第2話


んな訳で、ちょっと前にこっちの世界に引っ越しました。

住んでる所は、ギルド近くのアパート。

用意がイイ事に、この町に着いたら即入居できましたよ。


しかも、会社で貰った紹介状で冒険者登録まで簡単に出来ちゃって、至れり尽くせりの状態でした。



で、僕はいつものように常設依頼の薬草採取に勤しんでいます。

まあ、家賃が会社持ちと優遇されてはいても、食い扶持くらいは稼がないといけないので地道に働いています。


あっ。言っておきますが薬草採取のクエストも会社では評価に入っている立派な仕事なんですよ。ギルド側だと評価が低いんですけども……。


んで、今は森の中ほどにある泉の畔に来ています。

ここは薬草採取の定番の場所、静かだし薬草もそれなりに繁茂しているから短時間で予定量の採取が出来る。たまに鹿とか猪とかが出てくるけどスキルでサクっと狩れるんで問題無し。狩った獲物は町の肉屋に売って良い稼ぎになるんだよね。


「ん?」


そろそろ薬草も予定量に達するという時、気配察知のスキルが反応した。

気配のする方を見ると、遠くに何か飛んでいるのが見える。


「ん~?なんだかヤバそうなヤツが飛んでるなぁ」


スコープのスキルを使って見てみると、大きなトカゲに羽が生えてるヤツが飛んでいる。あれはワイバーンってヤツだ。


「何かと闘っているのかな?」


ワイバーンは地面に向けて口から炎を吐いている。

遠いからこちらに被害は来ないだろうけど、万が一にも炎がこっち飛んできたら堪らない。


「ここを焼かれちゃったら困るしね。一応片付けておきますか」


そう言って、僕は右手を拳銃の様にして構えた。

正直、誰かに見られてたらと思うとメッチャ恥ずかしい。


「バン!!」


と発砲音を口にする。幸いここには誰も居ないから恥ずかしさも半減する。

そして、件のワイバーンは発砲音と同時に糸が切れた様に落下していった。


「うむ、これで安心。あとは、残りをやっちゃいましょうかね」


そう言って残りの薬草採取を片づけた。

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