エピローグ「『思考実験の効用』に関する思考実験」
結論から言うと、僕の恋は順調に進んでいる。
平子さんと連絡先を交換し、何度かデートを重ねている。
当然、的場の全面的なバックアップのもとだ。
平子さんに連絡先を聞いたときには、面食らった顔で「あちゃー、そういうことか」と言っていたけれど、詳しいことはよく分からない。
なぜだか、小野先輩と的場も急接近しているみたいだ。
同じ哲学科ということもあって、馬が合うのかもしれない。
先日、僕と平子さん、小野先輩と的場の四人でダブルデートに出かけたばかりだ。
そのとき、平子さんと的場が「思考実験から始まった恋ですな」というようなことを意気投合して話していた。
小野先輩は「いや、そんなわけないでしょ」とにべもない。
正直僕も、思考実験から始まったわけではないと思う。
意見が割れるということは、この恋も、いわゆる思考実験となりうる性質をもっているのかもしれない。
題するなら、「『思考実験の効用』に関する思考実験」。
この恋は、思考実験から始まったと言えるだろうか?
思考実験から始まらなかった僕らの恋 葉島航 @hajima
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。