第8話~能力検査~




「妖精って、おとぎ話の中の偶像でしょ?」


沙羅と真琴は、李留を挟む様に長椅子に腰かけると質問を投げ掛けた。


「えぇ、でもまさにそんな感じの存在は本当にいて、色々教えてくれたりするんですよ。」


「そうなんだ……なんだか羨ましいな。私も会ってみたい。ところで妖精さんは今はいないの?」


沙羅は、周囲を見渡す仕草をしながら李留に尋ねた。


「機関には不思議なぐらい沢山いますね。僕も実は驚いたんですけど、能力者に引き寄せられるのか、この特殊な空間にもしかしたら引き寄せられるのかもしれません。

沙羅さんの左肩にも実は今、座ってる子がいますよ♪」



「え?そうなの??」



沙羅は驚きながら自分の左肩を見ると、自分には見えないその存在に軽く会釈をした。


すると検査室の扉が開き、中から暖が出てきた。



「待たせたね。じゃあ、3人とも部屋に入って。」



沙羅と真琴と李留の3人は、緊張した面持ちで立ち上がると検査室へと入っていった。










真っ白な天井、真っ白な壁、真っ白な床。


その部屋には、一切家具らしき物もなく、そして誰もいなかった。



「ここも待機室か何かなの?」



沙羅が不思議そうに暖に尋ねると、暖は首を横に振った。


「もう検査は始まっているよ。そのまま普通にしていて欲しい、すぐに終わるから。」


「え?私達何もされてない。どういう事?」


真琴が、戸惑いながらその真っ白な空間を見渡した。


「あはは。だから、真琴の嫌いな注射はないって言ったろ?そろそろスクリーニングが終わる。結果が楽しみだね。」



暖は、両手を祈る様に組みながら天井を見上げた。


沙羅と真琴と李留は、困惑しながらその時を待った。



『スクリーニング終了。李留合格。』



すると突然、機械的な音声が天井から降り注いだ。


李留は大きく息を吐いて、その場に立ち尽くした。


『スクリーニング終了。真琴合格。』


真琴は驚いた顔で沙羅の顔をみた。

沙羅は無言で真琴の顔を見つめ返した後、静かに目を瞑った。


『スクリーニング終了。沙羅合格。』



「よし!!!!」



暖が、安堵の表情を浮かべながら喜びの声をあげた。


「なんだか、正直ピンときませんね。でも、みんな合格したんだ。。うん、合格ですよ!おめでとうございます!沙羅さん真琴さん合格ですよ!」


李留は、自分に言い聞かせる様に反芻しながら喜びの声をあげた。


沙羅と真琴は混乱しながら、合格の言葉が

まるで他人事の様にしか感じられず、いつまでも呆然としていた。


そんな双子姉妹に、暖は近づいてこう言った。


「これで、おじさんの治療が出来るよ。」


その言葉を聞いた途端、緊張の糸が切れたかの様に沙羅が声を出して泣きはじめた。


「お姉ちゃん。。」


真琴はそんな沙羅を抱きしめると、自分もまるで子供の様に、声を出して泣いた。



すると、天井からまた声が降り注いできた。


『今から所属を伝える。』


皆、一斉に天井を見上げると固唾を飲んだ。



『3名とも、所属は【2%】、以上だ。』


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