第13話 クローンを作れる。しかも無限に

 まずオレは、自分が得た超能力で出来ることを今一度整理してみた。




【1.クローンを作れる。しかも無限に】


 今はクロスズしか作っていないが、クローンは無限に作ることが可能だ。その気になれば1億体だって作れるのだ。


 相手の髪の毛一本でも入手出来れば、そこからいくらでもクローンを生み出せる。本当は皮膚でも爪でもいいわけだが、一番入手しやすい細胞といえばやはり髪だろう。


 そしてこれは自分にも適応できるわけで、自分の髪の毛から自分のクローンをたくさん作ることも可能だ。




【2.クローンと感覚共有することが出来る】


 生み出したクローンとは感覚共有が出来る。クローンが感じたこと・覚えたことは、そっくりそのままオレの知識と経験になる。


 だから例えば、オレのクローンを100体作り出して、その全員に受験勉強をさせれば……オレ自身が食っちゃ寝しながらゲーム三昧の日々を送っていても、東大京大なんて余裕で合格できるだろう。海外の有名大学にだって進学できるかもしれない。


 しかも、その勉強期間は一年もかからないと思う……まぁ期間についてはオレの地頭によるが、もし地頭が悪すぎて三年かかるというのなら、クローンを数百体作り出せばいいわけだし。


 もっと頭のよい人の細胞が手に入れば、その人のクローンに勉強してもらう手もあるが……そうなると完全に自分じゃないから気が引けるし、そこまでしなくても受験勉強くらいなら楽勝だろう。




【3.クローンの自我は調整可能】


 そしてクローンの自我は調整可能だ。クロスズの場合、初めてだったのもあり、鈴音の自我100%で生み出したが、自我は持たせずに、まるで工業ロボットのようなクローンにすることも出来る。


 引き続き受験で例えるなら、オレのクローンを100体生み出したところで、みんなサボる、あるいは勉強に嫌々取り組んで効率がまったく上がらない──なんて恐れもあるが、自我0にしておけば、ただひたすらに黙々と受験勉強をこなすAIみたいなクローンにすることも可能だ。反復するだけの暗記科目は特に有利だろう。


 人権とかどうなるんだという問題は出てくるが、まぁそこは自分自身だから大丈夫……というか、クローンを生み出すこと自体が犯罪だったはず……だとしたら、やはりこの超能力は絶対にバレるわけにはいかないな……

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