第5話
さて、まだ時間もある事だし早速買い物に行こう。
別口の封筒には、この出張に必要になるであろう物資のリストにお金、あとは出張先のヒンソナ村の村長さんと交わす契約書が入っていた。
これはありがたいです。正直、出張といったところで、こっちの世界では車どころか電車もない。移動手段は徒歩か馬車が普通の世界だ。
一体、何を持って行けば良いんだか分らなかったんだよね。
で、リストを片手に町へと繰り出した。
「バックパックにテント…、革の手袋…マント…。持ってないモノが多いな」
冒険者活動をしていても、案外と使った事の無いモノが多い。
日帰りのクエストしかやった事がないからなぁ。
そんなわけで道具屋やら雑貨屋やらを巡り、物資を買い揃えていった。
「いやぁ~。思った以上の大荷物になっちゃったなぁ」
買い物を終えてアパートで旅支度を整てみると、かなりの大荷物。
大き目のバックパックにテントまで括り付けみると、総重量は10kgを超えている。
よっこらせ!と気合い一発、背負ってみた。
「む…無理……」
重い!重すぎる!!こんなモノを背負って徒歩移動しろと?
僕はどこぞの軍人でもないし、特殊な訓練を受けた事もない普通の一般人だ。
たぶん、10分も歩けはしないだろう。
さて、どうしよう?「荷物が重いから出張出来ません」なんて理由にならない。
ならば工夫をして、この問題を解決しないといけない。
「まだ、時間はあるな……」
僕は再び町へと繰り出した。
何か使えそうなモノはないか?と手当たり次第に店を覗いたところ。
「え?こっちにも似たようモノがあるんだ?」
と、その雑貨屋にキャリーカートにそっくりな台車が置いてあった。
店主に話を聞いてみると、少し前から行商人の間で人気になっている商品らしい。
とある冒険者の発明で、荷物運びに便利なので流行っているんだとか。
価格は22000R。日本円で2万円ちょっと位。
ちょっと躊躇する価格だけど、要所要所に金属を使ってるんで丈夫に出来ている。
これは買うしかあるまい。僕は10kg超の荷物を背負う体力も根性も無い。
手荷物は増えるが移動が楽になるなら、そっちの方が良い。
僕はキャリーカートを購入してアパートで再び旅支度。
今度は、背中に4kgキャリーカートに6kgと分けてみた。
「さっきより全然軽い!」
こうして、出張の準備が整った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます