第2話 初めてのドロップ
「はぁー、はぁー、はぁー」
「アレックス。大丈夫か・・・。」
「ロッシ、大丈夫そうだ・・・・。」
僕は、曲がり角を、壁を背にしながら覗き込み、曲がり角の先に何も居ないことを確認して、汗を拭った。
「はぁー、はぁー、はぁー、進むぞ」
僕は、薄暗い迷路をゆっくりゆっくり、警戒しながら進んでいった。
バタバタバタバタ
前の方から足音が聞こえると、白い毛玉が突っ込んできた。
「一角ウサギだー。気を付けろ。」
僕は、盾を構え、何度も何度も訓練した通り、足を踏ん張り、毛玉が突っ込んでくるのを待った。多分一角ウサギを目で捉えてから2、3秒しか経っていなかったが、僕には途方もなく長い時間に感じられた
ドーン
僕が、一角ウサギを受け止めると、一角ウサギの動きが止まった。その瞬間
グサッ
一角ウサギの首をロッシが刀を振り抜いて斬り殺した。
ピコン
そう頭の中で音がすると、一角ウサギは、大量の血を流す事なくかき消す様に消えていった。
「はー。何とか一匹目。」
「お疲れ。」
僕と、ロッシは、2人でハイタッチをして、お互いを称えた。
ここは、初級ダンジョン「セイレーン第4迷宮」の1階。僕達パーティーは、盾役のナイトである僕と、アタッカー役のファイターであるロッシの2人だ。
僕は、騎士爵家の五男として生まれ、一番上の兄が帝都の帝国騎士学校を卒業したのを機に、冒険者になるべく、地元の町から、ここ帝国南部、帝国第三の都市セイレーン公爵領公都セイレーンの冒険者学校に来て、三か月の研修の後、実地研修として、初級ダンジョンに潜ることとなった。相方のロッシも、騎士爵家の三男で、同い年の幼なじみ。同じ境遇で、一緒に地元から出てきた。二人とも才能は騎士爵家出身として並程度。飛び抜けて優秀でも、劣等でもない。本当に並。英雄譚に出てくる十把一絡げで纏まって死んでいくモブの様なレベルだ。
「じゃあ、とりあえず、一発目のドロップ品の確認しようか?俺は、レア位引きそうな気がするよ。」
「そんなこと、あるかよ。」
「じゃ、一緒にチェックするか。」
「だな」
「「せーの。ウインドゥ」」
興奮した僕達の掛け声と共様に、手に持った板に、ウインドゥと呼ばれる画面が現れた。この板は、冒険者になる時に、冒険者ギルドに併設する神殿で貰ったもので、神から頂いた板「ウインドゥ」と呼ばれているもの。表示する魔法もウインドゥと言われている。ウインドゥには、ステータス、ドロップ、リザルト、アイテム、サモンがあり、ダンジョンで出てくるモンスターを倒すと、ドロップ品と呼ばれるものが、ドロップに表示される。普通の動物を倒すとその死体を食糧、素材として取得できる代わりに、ダンジョン等にいるモンスターは、ドロップ品を手に入れることができる。
僕はウインドゥのドロップを押した。一角ウサギは、ノーマルドロップとして、レベル1魔石が手に入り、低確率で、レア、スーパーレア、サモン、スキル、アイテム各ドロップが手に入る。
「はー?」
僕は大声を出してしまった。
「アレックスどうした。もしや、レアが手に入ったか?まあ、聞くのはマナー違反だから聞かないが、大丈夫か?」
そう、昔、ドロップのせいで殺し合いになることが多かったので、パーティメンバーのドロップ内容を聞くのはご法度になっているが、僕のドロップは、
------------------------------------------------------
ノーマル 魔石レベル1
レア 銅1キロ
スーパーレア 風の魔石 レベル10
サモン 一角ウサギ レベル1
スキル 素早さのきのみ 1粒
アイテム 一角ウサギの肉1体分
------------------------------------------------------
ノーマルドロップは、必ずゲットできるので良いとして、レアドロップこれは100分の1の確率と言われている。銅1キロ大体30ゴールド位の価値だから、魔石レベル1が30個分だ。
次にスーパーレアドロップこれは10000分の1の確率と言われており、風の属性がついた、魔石レベル10。魔石は、レベルが1上がる毎に価値が倍になると言われているので、512ゴールドで属性付きで3倍。1536ゴールドの価値がある。
サモンドロップこれはモンスターを召喚できるもので、他人に譲渡出来ないが、20000分の1の確率で手に入る。俗に使い魔とか言われる使い方をする。
スキルドロップこれは、能力や、スキル向上の為のアイテムで、能力系だと100分の1位の確率で、素早さのきのみは素早さの能力を単純に伸ばしてくれる。
アイテムドロップは、倒したものが解体した形でゲット出来る。大型モンスターだと、一部だけだったり、人形だと装備品だったり、霊体だと出来なかったりするが、50分の1~5000分の1位の確率でモンスターによって異なる。
基本、ノーマルドロップのみで、偶にノーマルドロップ+もう一つというイメージで、3つドロップしたケースは聞いたことが無い。今までの確率は、パーティー当たりなので、今は二人パーティーだから確率は更に半分だ。
「あはは。後で一緒に肉食べよう。」
「アイテムドロップか。みんなで食おうな。」
「そうだね。あはは。」
僕は、ドロップの確認ボタンを押し、アイテムに移した。内心『うそ、何で、こんなの、まぐれ過ぎない。大丈夫か。まじまじまじ?』と混乱しつつも、ロッシが知ったらどう思うかわからないし、偶々の偶々だろうから、浮かれないで、とりあえず冷静ならないと、モンスターの相手をする中で、命に関わる。気持ちを抑えて、次のモンスターに臨む事に集中させた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます