第12話 帰らない腕と、帰りたい僕

 光が止むと、また、だだっ広い広間だった。足元には昨日見たワープ石がある。

 ロッシは、意識を失い、顔から血の気が引いている。とりあえず、僕は手持ちのポーションを全て腕の切り口にかけ、うし吉を召喚して回復魔法をかけさせ続けた。


「モーモーモーモーモーモー」


 その間に、僕は、昨日以降ドロップしたものをチェックした、


「うっ、無い。」


 いくら探しても、強力なポーション類は無かった。昨日潜った迷宮で出てくる死霊系モンスターは、回復系のドロップを出すことはほぼ無く、今日倒した者達では、せいぜい下級ポーションの素材程度となる。次にサモンドロップをチェックすると主だったところは


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・・・・

サモン 大ガエル レベル1 ×1

サモン 狼 レベル1 ×1

サモン コボルト レベル1 ×3

サモン ハイレイス レベル1 ×23

サモン どくどくゾンビ レベル1 ×12

サモン エクストラキョンシー レベル1 ×3

サモン ウィザードスケルトン レベル1 ×213

サモン エルダースケルトン レベル1 ×213

サモン コマンダースケルトン レベル1 ×383

サモン ジャネラルスケルトン レベル1 ×219

サモン キングスケルトン レベル1 ×186

・・・・

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 だった、同族は一つになるので、死霊系はスケルトンにつけて、残りは、新たに召喚した

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角獣族 一角ウサギ レベル126

スライム族 スライム レベル182

家畜族 プチカウ レベル184

ゴブリン族 ゴブリン レベル181

死霊族 キングスケルトン レベル186

両性類型 大ガエル レベル1

狼系 狼 レベル1

コボルト系 コボルト レベル1

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 おぉ、スケルトンがキングスケルトンに進化している。あと、ミスリル等のレア素材を含め素材等は沢山あったが、今は全く役に立たない。スキルは、


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スキル 気力のきのみ × 213

スキル 素早さのきのみ ×1

スキル 器用さのきのみ ×3

スキル 魔力のきのみ ×23

スキル 毒耐性の実 ×12

スキル 命力のきのみ ×3

スキル 死霊魔法の種 ×426

スキル 指揮の種 ×383

スキル 将軍の種 ×219

スキル 王者の種 ×186

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 種か、純粋に死霊魔法とか、指揮とかのスキルを持っていないから使えないな・・・・。ここがどんな所かわからないのでとりあえず、素早さ、腕力、魅力を可能な限り高め、器用さを2、魔力を6、命力を2高めておいた。

 あと、アイテムでって


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スーパーレア マジックゲート(中) ×213

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 マジックゲートは、見た目と比べ沢山の物を収納出来るバック、マジックバックの材料だ。小型のマジックバックで、最低約10万ゴールド。これだけ有れば、どんだけの価値があるか計り知れない。とりあえず、ひとつだけ実体化させ、ポーチに付けてみた。入れる物無いけど。(少し虚しい。)

 あと、僕が装備出来そうな武具はなかった。


「サモン スラ吉、サモン ホネ吉、サモン ウサ吉、サモン ゴブ吉。」


 すると、4体の召喚獣が現れた。ホネ吉だけ進化してるのを見て、ぎゃーぎゃー、ピョンピョン騒ぎ出した。多分不満の現れだろう、召喚獣なのに。


「静かに、みんな進化できるサモンドロップを手に入れたら進化させるから、頑張ってくれよ。」


 そう言うと、何とか落ち着きを取り戻した。


「ホネ吉と、ゴブ吉は、周囲の敵を殲滅。うし吉は、ロッシを背負って、みんなをサポート。スラ吉は、うし吉の周りを警護、ウサ吉は正面突破で道を開け。」


 みんなが、いななき、僕達は一歩づつワープ石から、部屋の出口に向かって歩き出した。


 「どんな敵が出てくるのか。そもそも何階だよ。」


 出口付近で、今までと全然大きさが違う化物の影が見えた。少しづつ近寄っていくと、黒い肌のミノタウロス、王様の格好をしたオーク、赤銅色の鬼、緑のドラゴン等が近寄ってきた。


 「ブラックミノタウロス、キングオーク、レッドオーガ、グリーンドラゴン。どれも30階に近い階層のモンスターか。ヤバイか。」


 そう、このランクのモンスター達は、キングスケルトンよりも2回り位高ランクなモンスター。昨日は10階で、ボス部屋モンスター。普通に出て来て20階手前。このランクは20階のボス部屋レベルだ。但し、キングスケルトンや、ジェネラルスケルトンは、10階のボス部屋で出てきたら不運と言われるレベルだが、それでも、キングスケルトンですら中級迷宮のボス部屋である20階モンスターで出てきたら雑魚ボス扱いとなる。


「いくぞ。」


 そう言うと、まず、ホネ吉ご炎をぶっ放しグリーンドラゴン2体を燃やした。のたうちまわるグリーンドラゴンに、ゴブ吉が駆け寄り、思いっきり振りかぶってグリーンドラゴンの首を刈っていった。

 一方、ウサ吉は、キングオークにツノから突っ込んでいくと、キングオークは避けきれず腹にツノが刺さった。だが、キングオークはニンマリとして、の腹の厚みで受けきられた。キングオークは、持ってた剣を振り上げ、ウサ吉にシュッと斬りかかった。

 ピシュッ

 横から緑の物体が飛んでいき、剣を直前で叩き落とした。その瞬間キングオークは怯んだ、ウサ吉は、その一瞬を見逃さず、ツノを抜き、顔にグサリ。キングオークは、そのまま、後ろに倒れ消えていった。

 僕の目の前には、ブラックミノタウロスと、レッドオーガが睨み合っている。


「は?」


「ガウォー」「ウウォー」


 叫びあい揉めている。


「あっ殴り合い出した。」


 ブラックミノタウロスと、レッドオーガが、武器を投げ捨て殴り合いを始めた。多分、僕をどっちが倒すかで揉めているんだろう。大丈夫かこの迷宮。今のうちにと、少し逃げようとすると、ギッと、二体か睨まれた。


「逃げられないのね。」


 そうしてる間に、次々と現れたブラックミノタウロスと、レッドオーガが殴り合いに参加して、キングオークも加わっていっている。その隙に、グリーンドラゴンをバシバシホネ吉達が連携して倒してるんだがおかまいなしだ。何か分からないモンスターをウサ吉が相手してるけど、ウサ吉はこの中では弱いので、スラ吉がフォローしまくっている。この二体は普通に仲良く、ゴブ吉とホネ吉は喧嘩仲間って感じだ。それぞれを分かっているので、アイコンタクトなしに連携出来ている。


 僕だけ暇だ。こんな数のブラックミノタウロス、レッドオーガ、キングオークが襲ってきたら、確実に持たない、相手できて、1人だけだ。何か変な光景の中、手を出せずに暇をしていた。僕は、魔石を2つ取り出して、ジャグリングの練習を始めた。多少危ないが、卒業パーティーの芸として練習していた物で、何とか上手くできて、2つを3つに、3つを4つに増やして回していた。

 すると、一体のキングオークがやってきて、僕から、魔石を取り上げた。

 ブラックミノタウロス、レッドオーガ、キングオーク達が手を止めてキングオークを注目し、キングオークはジャグリングを始めた、当然初めてなので、すぐに魔石を落とすと、魔石は、衝撃で爆発して、キングオークは、痛みで足を抑え、他のモンスター達は大笑いをした。


「まてよ、レベル1の無属性魔石で、あんなに痛がるのなら、レベル10、つまり512倍の威力の属性魔石では、」


 と、僕は、咄嗟にここを抜けるアイデアをひらめき次の瞬間動き出した。レベル10魔石は、万単位で持っている。まず近くのキングオークに、火の魔石を投げつけた。腹に当たったが、勢いよく破裂し、体の半分が吹き飛び、残りの体中が強烈な炎に包まれた。

 ブラックミノタウロス、レッドオーガ、キングオーク達は、それをみるなり僕に襲いかかってきた。

 風の魔石を投げつけると、暴発と共に、強烈な竜巻が襲い、当たったモンスターだけでなく、周りも巻き込んでいく。水の魔石を投げつけると、爆発と共に強力な水圧の水の弾丸が飛び散り、周りのモンスターの体に穴を開けていった。闇の魔石を投げつけると、爆発と共にモヤモヤした煙がたち、周りを混乱させ同士討ちを誘った。土の魔石は、爆発するだけだった。何故?

 ドンドン色んな魔石を投げつけて続けること10分。各200を超えるモンスター達の殲滅に成功した。次々くるモンスターも殲滅していき、20分で出口に辿り着いた。


「何とか辿り着いたぞ。」


 その声と共に、召喚獣達は雄叫びをあげた。

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