第4話 ドロップ整理
ダンジョンから真っ直ぐ冒険者ギルドに併設する冒険者学校の宿舎に戻った。
「じゃあ2時間後に食堂で」
「じゃあ、そう言えば、大丈夫か?戻るまで言葉少なげだったけど。自分が英雄じゃ無いとわかってショックだったか?」
「いや、初めてのダンジョンアタックだから、緊張で疲れただけで大丈夫だよ。」
「そうか?ならいいや。」
ロッシは、僕の不安定な気持ちを汲み取ってくれて心配してくれている。不安定な理由は別にあるが。
僕は、部屋に入り、荷物を置くと、ベッドにバタンと倒れ込んだ。
「はー。疲れた。まじか。まじなのかあ。何だこのドロップ。」
はー。と一息ついて、寝ながら、
「ウインドゥ。」
と、ウインドゥを開けた。
「アイテム、ドロップ品っと。」
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魔石レベル1×26
銅1キロ×26
風の魔石 レベル10×26
一角ウサギ レベル1 ×26
素早さのきのみ 1粒×26
一角ウサギの肉1体分×26
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とりあえず、魔石から、魔石は、生活に必要な魔電力発電の燃料として主に用いられており、今の魔導文明の根幹として、冒険者の魔石取りは重要な役割を果たしている。人一人が1日生活するに必要な魔電力は、魔石レベル1が1個分とされており、魔石レベル1が1個を1ゴールドで冒険者ギルドが買い取っている。レベルが1上がると発電力が2倍となり、価値も2倍となる。同じレベルの魔石は、ウインドゥのドロップ品から実体化させるまでなら、合体して、レベルを上げることができ、出来る限り合体させ数を減らしてから納品するのが一般的だ。
次に風の魔石、所謂属性魔石と呼ばれるもので、風の属性がついている。ノーマルでは、取れず、レアか、スーパーレアでしか取れない。魔導具の動力や、魔剣の属性付与に使い、レベルは、用途によって異なる。普通の魔石を含め魔石は、所属ギルドでしか売買を禁止されており、冒険者ギルドは、同レベルの魔石の倍の価格としている。
銅、これは、金属だ。武器、防具、魔導具の材料となる。冒険者ギルドより、鍛冶屋に直接卸した方が金になるが、地元しか伝がない。
一角ウサギ。所謂召喚獣や使い魔として、召喚出来る様になるドロップ品だ。召喚は、1種族1匹までしか召喚できず、ダブりは、レベル上げに使える。迷宮にいる一角ウサギは、大体レベル3-4なので、レベル1をゲットして、召喚して、瞬殺される事が、あるあるだ。ダブりのレベル上げは他の召喚獣にも使えるので、一角ウサギは、単なるレベル上げの材料にされている。
素早さのきのみは、ステータスを上げるアイテムだ。ステータスは、表示は、1項目だがベースと、スキルに分かれていると言われている。スキルは、0から1にはきのみ1粒、1から2にはきのみ2粒、2から3にはきのみ3粒と、上げる度に必要なきのみの数が変わっていく。ベースは僕達が平均50位で、一人前の冒険者で平均100程度。1、2上がっても、調子による影響の方が大きいが、溜まっていくと差が大きくでてしまう。10まで上げるのには55粒必要なので、確率的にはソロなら5500体倒せば良いが、20まで上げるには、210粒、ソロなら21000体倒さないといけない。ステータス1つでなので、魔力、体力、素早さ、腕力、器用さ、魅力、賢さ、命力、気力の9ステータスをだと、ソロで189000体。迷宮のボスは複数個持っていることもあるが、原則1体1個、また、パーティだと必要な討伐数がメンバー人数倍にあることもあり、普通に冒険をしていれば、平均20上げるのが実質的に限界と言われている。天才は平均500を超えると言われ、勇者は1000を優に超えていくと言われている為、才能には勝てないが、もしかしたら、平均から抜け出すことが出来るかも知れない。
一角ウサギの肉は、丸々一体分の肉だ。量的には20キロ位で、モモ肉が発達している。肉はアイテムに保管して、迷宮で、食糧が尽きた時のために入れっぱなしも多いと聞く。研修中、食糧が手に入ったら食堂のおばちゃんに渡して料理してもらい、皆に振る舞うのが通例らしいので、一体分だけ渡しに行かないといけないが、とりあえず、この事実をどう受け止めれば良いかわからずにいた。
普通に考えれば、一角ウサギで通常1ゴールドしか得られないものが、魔石や、金属で約1600ゴールド、加えて肉や召喚獣、きのみと、数千倍の利益を得られれば嬉しいことこの上ない、セイルーン市クラスの都市で一月暮らすのに一家族で3000ゴールド位と言われるので、1日で一家族が1年以上暮らせるだけの利益を得たことになる。それだけの金を持っていれば、命を狙われることもあるし、いつまでこの幸運が続くか分からない。
「とりあえず、このことはロッシにも言わない事にしよう。」
と悩んでいる中で壁の時計を見ると、あと10分で集合時間となっていた。僕は、急いで着替え、食堂に向かった。
「おばちゃん、一角ウサギの肉GETできたよ。」
「そうかい、アレックス。そこに置いといてくれ、他には、スノーちゃんと、バルス、レックスと、ドルフェンが持ってきたよ。今日は少なめだったね。明日は、ゴブリンのいる迷宮にアタックするんだろう。明後日のプチカウのいる迷宮に期待かな。あはは。」
「そうだね、持ってこれる様に頑張るよ。」
「5つの迷宮、こんな中で、君に合う迷宮を見つけて稼がないと、ランクEになれる1000体には届かないからね、20日でクリアできるのは、今回は30人位かね。出来なきゃ残りの2ヶ月で1000体倒せばランクFになれるが、良いクランに入りたかったら、ランクEになっておかないと厳しいから、頑張りなよ。」
「ありがとう、おばちゃん。」
「あと、今日もお残しは許しまへんでー。」
「わかっているよ。ありがとう。」
おばちゃんとの会話で、少しは気が晴れかけたが、ふと『僕ってクランに入ったらどうなるの?能力ばれたら、戦闘をせず危険な迷宮を連れまわされ、GET担当になるの・・・。自分のペースでやりたいのに・・・。怖い・・・。うー。』と悩みが深くなって行った。
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