第10話 帝都へ
「ふわ~。」
僕は、起きて、朝食を取り、お昼用のパンとハムを買ってクランに向かった。クランに着くと、エセリーヌ、バーモン、リトリンが座っていた。
「どうした。」
「あっ、アレックス様。あのあの」
「エセリーヌ、あのですね。昨日お話して、朝8時にくる様に言われてんですが、開いてないんです。」
「そうか、1時間も待ってたのか。どうしたんだろう。うーん。」
昨日の今日で、誰も居ない。少なくともジジーンさんが来ていない。何かあったんだろうか?
「とりあえず、鍵を渡しておく。ギルドの中を探していてくれ。ちょっとジジーンさんの旦那さんのところに行ってみる。何もなきゃ良いけどね。」
そう言って、エセリーヌに鍵と、500ゴールド、ジュース入りの瓶を渡し
「部屋はいいから、廊下や食堂の掃除をよろしく。後、お昼適当に買ってきて、おいてね。」
「「「ありがとうございます。」」」
クランを任せたとりあえず、ハーメリックのいる事務所に向かった。事務所の入口にはローデックスさんが立っていた。
「ローデックスさん。ハーメリックさんは?」
「アレックス君か。ハーメリックさんは、奥さんかいなくなったと言って、今日休んでいるよ。居なくなったって喧嘩でもしなのかな?」
「そうですか?クランにもジジーンさんが来てないんです。人がいなくなる事ってよくあるのですか?」
「そんなことは、ないよ。ジジーンさんが門から出たという記録も無いしな。」
「ということは、街の中ですか?」
「そうだけど、海があるからね。昨晩出た船は無いけど、泳いで出られたら分からないよ。でも、ジジーンさんは、夜の冬泳げる程泳ぎが上手って話を聞いたこともないし、どだい人を担いで泳ぐなんて無理だから、何が起きてたとしても、街の中じゃないかな?」
ローデックスさんは、困り顔で教えてくれた。
「他に居なくなった人っているんですか?」
「少なくても、君が来てからだと、居ないはずだよ?何処の町でも、人攫いとかあるけど、この町は殆ど起きたことが無いからね。港町だけど、小さい町だから、ほとんどは、お互い誰か知ってるからね。」
「そうすると、人攫いや、隠れているかしても、どこかの空き家に潜んでいる可能性が高いのでしょうかね。」
「そうですね。多分その可能性が高いでしょうね。でも、ひとつひとつをしらみつぶしに確認できるほど人的余裕はもっておりませんので、難しいですね。」
「そうですか・・・。わかりました。出来る限り協力させて頂きます。」
そう言って、僕は、ギルドに走って戻った。
「エセリーヌ。どうだった?」
「ギルドの部屋は全て空いていて、誰も居ませんでした。」
「そうか、ありがとう。それで、頼みがある。」
「何ですか?」
エセリーヌ達は、ソファに座ってお茶をしていた。
「みんな、ジジーンさんが誘拐された可能性がある。子供達を集めて空き家に人の出入りが無いか全軒確認してくれないか?見つけても、退治はしなくていい、予算は5,000ゴールドだ、1人50ゴールドで50人位雇って探して欲しい。」
「は、はい。わかりました。アレックス様。全軒回るなら、50人もいれば今日中に町中探し終えられます。見つけたら、ここに走って来ればいいんですね。」
「そうだよ。あくまで遊んでいるように見せて探すようにね、見つけたら見張りもいらない。危険は避けるように。みんないいかな?」
「「「わかりました。」」」
そう言って僕は5,000ゴールドが入った袋を渡すと、みんな駆けていった。僕はみんなを見送ると、広間で仕事をして待つことにした。これまでの収支に加えて、今回の費用等冒険者学校で習った慣れない会計事務を行っていると、あっという間に昼を過ぎた、パンとハムを食べて、続きの書類作業を終えたところ、一人の少年が入ってきた。
「ここでいいんかな?」
「どうした?」
少年はキョロキョロして、緊張している。7歳くらいの茶髪の痩せた少年だ。服は所々つぎはぎがなされており、サイズも少し大きかった。
「アレックス様?」
「どうだが・・・。」
「俺は、バスモン。エセリーヌさんに頼まれて、第7地区の空き家を回っていたら、4人位のおじちゃんとおばちゃんがいて、おばちゃんが一人縛られていた。多分気付かれていないと思うけど・・・。」
少年はそう早口で話すと、興奮した顔を続けていた。
「ありがとう。では、大門脇の監視塔の事務所に手紙をもって行って、事務所の方の指示に従ってくれないかな?手紙をすぐ書くから」
「わかりました。」
そう言うと、僕は、事務所宛に仔細を書いた手紙を書き、バスモンに100ゴールドコインと一緒に持たせた。
「お駄賃だ、よろしくね。」
「ありがとう。行ってきます。」
バスモンは、笑顔を浮かべ、大門に走っていった。僕は、広間に戻り、装備品の手入れをしていると、また子供が入ってきた。11才位の太っちょだ?
「アレックス様ですか?」
「そうだよ。」
「グラスと言います。空き家に6人の大人さん達を見つけました。武器を持っていたので良くは見てませんが。」
「ありがとう、地区はどこかな?」
「第9地区です。」
「そうか、では、大門脇の監視塔の事務所に手紙をもって行って、事務所の方の指示に従ってくれないかな?手紙をすぐ書くから。」
「わかりました。」
そう言うと、僕は、事務所宛に仔細を書いた手紙を書き、グラスに100ゴールドコインと一緒に持たせた。
「お駄賃だ、よろしくね。」
「ありがとう。行ってきます。」
こんな感じで一日で5軒の空き家で不審者が見つかり、警備隊が次々検挙に走った。基本的に僕が不法侵入の届け出を出しているので。とりあえず不法侵入で捕まえて、後で尋問する方式を取れる。日が沈んだ頃、エリセリーヌさん達が終了報告に来たので、残ったお金を預かり、みんなにセイレーンで買った林檎を5こづつ袋に入れて渡して、明日から7日間居ないので、休みにしていいが、給料は払うので、各自勉強する様に伝えて、7日分の給料を渡して返した。その1時間後ローデックスさんがやってきた。
「アレックスさん。疲れましたよ。」
「お疲れ様でした。ローデックスさん。」
僕は、みかんジュースを出して、広間に置いたソファに座って貰った。
「どうでしたか?」
「おかげさまで、ジジーンさんは見つかりました。監禁されてたんですが、薬で眠らされて捕まったらしく、怪我も少なかったよつです。犯人は、冒険者みたいですが、まだ名前がすら分かってません。ハーメリックさんは、ジジーンさんに着いているので指揮はベーリッパ大尉がとってます。逮捕者27名で、麻薬や、魔導具等も見つかり、アクア史上最大の事件になってます。」
「お疲れ様でした。怪我されたからいるでしょうから、ポーション20本用意しましたので、使って下さい。」
「何もかもありがとうございます。」
「なんと言ってもジジーンさんはうちで雇ってる人ですから、助けて頂いてありがとうございました。」
「いえいえ、それで、ジジーンさんがいなくてこのギルド運営は、どうされるのですか?」
「ジジーンさんが復帰出来るまでは、僕はここのダンジョンに潜らない日だけ開けて、潜る日は閉じようと思います。とりあえず、明日から7日間は閉鎖ですね。」
「そうですか、わかりました。それがいいでしょうね。では、私は今日残業があるので。」
「頑張ってください。」
ローデックスさんが、事務所に戻っていくと、僕は、ギルドを閉めて、宿屋に戻った。翌日、食料等の冒険道具と、魚介類を大量に買い込み、ダンジョンに向かった。ダンジョンに入ると、ゴレ吉に、サモンカードを全て与えるとゴレ吉が、バースストーンゴーレムに進化し、レベルが455まで上がった。
「ゴレ吉、光り輝き、強すぎないか。」
と感嘆の声をあげた。僕はゴル吉の肩に乗り、グリ吉を除くレベル100以下の召喚獣達を置いて、迷宮攻略に向かった、9階までは既に召喚獣達が攻略しているので、1時間で、10階まで降りた。10階のボス部屋にいた、プラチナゴーレムを一撃で粉砕した。その後、1時間で20階まで降りた。ゴル吉には、20階のボスであるビックドラゴンゴーレムも秒殺し、5時間で30階まで降りた。攻略していないと中で、異常な時間だ。着いた30階のボス部屋には、ビックオリハルコンゴーレムと、オリハルコンドラゴンゴーレムがいた。ゴル吉は、一体2分程掛けて倒し、31階に降りた。
「ゴル吉、後は任せたぞ。」
僕は、グリ吉と、うさ吉以外の召喚獣達をおいで、グリ吉により、出口を目指した。ゴーレムは、飛ばないので、空中は、安全圏だ、グリ吉に乗り、登り階段に飛んでいき、10階まで1時間で移動した。10階より上は、空移動が出来ないので、1時間かかっで外に出ると、夕方になっていた。すぐにグリ吉に乗り帝都に向かった。約600キロのフライトだ。
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