第8話「兄と夢」

「ただいまー」


私は夕方過ぎに家に帰ってきた。まあまあ大きいこの家。ちゃんと私の部屋だってある


きっと母が出迎えてくれると思う。そうしたら別の人が玄関で出迎えてくれた


「よお、愛子。おかえり」


身長が高く、なかなかの顔つきで普段着を着た人物だった。お兄ちゃんだ


「ただいまお兄ちゃん!」


「おう。なんだかテンション高いが何かあったんだな?」


兄…相宮聡(あいみやさとし)と呼ばれるお兄ちゃんだ。私はこの兄をとても信頼していた


小中とそこまで仲が良い感じでは無かったが、進路で悩んだときに兄は真摯に受け止めてこの学園を薦めてくれた


そして勉強のやり方を優しく教えてくれたりしてその時点でとても仲良くなっていった


趣味は私と同じくホラー系統の物が好き。ゲームでも小説でも何かでも。この兄も一緒だ


兄も同じく霊感の強い一人。人魂が見えたという話があったが、兄は信じてくれたのだ


兄妹というとあまり仲良くなれない。むしろいがみ合うような関係になるのに、私と兄はすっかり仲が良い兄妹だった


ちなみに、兄は大学を通っておりそこもオカルト関係のサークルに入っているとのことだ。私と一緒だ


兄、聡…こんな相性抜群なお兄ちゃんが家族にいて嬉しい気持ちでいっぱいだった


「お兄ちゃん!あのね、私オカルト部に入ったんだよ」


私は靴を脱ぎながら兄に報告をした


「ほうそうか。俺と同じくオカルト部に入ったか。だが、油断するなよ。亡霊はいつ襲ってくるかわからない」


靴を脱いだら廊下に行き、兄のそばまで行く


「この前なんか、学校にいる幽霊を成仏させたからね」


「なるほどな。さすが俺の自慢の妹。これからも気をつけてオカルト部で部活動しろよ。これは俺からのお願いだ」


「うん!お兄ちゃん!」


そう言うと私は2階に上がって自分の部屋へと戻っていった


…?お兄ちゃんはそこで何かボソッと何かを言ったような…?気の所為か



夕飯が終わって私の部屋に来た


私の部屋はホラーを中心とした部屋だ。まるで魔女の部屋みたく、私の興味のみで形成された部屋なのだから


まずはホラーゲームといきましょう。私はゲームの電源を押してプレイする


…ある程度進むとあまり怖くない敵が現れたりただうるさいだけの敵が出てくる。これはホラーとはいえないなあ


ただ敵を倒して進むゲーム。暗いのは当たり前でもっとホラーをしてほしいなあ。敵を倒す銃もそうだけど、ね


ゾンビとか歪な敵でも十分にいいけどもっとホラー、きちんとしてほしいわね


まあある程度進んだらそれでおしまい。私は電源ボタンを押してシャットダウンする


次は読書だ。最近買ったやつでかなり面白い漫画を見つけた。ゾンビ物だけどどんどん人が狂っていくのはかなり面白い


おまけに人の心を削られて追いやることになって、次々と死んでいく…これはホラーである


笑ってはいけないけど次々と死んでいくのは笑ってしまう。こんなの親と友達に見せたらドン引きものだろう


「うふふ…これ面白い…リピーターになっちゃう」


…あ!漫画を読んで気づいた。大型掲示板のスレを見ないと!


パソコンを付けて私は大型掲示板のオカルト版を見た。何か面白いのはないかなあ…


…しばらく見てたが特別ヤバそうなものは無かった。ヤバそうなものもあったがここから遠い都道府県で高校生には無理だった


私はもうちょっと大人になればな。大人になると面白くないとは言うけど、趣味のためなら大人になったほうがいいとは思う


ゆっくりと成長しろってことかしら…


ここまで来たら突然眠くなってきた。いかん明日も学校だしもう寝よう


私は寝間着を着てベッドに横になる。私は疲れているのか知らないが、すぐに眠ってしまう



…ん?私は目覚めた。いや、目覚めたところがどこか変だ


雲に覆われていてふわふわした気分だった。ここはどこだろう?私は寝ている姿勢から起き上がり、周りを見た


すると少し離れたところに女性っぽい髪型をした人がいた。後ろを向いていて私に気づいてないのだろうか?


私は歩く。その人に向かって。ある程度距離を縮めたら私は言う


「すいません」


その人が振り返った。私はとても驚くような人であった


なんとその人、目が無い。いや、目に空洞があって目が真っ黒であった。私は驚いた。なんだこの妖怪ちっくな人は!?


私が驚いているとその女性は言う


「…私はね。あなたに感謝したいの。もうそろそろ潰れるあの神社…お賽銭を入れてくれたことに、感謝したいのよ」


目が無い女性は笑顔だった。笑顔?いや、驚きと怖さが一緒になってよくわからない


…あ、もしかしてあの廃神社でお賽銭入れたことを感謝なのだろう。私は冷静をよそおって彼女に話しかける


「もしかしてあなた、あの神社に関係する人なの?」


「うん。でも私、もう神通力が無いしお金が無いし、神社を再生する力が無くなったの。そして私はそのまま命の絶ったのよ」


なんてこった。じゃあ自殺をしたことは本当だったのか


「で、でも私、あの時のお賽銭は先輩から借りたやつだし…」


「そうなの?でも嬉しいのよ。最後に優しそうな人にお賽銭入れてくれて、私は感謝したいの」


…目が空洞になってる女性は嬉しそうに言う。この女性、きっと生きているときは明るい人だったんだろう


「あなたには感謝するわ。じゃあね。これからも生きてね」


そう言うとすーっと足元から消えて胴体、頭と消えて行った


「え!?あなたの名前は…!?おーい…!」



…チュンチュン


私が目覚めたらもう朝になっていた


あの女性は?もしかしてあの神社、潰されるのではないか?


妙にリアルな夢を見てしまい、私は寝ぼけたようにその体制でいた。しかしもう朝だ。私は着替えてリビングに行く



あの夢…


もしかして…お別れの挨拶なのかしら…



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