世迷鳥-4
あれから何日が経ったのでしょうか。
彼にももうわかりません。
飛び続けた結果、怪我をしてしまいました。
ついに疲れ果ててしまいました。
彼は一度、休むことにしました。
飛ぶことをやめ、ゆっくりと。
しばらくするとある鳥が一羽、彼のもとへとやってきました。
「こんなところで何をしているんだい?」
何も知らない鳥は彼に問いかけます。
「休んでいるのです、私はもう疲れてしまったのです。」
彼はぼろぼろになり、弱り切っています。
「そうかい、それは大変だったね。」
何かを感じ、労いの言葉をかけます。
そして続けて声をかけます。
「君はどうやってここに飛んできたんだい?」
彼は、今までの経緯を話しました。
長く、苦しい旅路について。
そして彼は気づきます。
どうして苦しんでいたのか。
ただ、気づいてしまった彼には飛ぶ理由がなくなります。
なぜなら、飛ぶこと自体が苦しいことなのです。
彼は、話を聞いてくれた鳥にお礼を言います。
そして彼は続けます。
「あなたが飛ぶ理由は何ですか?」
鳥は不思議そうに答えます。
「飛んだ先にあるものが見てみたいからだよ。」
彼は首を傾げます。
「飛んだ先にあるものとは何ですか?」
「わからない。」
と即答し、楽しそうに続けて言います。
「だからこそ飛ぶんだよ。」
彼はまた、首を傾げます。
どういう意味でしょう。
「それじゃあ、そろそろ失礼するよ。」
と言い、飛んで行ってしまいました。
彼は考えます。
何日も考え続けます。
彼は頭を悩ませます。
そして彼はもう一度飛ぶことにしました。
結論は出ていません。
でも、知らない何かを求めて飛び、そこで何かを得られるのではないかと。
彼は少し楽しみになってきました。
他の鳥が楽しんでいるのを見ると、自分も気になってしまうものです。
あの鳥が楽しそうに言った言葉が離れなかったのです。
彼は何かを求め、また飛び始めます。
でも一つだけ違うことがあります。
彼の眼には、僅かですが光が戻りました。
今日から彼は飛び続けます。
これから起こることに何かに期待を抱きながら。
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