ポップコーンはいかが?

「マイ、ポップコーンはいかが?」


「キャラメル味で。アレ脳髄っぽくておいしいんだよね」


 ボリボリとかかみ砕いて今回の顛末を思う。

 うむ、どうしてこうなったのだろう?


「ともかく仕切り直しだねー。あの世界は一度混沌に戻して再組成するとしようか。まさか、現地人が対応しちゃうとはね」


「ひどいちゃぶ台返しを見たけど、いいのアレ?」


 マイアグーラとニャルが眺める「切れ目」では、暗黒の宇宙に浮かぶ名状しがたいウネウネしたナニカが、片っ端から惑星や銀河を飲み込んでいる。


 それが白い触手を伸ばした先には種々の天体があり、触れられた瞬間に砂糖菓子を水に入れたみたいにしてバラバラにほどけて消えていった。


 いや、消えたわけでは無く、元に戻っているのだが。


 「アザトース」と言う存在はこの世が生まれてきた瞬間に存在する外なる神で、宇宙を創造し、破壊するものだと言われている。


 ようはハチャメチャになった世界を、ぶっ壊してリセットしてくれる存在だ。


 便利ではあるが、ほとんどコントロールが効かないので普段は押し入れの中に入れている。こいつを出すときは、もう本当にどうしようもない時だけだ。


「……僕にだって、まるく収まる終末に持っていけない世界くらい、ある!」


 丸く収まった終末とは、一文で矛盾しているのではないかと思うマイではあったが、ニャルの言わんとする事は何となくわかった。


 ようは誰でも満足のいく、コレぞ!というキレイな終わり方をした世界の事だ。

 いや、終わってるのに満足ってやっぱりおかしくないか?

 うん、おかしいと思う。


「9割9分がそうだと思うけど?一体いくつの平行宇宙があんたの気まぐれで中断されたり破壊されたりしたか覚えてる?」


「不思議なものだよね。思いついたときは面白いって思うんだ。でも、続けていくと、それが次第に苦しみに変わっていくんだよ」


「僕は皆に楽しんでほしいだけなのに、僕のファンサービスは世界に住む連中に曲解されたり、無駄に抵抗されたりで、毎回妙なことになるんだ!!」


「僕はただ、面白いかなって後先考えずにやってるだけなのに……!」


「割とまともなことを語ろうとしてるけど、宇宙のゲス野郎ランキングでは、ニャルは堂々の一位だからね?」


「あっちはまあ、そもそも潰す予定ではあったんだからノーカンにならない?ほら、もう一つの方は割合とうまくいったかもしれないだろ?」


「じゃあ、そっちも見てみましょうか?通常兵器だけの戦争って、大概ロクなことになってない気がするんだけど」


「あっちの方はいろいろ手を入れてるからね、うん、きっと大丈夫なはずだ。うん」


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