第5話・がんばる。


水を飲み干してひと息ついた。くよくよしてても仕方ないよね。

頑張って生きなきゃならない。よし!生きよう!!


島の西側はなだらかになっているので、そっちに下って行った。

しばらく下ると、森が開けてちょっとした広場みたいになってる所があった。

山側は崖っぽくて、そこは少し窪んで洞穴みたいになっていた。


ここなら拠点として使えそうだ。洞穴を利用すれば雨風もしのげるだろう。

それにダンジョンマスターの力を使えば、洞穴だって立派なダンジョンに進化出来るはずだ。ちょっと心配ではあるけれども……。


だってさ、この世界で大事なモノは「経験」って「しおり」にも書いてあったし、鍛錬すれば、成長できるとも書いてあった。

今はこの言葉を信じよう。信じて頑張ってみよう。

それしか、選択肢が無いんだもの……。


そろそろ日が暮れる。暗くなる前に火を起こさないといけない。

俺には魔法がある。でも、期待しちゃいけない。

水の魔法で学んだ。過度の期待は禁物だ。

小さな火でも着けば良い。それで焚き火をすれば良いのだから。

燃料切れの無いライターを持ってるって思えば心強いじゃん。


まずは、焚き火の用意をしよう。枯れ葉に小枝を集めて……と。

あと、乾いた木を出来るだけたくさん拾ってきて……準備完了。


では、魔法を……。火をイメージして魔力を指先に集中する。


ポッ


それは小さな火だった。吹けば消えそうなロウソクの火の様な小さな火。


うん……。期待してなかった。期待してなかったから厨ニ病も発病しなかった。

大丈夫。俺、頑張れる。


そっと火を消さないように、枯れ葉に移して少しずつ炎を大きくしていく。


あぁ~焚き火って癒されるわぁ~


これで少量とは言え、『水』と『火』の確保は出来た。

残りは『食料』と『家』だ。


『食料』は三日分の携帯食料しかない。可及的速やかに確保しないといけないな。

はっきり言って、飢え死には勘弁してもらいたい。

ただ、今は安全な『家』が先だ。目の前の洞穴をダンジョン化して安全を確実なモノにしないと。


よし!このダンジョンマスターの力で最高のダンジョンを創造してやる!

この右手に封印されしこの力が今、解き放たれる!!


「クリエイトダンジョン!!!」


…………。はい。厨ニ病が発病しました。

えっとぉ~、結果はご想像の通りです。


5センチ角くらいかな?小さな凹みが出来ました。ペコって感じで凹んでいます。

凹んだ部分の土は消えちゃったのかな?見当たりません。


5センチって……。手で掘った方が早いじゃん。

ただ、残土が出ないのは楽か。チマチマだけど掘っていくか。寝床くらいは造っておかないとな。


で、『クリエイトダンジョン』を発動しつつ寝床を造っていて気がついた。

これって、某有名クラフトゲームに似てる。

そか……。俺はあの四角いキャラになったんだ。

『リアルマ〇ンクラフト』……。

こんな異世界もアリなんかなぁ~。

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