第三章 共産主義の目覚め
第三章 共産主義の目覚め 1
共産主義という
それは燃え上がる赤い火の
経済学者、社会学者などの各学者や研究者の間でも、この思想は発想法を根本的に変え、物事の新しい局面を切り開ひらいており、
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ある一冊の本を読み終え、感慨に耽っていた私は自らの価値観を揺さぶられた衝撃に慄いていた。
興奮し、身体が震えているような感覚を何とか抑えようと、椅子から立ち上がり台所へと行き紅茶を淹れた。
雷に打たれたような感覚とは、このような事を言うのかとしみじみ感じた。
「
夕食後に読み始め、気付けば朝を迎えていた。
青白い朝日が差し込んでくるのを横目に見やりつつ、買った書物『共産主義体制における平等』を手に取り、表紙を眺めながら紅茶を口に入れる。
二百項ほどのこの本は、ずっしりというほどの重さはなく、カバンに入れて持ち運べるほどの小型さがあった。けれどその小ささと軽さとは裏腹に内容は重厚だった。
「これこそ、私の理想としている目指すべき社会像だわ。誰も取り残されることなく、平等に扱われ、生きることが出来る社会……」
大きなみんなの共同体、共同生活、私財の共有、格差社会の是正などについて書かれていた内容を所々思い出す。
格差の源泉で元凶の市場経済。弱肉強食のこの競争社会を助長する市場経済。その市場経済と社会体制の変革を迫り、終止符を打つ必要性について論じたこの本は感銘の一言だった。
搾取され、物のように労働者を利用する社会体制の変更。向上心を持って働き始めても出世闘争、人気闘争、業績闘争のような闘争と競争を迫られる利益追求型の社会がいかに人間関係、鬼関係、人鬼関係の崩壊と希薄化を招くか。そして、いかに愛や温かみの崩壊を誘発するかなどについ述べられており、とても心打たれる内容だった。
一つ一つの文章、書かれている言葉にうんうんと声を出して、頷いて読んだ。
理解が難しい所があっても、まるで目の前で根気強く、優しく教えてくれる先生のように、私に教えてくれた。
「この著者の桃太郎さんという方に、是非お会いしたい」
遠くの村から来たという桃太郎さんたち。
別の村から来たからこそ、このいろは村と鬼ヶ島の問題点について理解してくれた。
年々増えていく、貧しい人鬼たち。私たちの手だけでは、援助しきれない人と鬼たち。職を失い、働きたくても働かせてくれない今の社会の現状をきっと、この方なら変えてくれるに違いない。
私は協力を惜しまず、この方々へ手助けをしなければいけない。
それが、私の使命だと感じた。
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