第7話「廃神社」

「これが、オカルトのある地図よ」


雅先輩が地図を広げると私は嬉しい気持ちになった


赤い丸印で囲まれた、そんな地図だった。ここに…オカルトがあるのね…!


「愛子さんどこか嬉しい顔になってますね?」


「当然です!だってこんなにあるなんて…!」


桃子先輩に言う。雅先輩はそんな嬉しい表情を見せたら一応説明をしようとする


「…説明、するわね」


そう言うと地図を指指して言う


「まず、この場所。神社なんだけど誰も使ってないし誰も参拝に来ない、いわゆる廃神社なのよ」


その神社はこの学園から近い場所だった。ここなら早速行ってもいいかも?


「ある日…この神社で自殺があってね…それから呪いの場所とされて誰も近寄らないの」


ふむふむ興味深い。なんならここへ行きたい


「次はこの森の井戸。ここは処刑場になってたの。だから多くの魂が飛んでる、曰く付きの場所よ」


久しぶりに人魂でも会えるのだろうか?私はますますワクワクが止まらない状態になる


「で、次はここ。家なんだけど、ある日殺人事件が起きてしまってね。それからずっと犯人が捕まらないまま、放置されているの」


へえ。そしたらここへ行けば何か発生するのだろうか?


「次に海近い場所。噂によるとここに行くと亡霊が現れるって話よ。どういう亡霊かはわからないけど」


亡霊…学校に会った幽霊と犬の幽霊もいたがそれも亡霊のひとつだろう


「次は雑居ビル。都市部にあるんだけど、ここは呪われているとされているの。前まで墓地だったから。その上に建てたのよ」


雑居ビルとは新鮮な話だ。まるで霊たちが怒っているのだろうか


「最後はここ。自然の多い散歩道なんだけど、霊が突然現れるっていうとこなの。霊が通るのはあまり知られてないけど」


憩いの場であろう散歩道に霊が出てくるなんて、不思議な話があるもんだ


「…以上よ。どこか行きたい場所はある?」


雅先輩が地図を指指すのを終えて、私に顔を見た


「うーん…そうですねえ…」


どれもこれも曰く付きだらけでワクワクが止まらない。でも危険そうな場所はあるだろうか?


殺人事件が起きた家は絶対危なさそうだ。処刑場の場所も多分危ない。だが行ってみたい


いきなり全部の場所に行く必要はない。私は至ってシンプルに行きたいとこを指指す


「神社…ですかね?」


そう言うと雅先輩と桃子先輩は顔を合わす。よく顔を合わすしぐさをするね?


「そうね。まずは廃神社に行ってみましょう。どれだけ廃神社か、わかるから」


「まだ夜まで時間ありますから、わたくしたちで行くとしましょう」


私たちは早速、その神社へと行くことになった



部室を施錠してその神社へ


歩いてると本当に穏やかな住宅街だった。あまり曰く付きがなさそうな、そんなイメージがある街だ


こんな場所に神社があるのか?だが日本人は近い場所に神社があるというのは世界から見ても変わった国らしい


外国で言うなら教会が近くにある。って感じかしら?なんてことを考えていた


徒歩10分もしないうちに着いた。そんなかかってない。私たちは廃神社の入口にたどり着いた


「ここは…」


ちょっとした階段の上に鳥居があり、そのさきに神社があった。確かに先輩の言う通り廃れている神社であった


周りは空き地になっており、その神社は空き地の中心にポツンと置かれている。そんな神社だ


私の見た目の感想としては怖くはなかった。あと何かびびっとくる感じもしない。きっと先輩たちも思っているだろう


私たちは鳥居をくぐり、神社の近くまで来た。お賽銭箱もあり、ここは本当に廃神社なのだろうか?


神社を支える棒も結構廃れている。屋根もボロボロ。奥に何があるかわからないが、入ったらまずそうである


「…とりあえず何かあるかわからないけど、お賽銭、入れてみます」


「え?ええ。いいわよ」


雅先輩から許可を取ったので私はお金を入れようとした…が、小銭が全く無かったことに気づく


「あ、あれ?小銭が無い」


よく見たら千円札が3枚しかなかった。高校生になけなしの千円を入れるの!?


迷ってたら桃子先輩が来てくれた


「これ…5円玉です。これを入れてください」


え!?先輩にお金を貸すの!?さすがに躊躇した私


「大丈夫ですよ。5円なんていう一桁台のお金は全然余裕です。さ、どうぞ」


…桃子先輩が優しい口調で優しい顔をして言ってくれた。なら…


「わかりましたありがとうございます」


私は桃子先輩が持ってた5円玉を手にとり、そしてお賽銭箱に入れた


パンパン…


一応手を叩き、一礼した。これで何かあるのだろうか?


「…一応、やっておきました」


「貴女は勇気ある子よ」


雅先輩は私のやった行動を称えてくれた。桃子先輩は笑顔で見ていた


「愛子ちゃん。何か、幽霊的なものが見えますか?」


そう言われると私は周りを見渡す。…特別それっぽい霊感は無い。むしろ何かあるのか?という疑問すら感じる


特に何も無い。そう思うと私は再び先輩たちに顔を向ける


「特に何もないです」


「わかったわ。さ、もう帰りましょう」


私たちはその廃神社を後にする。もう来る必要もなさそう。刺戟的では無かったが、とても有意義に行けたと思う


階段を下り、帰った



何があるだろうか?


もっと刺戟的な場所にすればよかった



続く



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