわ。きっと私の後継者としていられるわよ」
「…」
ウチは照れくさい感じで車に乗って家へと帰っていった
~
「…というのがウチの除霊っていうの」
私は妙子先輩の話を聞いて納得した。こんなことがあったなんて
「妙子は本当に強い人よ。だから退院して安心したの」
雅先輩がそう言った。確かにこの人同伴ならどこ行っても安心するだろう
「散歩道で会った良い幽霊もいますが、妙子さんみたく襲う悪い幽霊もいますよ」
桃子先輩も言う。確かに襲う霊もいるに違いない
私は思ったことを妙子先輩に言ってみた。確認したいことがあった
「じゃあ妙子先輩は卒業後は除霊師として食っていくのですか?」
「…うん。その予定。でも後何年かで気持ちが変わるかもしれない。正直、それはわからないわ」
そうだろうなあ。気持ちが変わる。そんなこともあったりするだろうし
「じゃあ今日は妙子退院記念に駅前の美味しいスイーツ、食べにいきましょう!」
雅先輩が提案をした
「まあいいですね」
「私も賛成ですよ!」
「…ウチ、あまり甘い物は食べないのよ…」
おや、妙子先輩珍しい。甘いのが苦手とは
「だったら甘い物じゃなきゃいいのよ!さ、行こう!」
…今日は部活をほったらかしにして行くらしい。まあたまにはいいか
妙子先輩の退院
これからもお世話になりそうな気がする
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