第4話

「う~ん」


 朝起きて、伸びをする。

 今日は仕事をしよう。そんなにのんびりもしていられない。日銭を稼がないと。

 俺には目的がある。ちょっと高いアイテムが欲しい。それがあれば、俺のスキルは化けるかもしれない。その為に貯金しているんだ。


 何時もの時間に、何時もの場所に。今日は仕事があるといいな。

 ここで、声をかけられた。


「ウォーカー……。三人のパーティーに加わらなかったか?」


 たまに組む人たちだ。なんだろう?


「二日前に組みましたけど? 女性一人に、護衛二人でした」


「その三人なんだが、迷宮ダンジョンから帰って来なかったらしい。軍が迷宮ダンジョンを封鎖してこれから捜索だとよ……。迷惑な話だ」


「え~と……。皆休み?」


「街周辺の雑魚狩りに行った。縄張り争いはないと思いたいが、過剰人員と言える。もう魔物は狩り尽くされているんじゃないか?」


 ……本当に迷惑な人たちだな。

 俺は、スキルを使った。目をつぶる……。


『リーダーは、リナリーだったよな。現状を知りたい』


 パーティー名:リナリーのパーティー(仮)

 HP:46/212

 MP:101/301

 STR:30/111

 DEX:45/150

 VIT:80/98

 AGI:10/200

 INT:111/501

 MND:93/493

 CHR:802/809


 まだ、生きてはいるな。



 迷宮ダンジョン前の国軍に事情を説明する。俺は、〈追跡〉できると言うと、迷宮ダンジョンに入れてくれた。護衛というか、監視付きで、五人がついて来てくれた。

 とにかく急いで、迷宮ダンジョン内を進む。


「どの辺にいるか分かるか?」


「……大分深く潜っていますね。それと、動けない状態みたいです。衰弱していますが……、生きています」


 数値から、護衛の二人も生存していると判断できる。

 雑魚を任せながら、俺は一直線に進んだ。





「ボス部屋かよ……」


「ここにいるのか?」


「はい。この扉の先ですね」


 このボス部屋は、突然ポップしたのだと思う。トラップに引っかかったんだな。

 さて、どうするか。

 護衛たちが、扉を開こうとするけど、開かない。

 ボスを倒すか、踏み込んだ冒険者が全滅しないと開かないんだろう。


「どうするか……。まあ、手段を選んでいる時間はないよな」


 俺は、スキルを使った。


『リナリーパーティーとの連合アライアンスを締結する』


 次の瞬間に、全員が転移した。



「「「何が起きた?」」」


「ボス部屋へ転移しました。説明は後で。防衛体制を!」


 俺の言葉に、護衛たちが従ってくれる。円陣を組んでくれた。

 俺は、壁まで下がる。


『リナリーさんは……、何処だ?』


 周囲を見渡す……。いた……。

 駆けつけると、三人が毒に侵されていた。でも意識はあるな。

 俺は……、魔法を使った。〈解毒〉の魔法だ。


「……ごほごほ。ウォーカー君?」


 ギリギリ間に合ったかな。とりあえず、命はある。

 護衛の二人も起き上がった。この分だと大丈夫だな。

 そうなると……。


「話は後で。ボスの特徴を教えてください」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る