第4話 あなたの命令には逆らえないんだから……
「そ、そうか……髪の毛から
決して、けっっっしてワザと
幼い頃は一緒に風呂にも入ったというのに……いったいいつから、
などと考えていたら、鈴音の体から放たれていた光は完全に消失し、たった今、超常現象が起こったなどとは思えないほど、なんら変わらない部屋に静寂が訪れる。
ちょっと前までと唯一違う点といえば……マッパの鈴音がベッドの上に立っている、ということだ。
その鈴音が、ゆっくりと目を開けていく……
「……え、淳一郎? ……っていうか!?」
鈴音はガバッとしゃがみ込み、自分の体を抱き締めるように両手で隠した。
「なんでわたし裸!? こっち見ないで!!」
「わ、悪い!!」
オレは慌てて鈴音に背中を向けるが、ドキドキする全身の脈動は落ち着くはずもなく、それがグイグイと下半身の一点へ収束していく……!
などと思っていたら、背後の鈴音が言ってきた。
「お、お願い……何か着るモノを……」
「そ、そうだったな。悪かった……」
そうしてオレは、クローゼットを開いてから中身を見る。確認するまでもなく、男物の服しかない。
「とりあえず……これを着てくれ……」
だからオレは、制服用のワイシャツを鈴音に手渡す。鈴音のほうを見ないようにしながら。
「………………」
鈴音は無言だったが、オレのワイシャツを受け取ると羽織ったようだ。
「そっち、見てもいいか?」
「………………うん」
躊躇いがちでも鈴音の許可をもらえたので、オレは顔を向ける。
「ぬおっ……!?」
しかし!
ワイシャツ一枚を羽織っただけの女の子というものは、あまりにもキョーアクだった!
鈴音が顔を赤らめ、うつむきながら言ってくる。
「逆らえない女の子にワイシャツ一枚しか渡さないなんて……淳一郎ってどんだけえっちなの……?」
「し、仕方ないじゃんか!? 男物の服しかなかったんだよ!」
まさか鈴音に、トランクスを履かせるわけにもいかないし!?
でもよく考えたら、ズボンくらいは渡してもよかったかな!? あ、でも、ウエストが合わずにストンと落ちるって! ベルト使っても締まるかどうか!?
鈴音のウエストはそれほどまでに細かったし、ワイシャツの裾から伸びる両脚なんて、細いくせにほどよい太ももで、ちょっと油断したらしゃぶりつきそうになるほどだった!
って、何を考えているんだオレは!?
オレの視線に気づいたのか、鈴音はオレをじろりと睨んだ後、ベッドの掛け布団を持ち上げ、自分の脚を隠してしまった……
ああ……もっと見ていたかったのに……
そうして鈴音は、ベッドに座り込む。
「そ、それで……淳一郎はこれからわたしをどうするのかな……?」
「ど、どうするって……?」
「クローンのわたしは、あなたの命令には逆らえないんだから……なんだって出来るんだよ……?」
「命令に……逆らえない……!?」
鈴音のそんな言葉に、オレは思わず生唾を呑んでいた!
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