第4話


薬草採取も終えて町に戻ってきた。

帰りがけにウサギがいたのでサクっと狩って、肉屋に売却した。メシ代くらいの稼ぎにはなったので良かった。それからギルドで採取した薬草を買い取ってもらってから帰宅。そして、アパートに置いてある業務報告書にサインして本日の業務は終了だ。


これが僕のいつものルーティン。思ってた以上に余裕のある仕事だ。

流石は神様の経営する会社、とってもホワイトな企業だ。


ちなみに給料はポイント支給になっている。

基本給の20万KP(神様ポイント)プラス出来高って感じ。

元の世界で1KPは日本円で1円換算で現金化出来る。

こっちの世界だと今日の為替レートで1R(ルード)86KPで現金化可能だ。

こっちで稼いだ現金も同じ様にKP化出来る。

まあ、なんて言うか…。外貨預金をやってる感じかな。

ウマくやれば、投資感覚で増やせそうだけど、それをやっちゃうと全財産を溶かしちゃいそうなんで、一部を現金化して元の世界の銀行で貯金している。




んで、翌日。いつものようにギルドに出向いてクエストを選んでいるんだが、何やら受付の方が騒がしい。

どうやら、森にワイバーンが出たとかで騒ぎになっていた。


ああ、昨日のヤツの事か…。まあ、他にもワイバーンがいたら大事だものね。

そりゃあ、騒ぎにもなるってモノだわ。低ランクの僕には関係ないけど…。


そして今日のクエストは、森でウサギを3匹ほど狩ってくるという、お肉屋さんからの依頼をチョイスして受付に向かったんだが……。


「すみません。本日から数日の間は森でのクエストは停止させて頂いております」


受付嬢さんが申し訳なさそうに謝ってくる。

話によると、例のワイバーンのせいで安全確認が出来るまで森への進入が全面的に禁止になったとの事。


そして、クエストを貼りだしている掲示板を見ると、次々に森に入るようなクエストが撤去されいる。残っているのは町の中のクエストだが、これも僕と同じ様な低ランクの冒険者たちによって喰い尽されていった。


「あの…森に入れるようになるまで、どのくらい掛かりますか?」


この惨状を見るに森に入る事が出来なかったら、仕事にありつく事はかなり難しいだろう。ちょっと不安になって質問してみた。


「そうですねぇ。安全宣言が出されるまでは、早くても十日から二週間ほどではないかと思われますが、それ以上になる可能性もありますので…」


マジかい…。そんなに長い間、仕事にあぶれるのは少々問題があるな。

ここは、アパートに戻って社長神様に相談しよう。


そう考えて急いでアパートに戻ってみると、テーブルの上に何か書いてある用紙と封筒が置いてあった。

その用紙には、こう書いてあった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


              *業務命令


   *冒険者・五十嵐 卓也いがらし たくやは、これより四日以内に

    東のヒンソナ村に出張する事を命ずる。


   *冒険者・五十嵐 卓也いがらし たくやは、現地にて

    ワイルド・ウルフを20匹前後の討伐を命ずる。


    なお、出張費用及び必要経費は当社が負担する。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


おお!流石は社長神様だ!この状況を見てたんだろうな。

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