亡国の魔晶
その昔、とある王国は永遠の命を得るために禁忌を犯した。
永遠の命、と聞くと様々な定義が思いつくだろう。
例えば他者の血を吸うことで永遠の若さを保つ吸血鬼。
例えば一度死を迎えることで二度と死なない身体を得る禁術。
とある国では魔晶と呼ばれる結晶を用いることで永遠の命を獲得することに成功した。
あらゆる命は魔晶から生まれ、身体のどこかしらに埋め込まれた魔晶と共に生き、死を迎えるとその身体は魔晶へと変じ、時を経てと新たな命として再び魔晶から生まれる。
つまり誕生と死亡の間に魔晶への変換という過程を挟むことで実質的に永遠の命を獲得した、というわけだ。
このプロセスを完成させたことでかの国は栄華を誇ったが、それは泡沫の栄華だった。
原因は不明だがかの国は突然滅び、今では異形の獣が蔓延り、斑模様が入った魔晶に覆われた廃墟と化している。
この国で生き残ったのは家臣の尽力によって王国の外へ逃がされた王子ただひとりだけ。
それ以外は皆死んでしまった、この場合は魔晶に姿を変えてしまったといった方が正しいだろう。
後にこの王子は国が滅びた原因を知る旅に出るのだが、その行く末についてはまた別の機会に語るとしよう。
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