第4話・途方に暮れて日が暮れて


あぁ……。どうしよう……。

サバイバルだって……。勘弁しろよ~。

これって罰ゲームってレベルじゃないだろう……。


この島、ダンジョン化したら良いのかな~?

てか、無人島をダンジョン化して意味あんのか?

ダンジョンってそこそこ人通り無いとダメなんじゃないの?

だってほら、ラノベのダンジョンって『街』っぽくしてたりするじゃん。


仮に街っぽく出来たとしても無人だぞ。寂しいじゃん。

寂しいとウサギは死んじゃうんだぞ。

あぁ~何か涙が出てきた。


とにかく、行動開始せにゃ何も始まらない。

まずは、「水」を探さないとな。干からびて死ぬのは勘弁だ。

川があれば良いんだけど、最悪の場合は「海水」から「飲み水」を精製するしかない。俺にはスキルや魔法があるんだから、どうにかなるだろう。


とりあえずは確認してみよう。山登りで喉も乾いたしね。


「クリエイトウォーター!!!」


別に声に出して魔法を唱える事もないんだけど、ちょっとカッコよさげなんでやってみた。いわゆる厨ニ病ってヤツだ気にしないように。


威力的には広げた手のひらからドゥと水が勢いよく出る感じでイメージしてみた。

魔法はイメージが大事だ。これ基本ね。


丹田からエネルギーが沸き起こる。そのエネルギーが身体の中心から腕に伝わり手のひらに集中する!

そして、水の奔流が!!!


ぴゅ~~~……


……え?何?


何?今の水鉄砲は?幼児向けの玩具か?

今時、百均のおもちゃだってもっと勢いよく水が出るぞ?


ぴゅ~って?どゆこと?いやいやいや!勘弁しろよ!

そうだ!もう一度やってみよう。何かの間違いだ。イメージ力が足りなかったのかな?そうに違いない。

今度はちゃんと集中してイメージを造ってからの~~!!


「クリエイトウォーター!!!」


ぴゅ~~~


間髪入れずにぴゅ~~~って出た……。

使えねぇ……。


なんじゃこのショボい魔法は?大丈夫なんだろうか?俺、生きてけるのかなぁ?

とにかく、喉の渇きを癒そう。潤いさえあれば、心の渇きも癒されるはずだ。


まずは、手のひらを器状にしてっと……。


「クリエイトウォーター、クリエイトウォーター、クリエイトウォーター……」


20回くらい唱えた。その間、なぜだか涙が止まらなかった。

手のひらいっぱいの澄んだ水は美味しかった。少ししょっぱかったけど……。


頑張ろう……。頑張って生きよう……。そう思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る