アリス
文重
アリス
お父さんとお母さんはどうして私に「アリス」なんていう名前をつけたのかしら? 施設の先生につけてもらう子が多いのに、おくるみに忍ばせたお守り袋に名前を書いたメモが入っていたなんて。どうせ育てられないなら、「アリス」なんて変な名前もつけないでくれたらよかったのに。
窓辺のサザンカの木が赤い花をつける頃になると、白バラをせっせと赤く塗るトランプの兵隊の姿が浮かんで、アリスは嫌でも自分の名前のこと、顔も知らない両親のことを考えてしまうのでした。
白い兎の後を追って、アリスは長い長い冒険へと旅立ちます。そして、横暴な年長者や頭のネジが外れた者たちや理不尽な審判に晒されるたび、腹を立てたり身が縮む思いをしたり寛大になったりして、世の中の酸いも甘いも学んでいくのでした。
園庭に子供たちの歓声が響いています。園長室の安楽椅子でうたた寝をしていたアリスが薄目を開けると、傍らで猫のチェシャがニヤニヤしているのでした。
アリス 文重 @fumie0107
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