第3話


SIDE・ある冒険者パーティ


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「ふざけんな!!誰だ!こんなクエスト受けたヤツぁーー!!」


パーティのリーダー、剣士のサイファが叫ぶ。


「オマエが受けたんだろうが!!このバカリーダーが!!」


そう叫び返したのは、このパーティのシーフ、トロイだ。


「二人供!ケンカしてないでサッサと逃げるのよ!!」


言い争いをしている二人を他所に必死に逃げ出すのは、魔女のミルキーだ。


この三人はDランクの冒険者パーティ。手堅く堅実な仕事をする評価が高いパーティだ。そんな彼等はいつものように、森の奥で猪狩りのクエストをこなしていた。


だが、この日はいつもとは違っていた。

普段ならこの辺りをうろついているはずの猪の群れが、一向に現れない。

少し不思議に感じてはいたが、本日のノルマが達成出来ないという焦りもあり、彼等は更に森の奥へと進入していった。


それが運の尽きだった。森の奥で出し抜けに彼等は遭遇してしまったのだ。

猪を襲い貪り食おうとしているワイバーンに……。


バッチリと目が合い、威嚇の声を上げるワイバーン。

相手はAランクのパーティが複数で討伐する強敵だ。勝てる見込みは無い。


逃げの一手しか選択肢は無い。だが、ワイバーンは急に現れた三人を敵と認識してしまったのだ。自分の獲物を奪いに来た敵だと……。


こうなると、ワイバーンは容赦はしない。一気に飛び上がると三人に炎を吹き掛けてきたのだ。


「「「うわぁーーー!!!」」」


運良く初撃をかわした三人が逃げ出す。が、それをみすみす逃すワイバーンではない。三人の前に回り込み更に追撃する。


「なんでこんな所にワイバーンがいるんだよ!!アイツはもっと山の方にいるはずだろうが!!」


トロイが叫びながら炎をかわす。


「アタシに文句言われても知らないわよ!!ワイバーンに聞きなさいよ!!」


これでも喰らえ!!と攻撃魔法を放ち応戦するミルキー。

しかし、必死のアイスニードルもあっさりとかわされてしまう。


二度、三度とワイバーンの攻撃を避け逃げ道を探るが三人は進退窮まってしまう。

するとサイファが覚悟を決めたように叫んだ。


「俺が囮になってヤツを引き付ける!!その隙にトロイ!オマエは逃げろ!!」


「!?なっ何言ってんだ?サイファ!!」


「このままじゃ全滅だ!オマエの足なら逃げ切れるはずだ!その足でギルドに駆け込め!!」


「そんな薄情な事できるわけねぇーだろうが!!」


しかし、このままなら全滅は確実だ。それはトロイにもわかっている。


「何が薄情なものよ!!こんな所にワイバーンいるなんて下手したら町に被害が及ぶ事にもなりかねないのよ!!町の人たち為よ!トロイ!報告に行きなさい!!」


ミルキーも覚悟を決めた。ここで二人は死ぬかもしれない。

だが、ここの情報を持ち帰れば町に被害が及ぶ事は無くなる。


「クソ…。わかった!!だが、オマエ等絶対に死ぬなよ!!それだけは約束しろ!!」


「ああ!!オマエが戻ってくるまでにワイバーンをぶっ殺しておくぜ!!」


果たされないであろう約束を交わし三人が位置についた。


「いくぞ!!」


「「おう!!」」


サイファの掛け声と同時にそれは起こった。


パーーーン!!


と盛大な爆裂音と共にワイバーンの頭が弾け飛び、真っ逆さまに落ちてきたのだ。


「「「はあ!?」」」


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