危うく勃ちかけたわ(むしろ勃った)
「ってな訳で、サクっと体育倉庫に閉じ込められました。そして、こちらにご用意しましたのがオレの彼氏の雪兎くんです」
「軽っ!?ってか、料理番組かよ」
みなさんこんにちは、長谷川理玖です(毎回「玖」を探すのに時間がかかる)。今回は尺の都合で、巻き気味にお伝えしております。ちょっぱやで閉じ込められないと、ケツカッチンですからね。決して閉じ込められるに至ったプロセスを、作者が思いつかなかった訳ではないですよ。
「ってか、俺もシチュエーションとして嫌いな訳ではないけれど…。日常生活において、なかなかあり得ないよね(苛めとか以外で)。男二人で、体育倉庫に閉じ込められるとかさぁ…。実際に、起こり得るものなのかな?」
「軽く検索したけど、まぁなかなかないな。小学校高学年で、野郎同士で隠れんぼしてて…。みたいな体験談は、一つ見つけたぞ」
「何それ、ちょっと萌えた。主に、『野郎同士』の部分が」
「いやだから、実際に閉じ込められたのは一人なんだってばさ」
一体、今は何月何日の何時くらいなんでしょうね。一応、体育祭が終わったその後…くらいを意識してはいます。体育祭の後片付けで、何でか学年の違う雪兎くんと一緒に行動する事になって。そんで体育倉庫に入ったら、ロクに確認もしない用務員に鍵かけられたとかそんな感じじゃないかなぁ。
「まぁまぁ、深く考えたら負けって事で!男同士、密室。何も起こらない筈がないよな?ってな訳で、早速ヤる事ヤろうぜ」
「ヤりませんよ!?今日は、準備とか出来ないし…。ってか、出来たとしてもこんな所でヤる気起きないよ!」
「ちっ。前から思ってたけど、雪兎くんて割と状況とか拘るよね?オレはこう言う、普段あり得ない所で…みたいなの大好きなんだけど。まぁいいや。そこまで言うなら、今日はキスくらいで我慢してやる」
「何でそんな、上から目線なんだか…」
言いつつも、雪兎くんは自分から目を閉じて心持ち上を向いた。いわゆる一つの、キス待ち顔ってやつだな!上げ膳に据え膳。ここで応えなきゃ、男が廃るってもんよ。久々に、エッチ抜きのキスだけってのもなかなかにいいもんだ。二人してマットの上に腰掛けて、しばらく舌と舌を絡め合った。
「ニ○゛アのディープモ○スチャーリップ。シアバターやハチミツを配合したやつだな。雪兎くん、リップクリーム変えた?」
「そうだけど、何でそれが分かるのさ!?りっくん、毎回ながらちょっと怖いからね?」
言いつつも、雪兎くんは雪兎くんで満更でもないぽい。またまた忙しくなって、キスするのですらちょっと久々だしね。お互いマットに寝転がって、抱きしめ合いながらまた舌を絡めた。ちゃんと準備してれば、このマットの上で致せそうなもんだけどなぁ…。それはそれで、後始末に困るのか。
「ふふっ。りっくんて…本当、キスが好きだよねぇ」
軽く唇を離して、雪兎くんが言った。例によって、二人の舌からは唾液の糸が伝ってるよ。まぁ、相手が雪兎くんだから特別気持ちいいってのもあるけど…。好きな人とするキスって、何だかイチャイチャしてる感があっていいよね。何なら、一日やってられる。
再び唇を重ねながら、今度は雪兎くんの太ももを思い切りまさぐった。体操服の半ズボンから覗く生足が、ずっと気にはなっていたんだ。知ってはいたけど、クッソすべすべだなぁ。素股やらせてもらったら、さぞかし気持ち良さそう。今度準備出来てない時があったら、その時はヤらせてもらうか…。どっちみち、後始末は大変なんだろうけどね。
関係ないけど素股の歴史って長くて、古代ギリシャの壺絵にも描かれてたんだとか。すげぇな素股、ちょっと見直したわ。世界史の授業でも、こう言う知識を教えてくれればいいのにねぇ。
ひとしきりじゃれ合いまくって満足したけど、流石に少々腹が減ってきたなぁ…。本来だと、そろそろ夕飯食ってる時間だしね。それでなくても、今日は100m走に部活動対抗リレーと八面六臂の活躍であったのに。
「りっくん、お腹空いてるの…?甘い物しかないけど、こんなんで良ければ」
とか言って、雪兎くんが半ズボンのポケットからポンポンとお菓子を出し始めた。え?そのポケット、そんなに沢山入るものでしたっけ。入ったとして、さっきまでそんな膨らんでましたっけ。ド○えもんの、四○元ポケットか何かなの?前に言ったとおり雪兎くんの脳が糖分を求めてるらしく、しょっちゅう甘いものを持ち歩いてるらしいよ。
「もっと無いかな?おっと、まだ何か入ってるみたいだぞ」
「俺の短パンの裾から、手突っ込んでまさぐらないでー!そう言う、茶番はいいからね!?」
ってか、ボ○タ○アメとか懐かしいな。最近はこう言うオブラートに包んだ菓子が少ないから、遠足でもらったア○パ○マングミのオブラートを剥がして食う奴がいるんだとか。どうでもいいが、この回めっちゃ伏せ字多いな。チンコとかフェラとかは、すでに伏せ字入れてないってのに。
オレはお婆ちゃん子だったから、こう言うお菓子もよく貰っていた。だから、よく知ってるよ。雪兎くんも、きっとそうだったんだろうな…。と思っているのが、言わなくても伝わったらしい。
「そういや、今更だけど…。敬老の日にりっくんに送ってもらったプレゼント、婆ちゃんがすごく気に入ってた。いつも挨拶が丁寧だし、本当にいいお友達だねって」
そうなんだ。そう言われると、多少照れくさい…。そして、後ろめたい。オレ、あなたのお孫さんとヤりまくって足腰立たなくさせたんですよ。ま、まぁいいかな。気に入って頂けたなら、それはそれで。ずっとベッドにいるらしいので、退屈しないようにクラゲのアクアリウムを買ったんだ。
「そう言ってもらえると、送ったオレも嬉しい。でもさ。あんな子供騙しみたいなので、本当に良かったのかなぁ。伊勢嶋さん家なら、もっともっと立派な物が…」
言いかけると、雪兎くんが首を振って遮った。でもその顔は、凄く嬉しそうだ。
「お金じゃない。お金じゃないんだよ…!俺は、りっくんが本当に優しい子だってのをずっと前から知ってる。それが婆ちゃんにも分かってもらえて、本当に本当に嬉しいんだ…」
そう言って、頬にキスをしてくれた。出会ってから何回となくキスしたけど、雪兎くんの方からってなにげにレアじゃない!?軽く頬にしてもらっただけだけど、危うく勃ちかけたわ(むしろ勃った)。
「それにしても、誰も助けに来ないねぇ…。いつまでもこんな所にいると、いい加減…。その、さぁ」
「ションベンしたいの?そんなもん野郎同士なんだから、その辺の隅でやればいいじゃん」
「そんなの、絶対に駄目ぇ!い、いや。そっちの方は、まだ大丈夫…。今はりっくんと一緒だから平気だけど、本当は暗い所とかあまり得意じゃなくて」
雪兎くん…そうだったんだ。苦手なのを我慢して、今の今までオレと付き合っていてくれたんだな。オレは、こう言うシチュエーションも嫌いじゃないって言ったけど…。やっぱ、雪兎くんとはもっと光の当たる場所に居たいかな。
「ってな訳で、そろそろスマホで助け呼ぶか」
「スマホ持ってたんかい」
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