第4話

ふたりともやめて、子供じゃないんだから


 ハナが叫んだ。イルナムとタロはハナの一括に我に返った。二人は何も言わず席に座り直した。タロがハルを睨みつけて、こう言った。 

 後でぶん殴ってやるからな それを聞いたハナはこう言った。

 やめてください、明日から私の夫でもありますから。


 タロはハナの言う通りだと思い、申し訳無さと情けなさから視線を下に下ろした。タロは少し考えた後、視線をハナにしっかり合わせてこう質問した。

 

 ハナさん、自信のほどはあるのかね。

 

 はい ハナはしっかりとした口調で静かにそう答えた。

 先に失礼する イルナムがそう言いながら席を立った。ハルが 見送ります と言いながら一緒に席を立つと


 いや、さっきは見っともないところを見せてすまなかった。とハルに素直に謝った。そして、ハナにもこう言った。

 ハナ、明日は必ず出席するから、心配せんでいいよ、今日はゆっくり休め、明日は大事な日だからな

 うん、遅れないでねー ハナがそう言うと

イルナムはわかったと首を縦に振って、店の外に出て行った。

 

 俺も、先に帰るよ、今日はお二人さんの独立宣言日でもあるな、おめでとう!


 タロはそう言いながら、平然と振る舞ったが、帰る後ろ姿は寂しそうであった。


 結婚当日


 ハナとハルは式場ではなく、パーティ会場を借りていた。結婚式もパーティー形式で行われた。イルナムとタロの弟子達、ハナとハルにとっては兄弟弟子達がたくさんこの式に

参加し、式場には当初の予定より人が溢れ返っていて、とても賑やかであった。イルナムとタロは久しぶりに会う弟子達もいたので嬉しそうであったが、これから家族になる当事者のイルナムとタロはお互い挨拶したり会話することは全くゼロであった。


 数ヶ月後、ハナとハルの間に元気な女の子が生まれた。二人はその子の名をユミと名付けた。イルナムとタロは孫の誕生を大いに喜んだ。そして、ハナとハルが作ったフィットネスクラブはLAで大きな成功をおさめていた。この件に関してはイルナムとタロは素直に喜べなかった。

          

         つづく ユミのウタにて


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る