第247話 リディアちゃんとおでかけ
翌日、俺とカエデちゃんはリディアちゃんを連れて、ショッピングモールに来ていた。
今日は平日なため、そこまで人も多くなく、アルクがいなくても安全だ。
俺達はパフェが目的なのだが、せっかく来たのでカエデちゃんがリディアちゃんの服を選んであげたりと、ショッピングをしている。
なお、その間、俺は暇でただ見ているだけだ。
その後も服を見たり、アクセサリーの店に行ったりして楽しんでいると、家具屋にやってきた。
「この世界の物は本当にすごいですね。このベッド、ふかふかですよ」
リディアちゃんが展示品のベッドに腰かけ、跳ねる。
「アルクはソファーで寝てたな」
今でもたまにウチに泊まることがあるが、その時はソファーで寝ている。
「確かにあのソファーで寝ても気持ちいいでしょうね。ウチのベッドよりも良いものです」
同じようなことをアルクも言ってたな。
「他にも羽毛布団とかあるよ」
その後もカエデちゃんが色々と商品をアピールしていく。
「すごいですね……買って帰ろうかな? あ、でも、お金がないです」
「先輩が出してくれますよ」
「そうなんですか?」
リディアちゃんが俺を見てきた。
「金はいくらでもあるからね」
というか、ミーアを含めた3人の買い物は基本、俺が出している。
王様やアメリカ、日本から大量の黄金をもらっているし、クレアやサツキさんに売っている各種ポーションやアイテム袋で資産がどんどん貯まっていっているのだ。
このくらいは出す。
「ありがとうございます、師匠」
うんうん。
「これとか冬は暖かいよ」
カエデちゃんが電気毛布を紹介した。
「すごいですね。エアコンもですが、こういう寒さや暑さへの対処アイテムが多いです」
「でしょー。もう少ししたら暑くなるし、この国ではエアコンが必須なんだよ」
「それはウチもですね。暑いのは嫌いです。なんか暑さ対策のアイテムとかないんですか?」
「うーん、あるけど、電気がねー……」
カエデちゃん、誘導が上手いな……
「やはりそれがネックになりますよね。家でテレビゲームをしたいんですけど、それも無理ですし」
携帯ゲームならできるだろうけど、さすがにテレビはね。
「まあ、今はアルクちゃんが連れてきてくれるよ」
「それもそうですね……師匠、お腹が空いてきたんでレストランに行きませんか?」
リディアちゃんにそう言われて時計を見ると、時刻は12時前だった。
「それもそうだね。行こっか」
俺達は家具屋を出ると、1階にあるレストランに行き、昼食を食べる。
そして、デザートにパフェを頼み、3人で食べだした。
「やっぱりこれが一番美味しいです。見た目も豪華ですし」
リディアちゃんは幸せそうな顔でパフェを食べている。
「まあ、リディアちゃん、ロイヤルだもんね」
「まだですけどね」
リディアちゃんって商家の娘さんだったと思うけど、アルクよりも品があるんだよなー。
「リディアちゃん、パフェ美味しいねー」
同じくパフェを食べているカエデちゃんが笑顔で同意を求めた。
「はい。連れてきてもらいありがとうございます。それにいつも家に呼んで頂いて嬉しいです」
君らが勝手に来てるだけで呼んではないんだけどね……
まあ、いいんだけどさ。
「狭くてごめんね」
「いえ、そんなことないですよ。快適です」
「実は私達、引っ越そうかと思っているんだよね」
小悪魔もとい、悪女カエデちゃんが本題に入った。
「そうなんですか?」
「うん。ほら、結婚したし、よくお客さんが来るからもう少し広い家に引っ越そうかと思ってるんだよ」
「ああ……師匠が豪邸に住みたいって言ってましたね」
「それそれ。まあ、豪邸はないかなって思っているんだけど、もうちょっと広くて部屋が多い部屋に住もうかなって思っているんだよね。お金はいくらでもあるし」
めちゃくちゃあるね。
しかも、金の延べ棒で積み木遊びもできる。
「なるほど。いいんじゃないでしょうか? しかし、そうなると引っ越し作業が大変ですね。アルクを使うといいですよ。アルクの転移は便利ですから」
それもそうだな。
アイテム袋と転移があれば、引っ越しなんて数時間で終わるだろう。
「いいのかな?」
「アルクも断らないと思いますよ。さすがにこれだけお世話になって嫌がるなら私が説教します」
完全に尻に敷かれているね。
「ありがとー。それでさ、よかったらリディアちゃんやアルクちゃんの部屋も用意しようか? あと、ミーアちゃんも」
大事なのはミーアね。
「私達ですか?」
「うん。いつも来てるし、部屋ぐらい用意するよ。ふかふかベッドでエアコンの生活を送りなよ」
このために家具屋に行きました。
「うーん、でも、悪いような……御二人って新婚ですよね?」
その気遣いがあるのにあんなに入り浸るところはユニークスキル持ちって感じがするわ。
「大丈夫、大丈夫。ね? 先輩?」
「うん、そうだね」
君ら、どうせ入り浸るんだからすべての家事をしてくれるメイドさんをくれ。
「しかし、私達が住んだとしても御二人に子供ができたらどうするんです? 部屋が足りなくなりませんか? 師匠、子供が欲しいんですよね? まあ、それは私達もですけど」
「そうなったらまた引っ越せばいいよ。お金は使いきれないほどあるもん。ね? 先輩?」
「うん」
カエデちゃんとの子供欲しい。
「まあ、確かにとんでもない量の金をお持ちでしたね。うーん……」
リディアちゃんは悩んでいる。
「なんか不満でもあるの?」
「いや、そういうわけではないです。正直なことを言うと、私、あの地下に住むのは嫌です。息がつまりそうですし」
確かにあのモグラ生活はきついな。
俺達も泊まったことがあるが、一泊でも結構きつかった。
「うん……正直、ちょっと辛いよね。王族の安全のためらしいけど、精神が参りそう」
「そうなんですよね。だから御二人の住まいに住まわせてもらえるのは大変ありがたい話です。ある意味、ものすごく安全な場所でもありますし」
こっちの世界に2人の敵はいないからな。
まず存在がバレてないもん。
「ということは他に何かあるの?」
「陛下をどうするのかなと……」
あ、王様のことを忘れてた。
「大丈夫だよ。よく考えてみて。あの地下のお屋敷って廊下とかなくて転移で移動しているわけでしょ? その転移先がウチになるだけだよ」
ホント、不便な屋敷だよな。
転移が使えないミーアもリディアちゃんもアルクか王様がいないと部屋から出られない。
「確かにそうですね……エアコン、ゲーム……」
「お菓子」
「ジュース」
俺とカエデちゃんが誘惑の言葉を投げる。
「良いと思います!」
よし、これで決まりだ。
商人の子は足し算引き算が上手で良いね。
「じゃあ、帰ったら部屋を探してみよっか」
「はい!」
よし、引っ越そう!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます