第7話~機関~
「ここが機関なの?」
沙羅と真琴はモノレールから降りると、辺りを見渡した。
そこは、どこからみても普通の街だった。
商店街の様な店が立ち並び、ただ自分達が住む街と違うのは、ゴミが全く落ちていない事と、道には花壇があり花が咲き誇っている所だった。
機関に一般人が入るには、専用のモノレールを使うしか術はなく、そのモノレールに乗るには許可が必要で、事前のチェックはかなり厳しい。
そして内部は一切非公開で、シークレットな領域な為、一般の人達は機関の内部は、ただ想像を膨らませる事しか出来なかった。
「真琴はどう?私はなんだか、想像してたのとは違うかも。」
「うん、私ももっと無機質なイメージでいたから。此処は花が沢山あって素敵だわ。」
すると、案内役なのか人型のロボットが近づいてきて目の前で止まった。
「サラサン、マコトサン。イラッシャイ。コチラヘドウゾ。」
白色のそのロボットは目をカラフルに点滅させながら、方向転換をすると、何処かへ向かって進み始めた。
沙羅と真琴は、顔を見合わせて頷くと、そのロボットの後を慌てて着いていった。
暫く進むと、ガラス張りの建物が見えてきた。
その入り口には、笑顔で手を振る暖が立っていた。
「待ってたよ。さぁこっちに来て。」
暖はそう言うと、建物の中へふたりを案内した。
建物の中のロビーは天井が恐ろしく高く
ふたりは見上げながら、暖の後を着いて行くと
中央に螺旋型のエスカレーターがあり、ぐるぐると渦を巻きながら存在感を示していた。
「上に検査室があるんだ。こっちだよ。」
暖に促され、沙羅と真琴は恐る恐るエスカレーターに足を乗せた。
そして、上を目指しながら暖は、ふたりにこれからの事を説明し始めた。
「今から少し色々機関の能力判定検査を受けてもらうけど、病院での検査みたいなものだからリラックスしていてね。」
「検査は痛い?」
真琴は子供の様に不安な顔をして、暖に尋ねた。
「真琴が小さい頃から大嫌いな注射はないよ。安心して。」
暖は真琴の頭をぽんと、軽く包み込むように触ると
優しく微笑んだ。
エスカレーターを降りると、検査室らしき入口が真正面に見えてきて、その壁面に設置された長椅子には、
何人かの人が既に座っていた。
「今日は他にもテストを受ける人がいるのね。」
沙羅が少し緊張しながら暖に尋ねた。
「今日は推薦限定だから少ないけどね。数人いるかな、
とりあえず名前が呼ばれるまでは、ここで待っていてくれる?」
そう言うと暖は、検査室の中へと入っていってしまった。
「え!?李留君!?」
暖が行った後、長椅子で待とうとしたふたりは
そこに李留が座っている事に気付き驚いた。
「そりゃ驚きますよね。」
李留は罰が悪そうに、頭を掻いた。
「仕事は?っていうか、李留君は機関志願者だったの??」
「オーナーから急に、推薦はもらえてるから受けてこいって言われたんです。まぁそれだけじゃなく、昔から機関志望だった所は正直あって、いい機会だしダメ元で受けてみようかなって。」
「鞍馬が?」
真琴は能力者ではない鞍馬が、真琴の為に李留を託したのかもしれないと思うと、胸が詰まった。
「李留君はところでどんな【ちから】があるの?私、全然気づかなかった。」
真琴が尋ねると、
「僕も正直、これが能力かどうか半信半疑なんですけど、僕、妖精と話せるんです。」
「は?」
沙羅と真琴は、予想外な答えに唖然として
立ち尽くした。
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