第35話 学園祭3

いよいよ学園祭!

今日と明日の2日間開催される。

学園の門から装飾が派手だ!

みんな笑顔で登校している。


お兄様は早くから登校していて、忙しそうにしているのが見えた。

キリッとした凛々しい横顔だわ!

でも私に気づくと駆け寄って来てくれた。


「メリア!朝は一緒に登校できなくてごめんね」


ギュッと抱きしめて、朝から美麗お兄様の抱擁をいただきました!


「お兄様!大好きよ!」


私も抱き締めてお仕事を頑張っているお兄様に愛をお返しだ!


「メリア!」


お兄様大変満足である。


「クスクス。朝から仲が良いですね」


「レイ様!」


「そうだろう。君よりね」


お兄様はより強く抱きしめる。


「会長!こちらに戻って来てください!」


「もう!?」


お兄様は呼ばれて渋々戻って行った。


「お兄様!頑張ってくださいませ!」


手を振ってエールをおくる。

お兄様はパァッと笑顔になって手を振り返してくれた。


「さ、教室まで送るよ。…やっぱり似合うね」


レイ様が私の髪に結ばれているリボンを見ながら微笑む。


「とても素敵なリボンをありがとうございました。嬉しいです」


赤い顔でお礼を伝える。

朝はソワソワと鏡で何度もチェックしてしまった。

それを見ていたお母様やロジー達にクスクス笑われた。


プレゼントしてくれた小箱に入っていたのは、綺麗なレースのピンク色のリボンだった。濃い紫色の刺繍のアクセントも入っている。


昨日の夜はお花とリボンを見てまた特大イッチくんに抱きついてジタバタしてしまった。

そして小さくカットして、私のイッチくんマスコットにも着けてみた。

イッチくんがより可愛くなった!


教室までの道を今日のレイ様の演奏会の話をしながら歩いた。


「では演奏会楽しみにしていますね」


レイ様にまた後でと伝える。

すると、教室の前で止まりレイ様がポツリと呟いた。


「フレッド様が羨ましいね。私にもして欲しいな」


「え? 頑張ってくださいませ!」


レイ様に手を振ってエールをおくる。


「これだよ」


「!!」


教室の前でギュッと抱きしめられてレイ様の体に包まれる。


「フフ。これで頑張れそうだよ。では後で講堂Aに来てね」


あんな事をしたのに爽やかに教室へと向かって行った。

レイ様ってば!こんな事して!

べ、別にレイ様だから嫌じゃないんだけど!!

むしろ、う、嬉しいような…。

それにレイ様の香りが…。

カァーッと顔がまた赤くなる。


「本日もお見事ですわね」


里英ちゃん!


「見てた?」


「皆様ご覧になっていらっしゃいましたわよ」


早苗様!


「え、皆様?」


周りを見回すと皆が顔を赤くしていた。

ここは教室前だから当たり前か。

ひー!恥ずかしい!


「リボンも可愛いね」


ライル殿下はクスクスと笑いながらお兄様のいる生徒会へと向かった。



「さて、いよいよ学園祭が始まります!私達のクラスは明日が本番です!各自明日の確認をしてから、学園祭を楽しんで来て下さいね!」


里英ちゃんが皆に伝える。


わあっ!と皆がそれぞれ動き出す。

私もこの後はレイ様の演奏を聴きに講堂Aに行く。

明日の確認を終わらせてから、レイ様の演奏会の時間まで元イチオシ社女子達で学園内を見てまわる事になっている。

教室を出たところでふと、また視線を感じた。


「…ん?」


「どうしたの?」


「なんか最近誰かに見られてるような?」


キョロキョロと周りを見る。


「特に誰もいなさそうだけど…」


ふたりもキョロキョロする。


「いっぱい人がいるからかな?」


変だなと思っていると


「メリアーナ!」


「!!」


タキシード姿のレイ様!!

また髪をサイドに流して大人っぽいバージョン!!

格好良いわ!


周りのご令嬢方も『きゃあ!』と色めき立つ。


「演奏の前にもう一度会いたくて…」


レイ様が私をじっと見つめる。


「レイ様?」


「…講堂Aの予約席のチケットだよ。3人分でいいかな?目印がしてあるから分かると思うよ」


「あ、ありがとうございます」


大人っぽいバージョンはパーティーを思い出してしまう。

俯いてモジモジしてしまう。


「クスッ。ねぇ、さっきのもう一度していい?」


レイ様が顔を近くで覗きこんで耳元で囁く。


「ーーッ!? ダ、ダメです!」


囁かれた耳を片手で押さえる!


「ダメなの?」


「!!」


首をコテンと傾けて聞くレイ様。

普段なら可愛い仕草なのに!

大人っぽいバージョンだから色気まで出てるわ!!

どういう事!?


「フフフ。残念。では演奏の後でまた」


講堂へと向かったレイ様をポーッと見ていた。


そんな私を遠くから鋭い視線で見ている人がいた。

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