第10話「散歩道の幽霊」
…私は一応確認をした。ここの遊歩道は幽霊が出るということを
地図を見るとあまり散歩道っぽいイメージはない。そこまでの大きい散歩道ではないのだろう
「先輩。ここってほんとに出るんですか?」
私は確認をすると雅先輩は言う
「そうね…出てくるってだけで、とりあえず特別何もない場所だからね」
なんだ?確認しただけなのか。でも行っても面白そうでもある
「まだ時間がありますし、行きましょうか」
桃子先輩は私にいうとこの部室を出る支度をしようとする
「そうですね。わかりました。行きましょう」
私たちは早速そこへ行くことになる
~
部室の扉を閉めてその遊歩道に。と言っても散歩道なのだからそこまで遠いわけではない
私と雅先輩と桃子先輩。でもなんで3人だけなんだろ。もっといてもいいと思うのに
私はあくまでも刺激を求めてここへ来たわけだけど、今のところ大きい刺激はない。まああの幽霊は別だけど…
雅先輩、桃子先輩は刺激を味わいたいがためにこのオカルト部を設立したのだろうか
私が特別かもしれないが、先輩たちは一体どうしてこんな部活をたてようなんて思ったのだろうか?
時間はまだあるし聞いてみた
「先輩たちってどうしてこのオカルト部をたてようなんて思ったのですか?」
そう言うと雅先輩が答える
「実はね。私ってこの部の副部長なのよ」
…?え、実は副部長?
「もうひとりいるの。部長で、とても霊感の強い子が」
「じゃあ、このオカルト部を作ったのは雅先輩ではない、と?」
雅先輩と桃子先輩は視線を合わせると私に向く
「板垣妙子(いたがきみょうこ)さんって言いまして、彼女がここの部の設立させた部長。今は入院していて、戻ってないのですよ」
なんと。そんな人がいたとは。私は驚きを隠せない
「私も最初、妙子に言われたときはそんなすぐに潰れそうなこと、できんの?って思ったけど、妙子は違った。
様々なこの街のオカルトを探して、まとめて私たちに教えてもらった。だからこのオカルト部があるのよ」
なるほど。つまり妙子、先輩…だろう。きっと熱意ある人だろう
「わたくし達も霊感の多少霊感のあるので、おそらくわかってたのでしょう。妙子さんは」
自分の霊感を他の霊感を見抜いた。と言うことだろうか
「雅先輩たちと同じく2年ですね?」
「そうよ。でも入院してもう1ヶ月は経ってるからそろそろ退院するんじゃないかしら。その時は貴女にも紹介するわね」
雅先輩は言うと笑顔になる。妙子先輩…一体どういう人か。霊感の強い人ならきっとオカルトもかなり詳しいと思う
まだ見ぬ先輩をイメージしつつ、私達一向は曰く付きの散歩道へと向かった
~
着いた。思ったよりきれいな歩道である
私達は歩道の真ん中にいた。ここで幽霊は現れるのだろうか?色々な草が生えており、樹木もある
散歩道の始めには公園があり、その真っ直ぐに行くとなにか石碑がある。そんな道であった
私達は当たりを見渡す。いわゆるクトゥルフ神話TRPGの目星。みたいな感じでロールするかのように見渡す
…特にない。公園があるぐらいで霊感もない。ほんとにここで合ってるのだろうか?
「先輩。ここで、合ってますか?」
まるで疑いの口調をした私。しかし雅先輩は冷静に言う
「合ってるわよ。ここにいるの」
「でも、霊感がないような気がす…」
びびびっ
はっ!この感じ。前にトイレの幽霊を見たりわんこの亡霊と会った感じが来た
どこだ!どこにいるんだ!私は今まで以上に辺り一帯を見渡す。どこかにいる!
そうすると道を見た。すると人間が来たではないか。なんだ人間か
…いや、違う。これは人間ではない。どこか亡霊のような雰囲気をしている。服は着ている。まるでランナーのような格好だ
男性である。帽子をかぶり、こちらへ来た。いや?こちらへ来たのではなく、素通りしそうになりそうだ
私はこれは亡霊だとわかりその人に話しかける。男性なのかずいぶんと大きい身長してるなあ
「すいません」
丁寧に言おう。するとその亡霊はすぐに反応してくれた
「おや?僕の姿が見えるのかい?」
その男性は私に話しかけると立ち止まった。間違いなく亡霊だった
「はい。ここで幽霊が出ると聞いたので来ました」
「おやおや。僕はあくまでもここを走りたいだけだよ。死ぬ前はここでランニングしてたんだ。死んでからここをよく通るんだ」
…なんていう幽霊だろう。別に危害を加えるみたいな感じもなさそうだ
「そうなんですか。でも、なにかしてるとは思えませんが」
「僕は病気で亡くなってね。いつの間にかここにいるんだ。その思いがあってね…だから、ね」
…うーん。こういうのってどうすればいいんだろうか
私は雅先輩と桃子先輩を見た。2人ともその幽霊を見てたからきっと見えている。こんな夕方に近い昼間で
「もういいかな?」
その男性の幽霊は私たちに向けて笑顔で言った。もういいだろう。危害を加える感じじゃないし
「わかりました。普通の人間に危害を与えないでくださいね」
「わかってるって!じゃあね」
そう言うとその男性は去って行った。少し行くと男性の姿は霧のような体になり、消えた
私たちはそんな幽霊を見て何も無かった。むしろ、何もされなかったことに対してよかったと思うだけだった
「…何もされなかったですね」
「ええ。悪い気持ちで死んだんじゃなくて、寿命だったのかしらね」
「ああいう亡霊もいるのですね」
私たちは消えた幽霊のあとを見ながら、突っ立っていた
その後、公園に行き3人でベンチに座る。公園には子供がいっぱいいた。みんな亡霊を見たことないような。そんなふうに遊んでいた
「…結局これって解決したってことでいいのでしょうか?」
「一応そうしておきましょう」
「あの男性、きっとまた現れると思いますわ。何も妨害もせずに」
私たち3人は遊んでいる子供たちを見ていた。何も危害を加えない、そんな優しい亡霊を見たからだ
「…もう、用事ないし帰りましょうか」
「はい。先輩」
私たちはベンチから立ち上がり、帰ろうとした
刺激的だったのかなあ?
でも、幽霊に会えたぶん、いいとしますか
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