第3話

 ギルドで情報を貰う。

 少し難易度の高い依頼クエストを受注してみるか。


「今日は、ゴブリンの巣に行きます。先に複数のパーティーが向かっているので、俺たちは討ち漏らしを殲滅して行きます」


「ふ~ん。面白そうね」


 ここで、護衛Aが反論して来た。


「万が一女性が攫われると、再起不能まで痛めつけられと聞いているが?」


「巣に突撃するのであれば、その危険もあります。ですが、逃亡中のゴブリンなら女性を攫うことはないでしょう」


 三人が話し合い、ゴブリン討伐に参加の方向で決まった。

 つうか、彼等のパーティーレベルなら、ホブゴブリンやゴブリンシャーマンくらいなら瞬殺なんだよな。





 ゴブリンの巣に着いた。

 複数の個所から煙が上がっている……。三ヵ所だな。ゴブリンの巣を殲滅する場合は、煙玉を巣に入れるのが効果的だ。そして、複数ある出入り口を確認することもできる。

 もう戦闘が始まっている。

 こうなると、少し遅れたみたいだ。


「これから、どうするの?」


「ここで待機ですね。巣から出て来たゴブリンを殲滅してください」


 そう言った時だった。

 ゴブリンの集団が、巣から出て来た。

 スキルを使う。


 パーティー名:ゴブリンの集団(中)

 HP:250

 MP:42

 STR:60

 DEX:46

 VIT:30

 AGI:80

 INT:14

 MND:15

 CHR:2


「HPが気になるな……。亜種がいます。陣形を崩さない様に!」


 三人が、問題なく殲滅して行く……。

 問題なく……、全てのゴブリンを討伐したはずだった。だけど……、違和感を感じる。

 周囲を見渡す。


「見つけた! ゴブリンウォーリアがいます。〈隠密〉を使っています!」


 三人が反応する。

 護衛Aが巣の前に残り、三人で追跡する。ゴブリンウォーリアは、諦めたのか逃げるのを止めて、対峙して来た。

 俺は、再度スキルを発動させる。まだ、パーティーレベルが見える。


「一匹だけじゃないです。周囲の警戒を!」


 そうすと、ゴブリンアーチャーが樹上から狙っているのが見えた。

 矢は、俺の荷物で防ぐ。

 最終的に、リーダーの女性が、ウォーリアとアーチャーを魔法で倒した。護衛Bは、盾での防衛だけだった。

 

 その後、巣からゴブリンが出て来ることはなく、冒険者が出て来た。


「終わりですか?」


「おう、ウォーカーか。巣の中は掃除して置いた。後は……逃げたゴブリンだな」


「この出口から出て来たゴブリンは、殲滅しました。残りは2ヶ所かな? そちらには、冒険者を配置していますか?」


「ああ、初心者パーティーだが、二組いる。後、一組欲しかったんだ」


 準備不足で、巣に入ったんだな。まあ、人が集まらなかったのだから仕方ないか。


「ねえ、もう終わり? 消化不良なんだけど?」


 ふう~。王族のわがままに付き合うのも疲れるな。





「今日もありがとう」


 資金を分配した時に言われた。

 正直、迷宮ダンジョンに籠る時に比べると、報酬は少ない。だけど、安全を優先する俺には、いい雇用相手と言える。


「機会があれば、またよろしくお願いします」


「私は、リナリー。聞かれなかったので教えなかったけど、覚えておいてね。ウォーカー君」


「はい……」


 こうして、二日目が終わった。



 簡単な食事をして、宿屋に帰って来た。


「明日は、休もう……」


 危険な匂いがした。あれだけのステータスで、低レベル冒険者の仕事を請け負う王族……。

 正直関わり合いたくなかった。



 次の日、俺は宿屋から出なかった。

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