Archive‐『ナハツェーラーの葬送歌』

タイトル:『ナハツェーラーの葬送歌』

著者:遠野捷

あらすじ:

AIが発展し、選民の上で民を上・中・下層に別けて発展した国・ヴィンランド。

上層民が中枢を担い、中層は下層を管理し、下層が労働する。決して覆せない格差ではあったが、民が食いっぱぐれることのない、完全な管理社会が為されていた。

ヴェスヴィオ・クレスニクは、警吏として働く中層民である。近年増加している下層からの侵境者を調査すべく、下層のチャイニーズ系クラスタ・竜游ロンヨウへと赴き、そこでレジスタンスを名乗る集団『黒獣ヘイショウ』の長・凛鴉リィヤと邂逅した。

彼女は問う。「其方はあの壁を超えたことはあるか」と。

上層区画とそれ以下を隔てる壁――カスケット。権利なき者が通過できるのは、死罪の時のみ。

凛鴉は続けて言う。「あの壁の向こうに、血の通った人間は存在しない。居るのは悍ましい『貪る者ナハツェーラー』だけだ」

はじめこそ信じなかったヴェスヴィオだったが、下層八部族と接触し、やがてこの国の真実に気が付く。

これは、人間の人間による、人間が人間であるための戦いの記録である。

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