第131話 ナナポンの大学生活がうらやましい
あのガキのせいでギルド関係者は昨日大変だったらしい。
「あのガキはどうなったの?」
「今日はその件で来た。すごかったぞ。あの子の親御さんが駆けつけるなり、あの子をぶん殴るわ、怒鳴りつけるわで大騒ぎだった」
すげー。
ちょっと見てみたい気もするが、現場にいたヨシノさん達は大変だっただろうな。
「ふーん、まあ、どうでもいいわね」
「どうする? 被害者は君だから君の判断次第に任せるけど」
「興味ない。そっちで対処してちょうだい」
あんなガキなんてどうでもいいわ。
「わかった。こっちで対処しよう。ちなみに、親御さんが謝罪をと言っているんだが…………」
またかい……
「もう勘弁してちょうだい。関わりたくないって言って断って。お金にもならないことをこれ以上したくない」
「わかった。その方向で進める」
良いことをしたら返ってくるって教わったんだけどなー。
嫌なことしか起きてないわ。
「この話は終わり?」
「そうだな。あとはこっちでやる。それとなんだが、クレアのオークションが終わったことは知っているか?」
「昨日だっけ? 昼に会った時にテンションが高かったわね」
珍しく、ラーメンに文句を言っていなかったし、味玉をくれた。
「1万5千ドルになった。200万円前後だな」
あんなもんに200万円?
いや、すごい効果ではあるんだが、24時間で効果が切れるんだぞ?
「物珍しさからかしら?」
「多分、そうだと思う。君の例のテレビがいい宣伝になったな。あれは世界中で再生されているし」
アイテム袋の宣伝のために出たのに翻訳ポーションの宣伝にもなったのか。
「まあ、儲かったのならいいわ。本部も買うんでしょ?」
「それなんだが、200万円はちょっと…………」
まあ、高いわな。
「いくらよ?」
「50万円……」
四分の一かーい。
「ホントは100万円で50万円をポケットに入れる気でしょ」
「いや、25万円をポケットに入れる…………ナナポン、お金をやるからちょっと買い物に行ってこい」
「嫌ですよ! というか、何をする気ですか!?」
「あなたは本当に安い女ねー。25万で身体を売る気?」
さすがに呆れる。
「そこまでせんわ! ちょっとした大人の話し合いだ!」
「じゃあ、私がいてもいいじゃないですか」
「…………子供には刺激が強いかもしれん」
「うわー……引くわー……」
ナナポンがドン引きしている。
俺もちょっと引いている。
「もう50万でいいわよ。どうせ数は要らないんでしょ?」
「そうか! 5個だな!」
ヨシノさんが満面の笑みになる。
「5個ね……」
俺の儲けは250万円でヨシノさんが半分の125万円か。
かなりヨシノさんに取られているが、元々、翻訳ポーションで稼ぐ気はなかったし、数が捌けないならどうでもいいや。
250万なんてはした金なのだ。
「じゃあ、ここにサインをくれ」
ヨシノさんは書類とペンを出すと、書くように促してくる。
「今日は勝負服じゃないのね」
おっぱいチラ見せはなしか。
「今日は土曜だから休みだよ」
「休日出勤扱いではないと?」
「いや、手当は貰う」
俺がこいつくらい図太かったら前職で病むこともなかっただろうなー。
俺はヨシノさんが羨ましいと思う反面、俺には無理だと思いながら書類にエレノア・オーシャンと署名した。
「よしよし、おっぱいくらいだったら触っていいぞ」
「アホ。そのまま犯してやるわ」
おっぱいを触る程度で止まるわけねーだろ。
「残念、君は女だ」
「ナナポーン、沖田君に戻っていい?」
「私は何を見せられるんですか……ダメでーす。ちなみに今、朝倉さんにチクってるところです」
「バカ! やめろ!」
泣いちゃうぞ!
俺が!
「そんなことより、レベル3の回復ポーションのオークションの許可が下りたぞ」
今、それどころじゃねーよ!
「ナナカさん、こっちにおいで」
俺はヨシノさんを無視し、ソファーでスマホを弄っているナナポンに手招きする。
「その笑顔が怖いです……冗談ですよ」
ナナポンがちょっと引いている。
「冗談か……良かったな。スマホを真っ二つにしてやるところだったわ」
「怖いですって……あと、エレノアさんに戻ってください」
ナナポンがかなり引いている。
「間違ってもカエデちゃんにチクらないでね。それで、オークションが何?」
俺はナナポンに忠告すると、ヨシノさんを見た。
「だからレベル3の回復ポーションのオークションの許可が下りたぞ」
ついに大本命か……
「いくらになるかしら?」
「さあ? こればっかりはわからん」
ここ数年は発見されてないらしいからな。
「楽しみにしておこう」
「そうだな。冒険はどうする?」
冒険かー。
ナナポンはもちろんだけど、ヨシノさんとリンさんといく冒険は楽しいし、レベル上げもしたいからなー。
「うーん、オークションのことがあるし、ちょっとサツキさんと話してみるわ」
また変な注目を浴びるかもだし。
「そうか……じゃあ、また連絡をくれ」
「そうね。明日は日曜だし、月曜にでもサツキさんのところに行ってくるわ」
忙しそうだけど、カエデちゃんにアポを取ってもらおう。
「わかった。ナナポンも一緒に冒険に行くか?」
ヨシノさんがナナポンに聞く。
「考えておきます。ちょっと大学に行かないとですし」
「あなたはサボりすぎよ」
大丈夫か?
「大学にも言われましたね。そして、ママに怒られました」
そらそうだ。
カンニングだろうが、出席しないと単位を落として留年するぞ。
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