ドロップキング 〜 平均的な才能の冒険者ですが、ドロップアイテムが異常です。 〜
出汁の素
第一章 はじまりの物語
第1話 無関心?な僕
「はーい。皆さん注目~。」
僕の通うセイルーン冒険者学校の食堂兼講堂で、夕食を食べている中、狼の顔をした厳つい獣人のベルヌーイ先生が、演台にあがり大声を出した。
「はーい。皆さん、ダンジョンアタック研修1日目お疲れ様でした。今日から一か月、週五日、合計二十日潜ってもらいますが、初日は、けが人無く終わらせたのは大変良かったです。さて、初日ダンジョンアタックでの皆さんの成果は、帰還時に報告してもらいましたが、素晴らしいものでした。毎回恒例で順位発表をおこなっています。ということで、本日の一位は、」
ベルヌーイ先生が一瞬タメを持ち、食堂が静まりかえった。
「131体で、二位にトリプルスコアをつけた、スノー、アリアペア。演台に、」
そう言われると、スノーと、アリアが立ち上がって、演台に上がって行った。
初日圧勝したスノーは、端正な顔に、清楚な学級委員長タイプの女の子で、背は中くらいで、モデル体型。アリアは、柔和な顔立ちに、おっとりした天然系の女の子で、背は低く、女性的な身体のラインをしている。
「皆さん、ありがとうございます。」
彼女達が演台に上がると割れんばかりの拍手に包まれていた。
「アリアさんのおかげ今日は、一位をとれました。明日以降も今日は偶々だと言われない様に頑張っていこうと思います。20日で、1人あたま500体、私達と同じ2人パーティーなら1000体倒さないといけません。これからより辛い日々が待っているでしょうが、みんなで助け合って頑張って乗り越えていきましょう。」
スノーさんが、ペコリと頭を下げると、男女問わず、みんながどっと雄叫びを上げた。そう、スノーさんは、僕ら冒険者学校男女問わず中心的生徒であり、皆の憧れの的だった。
「いいよなー、スノーさん」
ぽーっと見ている僕の相棒のロッシだったが、僕はそれどころではない状況であり、生返事を繰り返すばかりだった。
「アレックス、聞いてんのかよ、いいよなースノーさん。圧倒的な強さで、魔法学校でも主席だったって言うぜ、再来月には、帝都の帝国魔導学院への進学を決めている位の天才魔道士だし、将来ドラゴンが跨いで歩く位の魔道士になるんだろうな・・・アリア様と一緒に組んでいる位だからお嬢様なんだろうし、みんなに優しいし、リーダーシップはとれるし、公平公正だし、美人で、スマートで、非のうちどころが無いくらいの人だよな、あこがれるなー。」
そうだろう、僕も冒険者学校に入って一瞬で心奪われた側の人間だ。可愛く、強く、優しく、頭もいいお嬢様。天は彼女に何物与えてんだって位の女の子だった。でも、今日の僕には何の余裕もない感じだった。
「私は、スノーちゃんの様にうまく話せませんが、皆さん、これからも一緒に頑張りましょうね。(ニコッ)」
スノーさんに続いて笑顔でペコリと頭を下げたのが、アリア様。様づけなのは、アリア様は、このセイルーン公爵領の領主リカルド・セイルーン公爵閣下の直系のお孫様。リーハイム・セイルーン次期公爵の次女にあたる方で生粋の貴族となる。彼女には必ず護衛が数人ついており、今回の研修にも離れて付き添っているらしい。彼女は回復・支援系魔法が得意な白魔道士で、武器はエストックを使っている。剣の腕は僕より数段上で、身のこなしも凄いが、実に実に天然さんで、おっとりした性格だ。
「アリア様も可愛いし、あのパーティー凄いよな~。そう思うだろ・・・。」
「はぁ~。」
「アレックス大丈夫か・・・さっきからボーッとして。」
僕の生返事にロッシも気になっただろう、怪訝そうに聞いてきたが、
「大丈夫だよ~。疲れたかな。」
「ならいいけど。」
そういうと、ロッシはみんなと一緒に初のダンジョンアタックが無事終わって、それなりに結果を出していた事に高揚し盛り上がっていた。
ただ1人僕は今日起こった事の整理がつかず興味なさげにボーッとしており、スノーさんが私をじーっと見ていた事に気付いていなかった。
僕が何故こんなにボーッとしているのか、それは先ほどまでやっていたダンジョンアタックに遡る。
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