02 のこちゃんの平日
「人の世は、
その男、のこちゃんの
初めて会った
若い色のスーツをゆったりと身に着けているものの、そこには、
お父さんが生きていれば40代とあって、
まぁ、のこちゃんから見れば、おっさんはおっさんなのだが。
それは、ぼんやりと
ただ、鉄骨を思わせる
のこちゃんは、
お父さんのお
のこちゃんと
それにも係わらず、
それには
「海外が長くてね、見通しの良い
よく分からなかったが、そんなものかと、のこちゃんは思う。
それと同時に、窓の近くですらダメとなれば、オープンテラスのカフェとかだと
ドリンクバーで
「……10年くらいか…日本にいなくてね、弟の事を知ったのはつい最近なんだ」
「はあ……」
「君が大変だった時に、力を貸せなかったのがどうしても残念でね、その、お母さん
「まぁ……」
「口出しとかじゃなくて、一度、会ってみたくて
のこちゃんが見る限り、
「……そうでしたか」
ただ、のこちゃんとしては、
「お、
我ながらうなずいてばかりなのも
「そうだなぁ、ボスの言いなりで世界中を飛び回っていたら、あっと言う間だったねぇ」
うわやっぱりギャング的なそれなのか
「日本で言う、
続けて、にこやかに語る
見た目が
それでねと、
「学校は楽しいかい?」
「え?あ、はい、友達もいますし…ので」
「そうか……」
「弟がどういった世界にいて、それが原因で
「……はい」
「それでもだ。
君が君自身の意志で
「そんなつもりは……お父さんの事、嫌いじゃないですし」
事実、お母さんが
のこちゃんにとってのお父さんは、それが
「勝手な
のこちゃんが鉄骨を思わせる
「本当に何か困った事があれば、必ず私に相談して欲しい。
「あの、できれば、"のこ"と呼んでください」
「あっ、そうなんだ………そうか、すまないっ」
中二女子の複雑な
――――――――――――――――
「そんで、その
「ううん。ファミレスで少し世間話してから帰ったよ。
新しい仕事関係で、
「へー、そうなんだ」
休日明けのお昼休み、学校の屋上で
「飛び石になっちまったけど、のこのゴールデンウィークは、なかなか
けらけらと笑いながら
そうこうしている内に、
2年生になって三人ともクラスが違ってしまったので、
「やぁ、おまたせ」
「あっ、まなっちゃん!」
「言い出しっぺが
「いやぁ、悪い悪い、すくねちゃんご
そう言うと、
不意に二人へ自身の姿をさらされた
「ああ、ひどいよ、まなちゃん」
「いやいや、何をそんなに
身長はのこちゃんより高めで全体的にやせ形でもあり、ともすればほっそり系美少女と
サラサラとした
たまに
「け、
「何か、
「おー、うす、こうやって顔つき合わせんの久しぶりだなっ」
「ひぃ、ヒサシブリナノカナ」
「本当、二年生になってから
「ソウダッタカシラ」
「最近、何かあたしらの事、
「サケテマセンヨ」
「まなっちゃん、
「ありゃあ、確かにひなちゃん
「コワレテナイヨ」
「そう言えば、
「ソウカモ」
「へー、そうだったのか」
「ん?でもひなちゃん文系が
横で聞いていて感心するくらいだよ」
「ああ、まなちゃん、せっかく丸く
一瞬、のこちゃんの
「うす、おまえ…」
「まぁ、
すわと
どうやら、のこちゃんは、
「おー、うすの前に、まずシメなきゃならないヤツがここにいたか」
うっすら笑っている様で目が
「あっ、今のはケアブレイキングドーンの
「だから、見てねぇっつってんだろ!しかも、それ悪役じゃねーかっ」
「知ってんじゃんっっ」
のこちゃんが
「だけど、
「そうなのかい?」
「………わたしと
「ん、前に聞いたね」
「
「ああ」
「今考えると本当にばからしいのだけれど、本人も危ないヤツだって、誰も
「実は、ただのチャムケア好きなのにね」
「当時のわたしは、その
「………」
「
だから彼女が苦手と言うよりも私自身の問題ねと
「ひなちゃんは大人だね」
それもどうやら
「まぁ、のこちゃんには、気を
「やっぱりそうなのかな?」
「そりゃあ、すくねちゃんの気にしている事なんて、
「ふむむ」
ああそうだと
「そういえば、春のチャムケア映画に行きたがっていたから、付き合ってあげたらどうかな」
「チャムケアかぁ………私も"ローリンゲット!チャムケア"辺りで見なくなっちゃったから」
「かなり、最近のタイトルな気がするのだけど?」
「主人公が
「いや、知らないよ」
なので、のこちゃんは、見ていないと言いつつ
「やはり、
つかまったら、髪をぐしゃぐしゃにされるに違いない。
――――――――――――――――
のこちゃんの通う中学校は地元の公立で、家からも遠からず近からずな場所にある。
急な
生徒たちの着用する
もちろん、
ただ、のこちゃんとしては、
朝は、少し早めに
とは言え、日曜日の朝と同様に食器を並べたり使用した食器を洗ったりするのがお手伝いの中心で、料理そのものには祖父母やきょう姉さんから祖母に
お手伝いを始めた
機会のある
実に
毎日、
そう言えば、生まれてこの方、食事をまずいと感じた事もないので、
この先も、
きょう姉さんは、
それはともかく、祖母の作る料理は何でも好きなものの、何気ない朝食のベーコンエッグが特にお気に入りである。
しかし、祖母の焼くベーコンはジューシーで焼き肉の様な仕上がりにも係わらず、油のしつこさも無いのだ。
あれマリアージュってどういう意味だっけ?などと思いつつも、のこちゃんが好きな事を知っている祖母が毎朝作ってくれるベーコンエッグを、今朝も
「本当に、
祖父が、のこちゃんの様子を
「ええ、そこまで
そう続ける祖母も、
のこちゃんは、もぐもぐと
「のこちゃんが
中学二年生とは、早いものだねぇ」
祖父の言葉に、祖母も
つられて、のこちゃんも口をもぐもぐさせながら当時の事を思い出す。
のこちゃんが
あの
どこで知られたのか、転校してしばらくは亡くなったお父さんのやくざ者の
そもそも、家族の
どこそこで働いているらしい
どんな
「ごはんをいっぱい食べて、大きくなったわよねぇ・・・」
しかし、そんなにこやかに見守り続けてくれる祖父母には心配をかけそうなので、当時から子供心にも決してぼっちを
良い
これ以上は、
「のこちゃんは、名前を変えるつもりは、今の所無いのよね」
何気なく祖母が言う。
もちろん、のこちゃんの意志は
「でも、もし変えたくなったら、すぐに言ってね?」
もう一度のこちゃんが小さく
そして、その朝、二度と
――――――――――――――――
春に
しかし、その
これからも、
ただ、それを
お世話になっている人への
そんな、恐れに近い
だから何となく、まっ
いつも遅刻しないようにと時間に
少し歩きたい、そんな日もある。
そこは地元の
スーパーや総合病院もその通りにあるので、おつかい
ただ、生活する上ではお
歩道には、
昼間は地元の子供たちが楽しそうにかけまわる姿を
そろそろ
のこちゃんが声のする方向へ視線を向ければ、歩道が
男性は、30代くらいのサラリーマンであろうか、手にしたスマホの時計をチラ見しながら
よく見てみれば、その
小さな女の子はひたすらオロオロしており、どういう
と言うよりも、
子供向け作品、
「スマホ見ながら歩いてたんだから、あんたの方が悪いに決まってるだろっ」
「君たちにはまだ分からないかも知れないが、こちらも遊びでスマホをチェックしていた訳じゃない」
「あの……あの、わたしが悪いんです………」
のこちゃんが何気なくを
どうやら、スーツの男性と小さな女の子がもめ事の中心らしい。
つまり、男性へ食ってかかっている
なるほど、
のこちゃんの正義感が
とは言え、
"
のこちゃんがどうしたものかとその行動を
「あ…」
「あぶないっ」
しかし、例え
「だいじょうぶ?」
のこちゃんはそう呼びかけると、ポカンとしている女の子の
女の子は、特に顔色も悪くない様なので、単純に足をもつれさせただけなのだろう。
「あ、ありがとうございます………」
どういたしましてとのこちゃんが笑い返すと、気が
あららと思いながら、このくらいの子だと集団登校するはずだよねと気がついたのこちゃんは、その辺りで登校仲間が
大人にも
「スマホの画面に気を取られて、こんな小さな子にぶつかっておいて、
仕事か何か知らないけど、それはあんたが自分で決めて、自分の意志で進んだ
それでいっぱいいっぱいになった所で、それはその
「中には自分勝手な
って事は、現在のあんたは、あんた自身の
その
「なっ………」
ちなみに、いま
「自分勝手な
だったら最後までしっかり
多少アレンジされているとは言え、『スワイプチャムケア!』にあったセリフだとのこちゃんは確信した。
「ケアビースティ…」
あれは、物語の
「スワイプチャムケア…」
思わずケアビースティの名を
おたがいの
小さな女の子ならば、チャムケアシリーズくらいフツーに見るだろうと思うのは
長いシリーズ物にありがちなのだが、
ましてや『スワイプチャムケア!』は、のこちゃんがリアルタイム
だが、この女の子は、
「……チャムケア、好きなんだね」
「え……あ、はい」
女の子が、再び顔を真っ赤にして、少しはにかみながら
まさしく、
「まさか、リアルJC(じょしちゅうがくせい)から、その言葉を聞かせられるとは思わなかったな」
それまで
「
「はっ?」
「"もしかしたら本当に
良いセリフだよね」
何とスーツの男性は、
こんな所にもチャムケア好きが、しかも大人の男性がいるとは、立て続けの"
「こちらの不注意で、
「あっ、いえっ、わたしも
そうだ、チャムケア好きに悪い人はいないのだと、のこちゃんは
ワカレバイインダヨッと
彼女がそんな
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