03 のこちゃんの夢


長めの休み時間とあって、廊下ろうかは、生徒たちの往来おうらいがない。


廊下ろうかと階段をつなげる広めのスペースには、はめ殺しの大きな窓ガラスがぬくぬくとした陽光を取り込んでいて、上下にびる階段のおどり場までをらしている。


金属製のさくになっている手すりが窓ガラスをガードする構造こうぞうで、のこちゃんと宿福すくねは、明るい窓側を背にしながらそこへりかかって話しをしていた。


「私立スタープレーン学園の小学校?……いい学校とこかよってんだな」


「そうそう、よく見たらブレザーと帽子がおそろいの制服せいふく姿すがただったからいたんだけど、地元ここから一人で初等部へ電車通学してるんだってさ」


私立スタープレーン学園は、小中高しょうちゅうこう一貫いっかんの名門校である。


昨日さくじつ知り合ったチャムケア同志どうしの小学生について、例のごとく、宿福すくねに報告がてらおしゃべりしているのこちゃんなのだ。


最近の宿福すくねは、ちがうクラスであったり部活中心に動いていたりで、間が合わないとその日まったく話せない事もザラであった。


特に今日は、のこちゃんが直面ちょくめんした"奇跡的きせきてき同好どうこう結集けっしゅう"について語りたかった事もあり、まだ午前中なのだが、教室の移動中にバッタリ会った宿福すくねの顔を見たとたんに話しが止まらなくなってしまったのだ。


宿福すくねれたもので、早口に言いたい事をまくしたてるのこちゃんに付き合うていではいても、笑顔であいづちをうっている。


予鈴よれいるまでのつかとは言え、長閑のどかな時間の流れの中で、楽しげな二人の影が廊下ろうかゆかにならんでいた。



「それで、好きなチャムケアやタイトルを教え合ってて、スマホの電池がすぐ無くなっちゃうんだよねぇ」


「のこが楽しそうで何よりだよ」


宿福すくね苦笑くしょうしながら、しばらくは強引なチャムケアの勧誘かんゆうも無くなりそうだと内心で安堵あんどしていると、通りかかった女子生徒に声をかけられた。


胸の学年バッヂから、のこちゃんたちよりも上級の3年生である事が分かる。


「あれ、大賀美おおがみじゃん」


「うわ、鬼先輩おにせんぱい…」


「あ?められたいのかな、こいつは~」


「いやその、鈴木すずき先輩せんぱい、ちぇいすっ」


「おっ」


鬼の様な鈴木すずき先輩せんぱいなのだろうか?


そういぶかしみながらも、のこちゃんが見る限りでは、確かに太眉ふとまゆで目が大きく意志いしが強そうな印象である。


身長も、宿福すくねよりやや高い。


体育会系部活で特有とくゆう謎挨拶なぞあいさつをしたのだから、恐らくは、宿福すくねが出入りしているいずれかの運動部の先輩せんぱいなのだろう。


引きまった体型で手足も長く、顔立ちもととのっていて、むしろついていきたくなる様なたのもしささえ感じる。


ただ、背中に届く長めストレートの髪は宿福すくねよりもハッキリ茶色めいていて、どこかやさぐれたイメージが否定ひていできない。


もしかすると、そんな辺りが鬼の部分なのかも知れない。


そうまえてみれば、何の部活か知らないものの、般若はんにゃ形相ぎょうそうで普段からオラオラと宿福すくねをしごいている様な気がしてきた。


ぼんやりと失礼な事を考えていたのこちゃんであったが、よく見ればその髪にはおぼえがあり、そこに気付いた瞬間、体験して間もない鮮烈せんれつな記憶が目の前の先輩せんぱいの姿にバッチリとかさなった。


「ああっ、ケアビース…」


「!」


顔色を変えた鈴木すずき先輩せんぱいに、のこちゃんは、素早く顔へ腕を巻き付けられ口をふさがれたまま、風に飛ばされたティッシュペーパーの様なかろやかさで何処いずこかへ連れ去られてしまった。


その一連の動作どうさは、文字通り、電光石火でんこうせっかごとし。


女子とは言え、きたえられた運動部の腕力わんりょくあなどれないものである。


あまりにも一瞬いっしゅんだったため、何事が起きたのか把握はあくしきれない宿福すくねだけが、呆然ぼうぜんととその場に取り残されたたずんでいた。


「のこ………え、鈴木すずき先輩せんぱい、あれ?」



校舎から出た所で、バタンと金属製のとびらが閉められる。


のこちゃんが解放かいほうされたのは、拉致らちされた場所からさほど離れていない、非常階段のおどり場だった。


少しかすみがかっていても空は青く、眠気をさそう様なあたたかな春の晴れ間も相俟あいまって、外の風が気持ち良い。


「まさか、あん時のやつが大賀美おおがみの友だちだったとは………」


「えへへへ」


あせまじりでひとりごちる様につぶやいた鈴木すずき先輩せんぱいに対して、何か笑うしかないのこちゃんである。


「笑ってるし」


ムッとした鈴木すずき先輩せんぱいにらまれても、のこちゃんは怖くなかった。


何故なぜなら、鈴木すずき先輩せんぱいは、小さな女の子を守るために行動できる義侠心ぎきょうしんを持った尊敬そんけいできる人物なのだ。


それならば、理不尽りふじん暴力ぼうりょくをふるう様な不埒者ふらちものと生きる姿勢しせい真逆まぎゃくに違いないと、のこちゃんは確信かくしんする。


そして何より、チャムケア好きに悪い人はいない。


先輩せんぱいは、ケアビースティが好きなんですね!」


脱力だつりょくしたのか、ため息混じりに階段の手すりに寄っかかり、決めつけんなよと再びつぶやいた鈴木すずき先輩せんぱいは、のこちゃんをにらむのをやめた。


「ただ、昔見たやつをたまたまおぼえてただけだよ。

カッコ良かったからさ……」


「あの回は、一騎打いっきうちの熱いバトルで、ケアビースティがすごかったですよね!

カナハちゃんともレイナーでチャットしたんですけど…あ、先輩せんぱいが助けたあの女の子です」


「何で、お前たちレイナー登録してんだよ」


ちなみに、"レイナー"とは、スマホで絶大なシェアをほこるチャット用アプリである。


「おかげさまですっかり意気投合いきとうごうしちゃって、即日、チャムケア専用せんようのグループ作っちゃいました。

いつでも、招待しょうたいしますよ。

カナハちゃんも、先輩せんぱいにお礼が言いたいみたいですし」


「おかげさまって言うなっ」


"カナハ"は、アプリ上で女の子がみずから設定したニックネームであり、実のところおたがいにまだ本名を知らないままだったりする。


勿論、のこちゃんの場合は、"のこ"と設定した。


「のこ?、ああ、大賀美おおがみが言ってた、めずらしい名前の友だちってお前の事だったのか」


「え?……………」


一瞬、果たしてそうなのかな?と逡巡しゅんじゅんしたのこちゃんなものの、宿福すくねまわりでは、さすがに"とら"を越える名前の持ち主に思い当たらない。


自分で"めずらしい名前"と開き直ってしまうのもどうなんだろうとは思いつつ。


「……まぁ、そうですかねぇ」


なので、変な間を作りながらも肯定こうていしたのこちゃんである。


そんな様子に、鈴木すずき先輩せんぱいは、みょうに優しい表情でそっかと小さくうなずいた。


「まぁ、招待しょうたいはともかく、あの子にはもう気にすんなと言っといてよ」


「それじゃあ………」


「ん、それほどくわしくないしな。悪いね」


チャムケア専用せんようレイナーグループへのおさそいをやんわりとことわられて、しかも学校内でチャムケアの話しが出来ると心から期待していたのこちゃんは、どちらもかなわなそうと分かり意気消沈いきしょうちんしてしまった。


「しかたないですね」


「まぁ、大賀美おおがみの友だちでもあった訳だし、これも何かのえんだよな。

もし、名前の事でいやな思いをしたらジブンに相談してよ。

もし相手がいるなら、カッチリめてやるからさ」


急に元気を無くしてしまったのこちゃんに何を思ったか、鈴木すずき先輩せんぱいは、はげます様な明るい口調くちょう物騒ぶっそうな事を言い始めた。


「し、しめる?」


びっくりしたのこちゃんが目を白黒させていると、鈴木すずき先輩せんぱいは悪い笑いの顔をしながら、まかせろと力強くうなずいて見せた。


「気にしている事、さぐる様な言い方して悪かったな」


そう言うと、鈴木すずき先輩せんぱいは、金属製のとびらを開いて、またねと手をりながら一人で校舎の中へもどって行った。


なるほど、基本的には良い人だけど、ああいう所が"鬼"なんだろうなぁとぼんやり考えながら見送ったのこちゃんである。



――――――――――――――――



「いやいや、ちがちがうっ」


流石さすがに連れ去られた後の事が気になったのであろう、下校の時間になると帰り支度じたくをしているのこちゃんのもとには、宿福すくね愛茅まなちが合流してきた。


愛茅まなちは、自己申告じこしんこくで単純に野次馬やじうまであるとの事。


何やら急いでいた宿福すくねをたまたま見かけて、そのまま一緒いっしょについてきたらしい。


加えて、二人の教室からはのこちゃんのいる教室が昇降口しょうこうぐちへの動線上どうせんじょうにあるので、集まりやすいと言えば集まりやすいのである。


「え、性格的せいかくてききびしい所があるから、鬼の先輩せんぱいじゃないの?」


のこちゃんがたずねると、宿福すくねは手の平と首を同時どうじりながら、少しセンシティブな話なんだと言う。


「でも、すくねちゃん、思いっきり本人に鬼先輩おにせんぱいって言ってた気がするんだけど?」


「いや、あれはその…ごにょごにょ」


宿福すくねは、ばつの悪そうな顔で言葉をにごした。


現場げんばを見ていたので、うっかり口をすべらせたんだろうなぁとは思うのこちゃんなのだが。


「ああ、鬼先輩おにせんぱいの話なら、わたしも聞いた事あるよ」


「知っているのか、まなっちゃん!」


「すくねちゃんは、直接ちょくせつ先輩せんぱいだから言いにくいんだろうね」


恐らくきょう姉さんからの受け売りとおぼしき小ネタをはさむのこちゃんを流して、愛茅まなちが話しちゃって良いのかね?と目配めくばせをすると、宿福すくねは、まぁしょうがねーなとうなずく。


ちなみに、流されてしまったのこちゃんは、小ネタをはさんだ事実を無かった事としたらしく、すました顔をしていた。


「あの先輩せんぱいは、所謂いわゆるキラキラネームなんだよ」


「え、鈴木すずき先輩せんぱいが?」


意外な方向の話だったので、のこちゃんが確認すると、そうだよと愛茅まなち肯定こうていして続けた。


「"鬼天使"と書いて、キューティーと読ませるそうだね?すくねちゃん」


「まぁね」


話しをパスされた宿福すくねも、それを肯定こうていする。


鈴木すずき先輩せんぱいあらため、鈴木すずき鬼天使キューティーさん。


名前にかんして他人ひとの事は言えないのこちゃんでさえ、それは確かにキツイかもとうなる。


「小学校へ上がってからイジられ始めて、何度もお母さんに改名かいめいをお願いしたらしんだけど、そのたびに良い名前なのにと泣かれちゃって話しにならないんだってさ。

大人になって、独立どくりつしてから自分で改名かいめいするって、今はあきらめてるみたいだよ」


「お父さんは?」


「いないってさ。

くなったのか、離婚りこんなのかまでは、聞いてないけどな………」


そう言われてみれば、とらについても、みょうってくれた事をのこちゃんは思い出す。


「なるほど、それで"めてやる"なのか」


のこちゃんがポツリとつぶやいた刺激的しげきてき文言もんごんに、宿福すくね愛茅まなちは、おどろきつつもここからが本題とばかりにった。


「それで、のこが鈴木すずき先輩せんぱいと消えた後、何があったんだよ?」


「のこちゃん、められちゃったのかい?」


二人が心配してくれている事がうれしかったものの、ちょっと自分の名前について話しただけだよと、経緯いきさつ端折はしょって説明したのこちゃんである。


先輩せんぱいの様子を見るにつけ、残念ながらチャムケアにはからめて欲しくない印象だったので、くだんのケアビースティごと関連情報かんれんじょうほうせる事にしたのだ。



宿福すくねちゃんから、あたしの名前の事を聞いたって言ってたよ」


「あっ………悪い、いやだったか?」


「もう、そんなのはとっくの昔に通りすぎちまってらぁ、気にすんねぇ」


「何で、急にべらんめい調なんだい?」


そんなおどけた様子に、のこちゃんが気遣きづかいな性格である事を知る愛茅まなちは思わず吹き出した。


「まぁ、わたしの場合は、自分でこのままが良いって決めたからね。

本当に、他人ひとがどう思うかなんて、気にならないんだよね……でも、そうだよねぇ………」


悪気わるぎ無く親の付けた名前が、付けられた本人の現実を生きづらくしているという話を聞いてしまうと、自分のケースはまれなのだと改めて思うのこちゃんである。


ついでに、そう言えばあっちでチャムケアが放送される時は"輝的美天使"と表記されるんだったな等と、余計よけい豆知識トリビアも思い出していたのであるが。


鈴木すずき先輩せんぱいは、わたしの個人的な事情じじょうまで知らなくて、それでもず味方するって言ってくれたんだね」


「のこ……」


たとえそれが同類相哀どうるいあいあわれむの様な気持ちからされたもうだったとしても、カナハちゃんのけんでも分かる通り、そこには鈴木すずき先輩せんぱい純粋じゅんすい善意ぜんいがある。


ならば、のこちゃんは、それにこたえなければならない。


何より、める云々うんぬんについては自分が変な申告しんこくさえしなければ大丈夫だいじょうぶだろうし、おこないの良い鈴木すずき先輩せんぱいに悪者ムーブをさせてはならないと思うのこちゃんであった。


もらった善意ぜんいをちゃんと相手にお返しする事は、のこちゃんが愛するチャムケアのシリーズ中にて幾度いくどとなく推奨すいしょうされてきた、正義せいぎ基本きほん姿勢しせいとも言える。


わば、のこちゃんのチャムケア活動なのだ。


ちょっとだけお父さんにもたような事を言われた気がするものの、チャムケアの前では大凡おおよそ些事さじである。


そもそも、本質ほんしつ間違まちがってさえいなければ、そこへいた理由りゆうなど好きなもので良いのだ。


とは言え、鈴木すずき先輩せんぱいに自分がどうするべきなのか、具体的ぐたいてきあんは無い。


なので、直接ちょくせつ後輩こうはいである宿福すくねと、なかなかの読書好きで知恵者ちえもの愛茅まなちがせっかく目の前に集まっているとなれば、のこちゃんは素直すなおに二人へ相談してみた。


「いい先輩せんぱいだよ?

でも、あたしも分んねぇなぁ……そもそも、名前の事は知ってるけど、そばにいて気にした事無いしさ」


それだろうねと、愛茅まなちは、宿福すくねの言葉を受けて続ける。


本来ほんらいは、名前なんて近くにいる本人の前でそれほど影響力えいきょうりょくも無いはずなんだよ。

他人たにん大勢おおぜいの中からだれか一人を特定とくていするのならかく仲間なかまどうしで呼びかける場合だと、"ねえ"でんでしまうからね。

だから、そんな事を気にしない人たちにかこまれている状態じょうたいが、鈴木すずき先輩せんぱいとしては最良ベストなんじゃないかな?」


のこちゃんは、ふむむと二人の言葉をはしらにして考える。


「それって、たとえば、あたしたちで先輩せんぱいあそびにさそえって事?

………だけど、レイナーのチャムケア専用せんようのグループには、招待しょうたいことわられちゃったんだよねぇ」


「そりゃ、そうだろう」


「それは、仕方しかたないね」


間髪入かんはついれず宿福すくね愛茅まなち納得なっとくされてしまい、釈然しゃくぜんとしないのこちゃんである。


「むう」


勿論もちろん、それでもケアビースティの話しは出来ないのだが。


「まぁ、提案ていあんしたわたしとしては、今度の山の方へ遊びに行く話しでもかまわないと思うよ?」


相変わらずぶれないのこちゃんの姿勢しせい苦笑にがわらいさせられながら、手っ取り早い機会チャンスとして、くだんの計画を使ってみれば良いと愛茅まなちは言う。


その修正案しゅうせいあんには、宿福すくねも"アリ"とすぐにうなずいた。


勿論もちろん、のこちゃんも、それはかまわないのであるが………


「勝手に鈴木すずき先輩せんぱいさそったら、陽菜ひなちゃんは、いやがらないかなぁ。

人見知りな所あるし、しかも三年生が相手あいてだからね」


この場にいない陽菜ひなを抜きに、決めてしまって良い話ではない。


少し強引に参加をうながされた陽菜ひなではあるものの、その後、筋金入すじがねいりのインドア派である自分が急に山の方へ行ったらまずい気がすると、毎朝早起きして散歩を始めたり、それなりに乗り気になっていたのだ。


「うすは、接点せってん無いだろうから、まぁ、そうなるかもな」


「いや、ひなちゃんは、のこちゃんがそうしたいと言うなら大丈夫だと思うよ。

理由が理由だからね」


「しっ………そ、そうなの?」


本当に何か知っていそうな愛茅まなちに、先程さきほど流されてしまった小ネタをふたたび言いそうになって、何とか思いとどまるのこちゃんだった。


「だったら、休みの予定くらいは、いてみても良いのか」


「のこ、鈴木すずき先輩せんぱいには、あたしが話をつけてやろうか?」


宿福すくねもうに、今度は、のこちゃんがいやいやと首をる。


「ここで、わたしがやらなきゃ、乙女おとめ名折なおれだよ!」


「………………」


「………………」


言いたい事は何となく分かったものの、宿福すくね愛茅まなちは、恐らくチャムケアシリーズからの引用いんようなんだろうなぁとさっして、生暖なまあたたかいまなざしでのこちゃんを見守る。


見守られている当人とうにんは、ケアメルティの決めゼリフを絶妙ぜつみょうなポイントでとっさに言えたため、ご満悦まんえつの顔をしていた。



ちなみにケアメルティとは、『スカウトチャムケア♯』に登場する、勝ち気な主人公チャムケアである。


ピンク主体で全身フリルの可愛いデザインなものの、よりはげしいフィジカルバトルが作品の特徴とくちょうであり、放送当時は"いているアニメーターが、その作業量さぎょうりょうで死ぬのでは?とうわさされた"らしい。


それまで可愛さにばかり目をうばわれていたのこちゃんは、本だったかどこかのサイトだったかでその解説かいせつを読み、そんな作品の見方みかたもあるのか!とおどろきをおぼえたという印象深いんしょうぶかいチャムケアなのだ。



――――――――――――――――



翌日、本格的ほんかくてきに連休が始まる直前とあり、さりとて鈴木すずき先輩せんぱいの部活が終わるまで待つのもなんなので、のこちゃんは午前中の休み時間に3年生のフロアをたずねた。


ただ、よく考えてみたら遊ぶ予定の日が連休に入ってすぐとあって、こんな急におさそいをしたら鈴木すずき先輩せんぱい迷惑めいわくにならないだろうかとおもいたったのこちゃんである。


その辺り、宿福すくねにはタブンダイジョブナンジャネ?とか軽く言われてしまったのだが、実際にお話しするだんとなって少し不安がぬぐえない。


これまでの鈴木すずき先輩せんぱいのイメージ的には、予定さえ合えばフットワーク軽く、一緒いっしょに遊んでくれそうな気もするのだが………



あらかじいてあった3年生の教室をのこちゃんがおそおそのぞくと、たまたま、そしてバッチリ鈴木すずき先輩せんぱいと目が合ってしまい、早速さっそくだれめるのか?と意気いき揚々ようよう出迎でむかえてくれた。


「ち、ちがいますからっ」


あわてて、のこちゃんは、突然とつぜんここをたずねてきた事のあらましを説明する。


「………ああ、うん、その日なら良いよ」


予想よそうはんして、健全けんぜんなおさそいだったからか一瞬いっしゅんきょを突かれた様な顔をしたものの、すぐに快諾かいだくしてくれた鈴木すずき先輩せんぱいである。


「急なんで、ちょっと迷惑めいわくかな?とも思ったんですけど、良かったです!」


本当にイメージ通りだったので、のこちゃんもうれしくなって、つい思っていた事を言ってしまう。


める方のヤツも遠慮えんりょなく言えよ?」


「あ、いや、それは………」


そういえば、先に言っておかないといけない事があったと、のこちゃんは思い出した。


「あっ、あの、わたしと宿福すくねちゃんのほかに、友だちがもう二人ふたり一緒いっしょに行くんですけど…」


「ん?そういうのジブンは気んなんないからさ、大賀美おおがみとそっちにも話ついてんだろ?」


「はい。

それで、宿福すくねちゃんはもちろんなんですけど………みんな"チャムケアの話はしません"から、安心してください!」


「お?、おう」


昨夜ゆうべ、のこちゃんが鈴木すずき先輩せんぱいさそうに当たり、お話しする内容をあれやこれや模索もさくしていた時である。


先ほどの"急にさそったら迷惑めいわくかも知れない可能性"と同時に、もしかしてケアビースティとキューティーは、鈴木すずき先輩せんぱい的に語感ごかんているのかも知れない!と考えいたったのだ。


ならば、カッコ良い思い出と言いつつ忌避きひする理由もちる上、のこちゃんが想像する以上にチャムケアについては慎重しんちょうあつかわねばならず、むしろ話題になる可能性をさき排除はいじょする事で鈴木すずき先輩せんぱいが楽しく参加しやすくなるのではないか?


のこちゃん自身にとってみればかえがえすも残念な決断けつだんなのだが、のこちゃんのおさそいに快諾かいだくしてくれた鈴木すずき先輩せんぱいへの誠意せいいとして、それは必要ひつよう宣言せんげんでもあったのだ。


「あー、剣持けんもちだったっけ………何で、そんなつらそうにしてんだよ」


真剣しんけんな顔をして何を言い出すのかと思えばコレだったので、若干じゃっかんあきれ気味な鈴木すずき先輩せんぱいである。


「おづかい、ありがとうございます……でも、わたしは大丈夫だいじょうぶですから!」


そう、たとえ友人たちと楽しくチャムケアの話が出来できずとも、のこちゃんのたましいは、つねにチャムケアと共にあるのだ。


何もおそれる事はない。


それはそれとして、後でカナハちゃんにレイナーでメッセージを送ろうとか思いながら、心の均衡きんこうはかるのこちゃんであった。



休み時間も終わりつつあり、あらためて宿福すくねの方からもくわしい説明があるむねだけ伝えて去ろうとしたのこちゃんを、鈴木すずき先輩せんぱいは呼び止めた。


「なぁ、剣持けんもちさ」


「え…あ、はい?」


「何か、そっちこそ変な気つかってるみたいだけど、あれだ……ジブンがチャムケアの事をにごしたのは、中三にもなってどうかなって思っただけなんで、剣持けんもちが好きな事をげるのはちがうって言うかさ」


「…………………」


剣持けんもちが話したいなら、話せば良いじゃないかな。

ジブンがあんまり分かんないのは本当なんだけど、それとこれは関係無いからさ」


そう言いながら少し苦笑にがわらいの鈴木すずき先輩せんぱいに、のこちゃんは思わず満面まんめんみでこたえた。


「分かりました!じゃあこれからは、色々と解説かいせつしながらチャムケアの事、お話ししますね!!」


あれ?面倒めんどうくさいスイッチ入れちゃったかな的な表情の鈴木すずき先輩せんぱいにぺこりと一礼いちれいすると、のこちゃんは、それまでと一転いってんしたウキウキとした足取あしどりで自分の教室へもどった。


鈴木すずき先輩せんぱいが、些細ささいな事を気にしない度量どりょうひろさである事や、宿福すくねと仲の良い事は大きいのだろう。


しかし、のこちゃん自身とは、昨日きのう今日きょう間柄あいだがらなのだ。


それがここまでスムーズに良い方向へ事がはこぶとは、カナハちゃんとも知りあうけになったくだんめぐり合わせといい、ひょっとすると本当にごえんがあるのかも知れないとのこちゃんは思う。


それにしても、鈴木すずき先輩せんぱいが良い人なのは、十分じゅうぶんわかっていた。


ただ、やはり……やはりそうなのだ。


チャムケア好きは当然とうぜんとしても、チャムケアがえんで知りあう人にも悪い人はいない。


それだけ、チャムケアは素晴らしいコンテンツであり、長年にわたって愛され続けている理由もよく分かるというもの。


こうなれば、宿福すくねそそのかす計画に加え、鈴木すずき先輩せんぱいにもさり気なく本腰ほんごしを入れてチャムケアを布教ふきょうするしかないではないか。


これは、断念だんねんしていた学校内でチャムケアをかたる日々が、そう遠くない未来に実現する流れがこの身に来ているのだ。


まだカナハちゃんと二人きりのチャムケア専用せんようのグループもきっとにぎやかになるぞと、あらたな皮算用かわざんようを立てながら、のこちゃんのテンションは最高潮さいこうちょうであった。



その日の夜、のこちゃんのそんな調子に乗った展望てんぼうをレイナーで知らされたカナハちゃんは、諸手もろてげて支持しじしたという。


確かに、ツッコミ担当たんとうのメンバーが、このレイナーグループには必要ひつようなのかも知れない。



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ついに、みなで遊びへ出かける前のばんである。



当然ながら、必要な物はすでにそろえて、きょう姉さんからもらったデイパックにまとめてあった。


ダークグレイがちょっと地味な印象なものの、きょう姉さんが学生時代に使っていたおしゃれ系のデザインで、作りはしっかりしている。


本格的な山歩きをするつもりはないとは言え、実質じっしつハイキングな感じなのでリュックっぽい物を貸して欲しいと相談した所、もう使わないからと押し入れから出してきてそのままくれたのだ。


ちなみに、きょう姉さんのげんれば、黄色やオレンジといった柑橘かんきつ系の色だと春に虫がたかるからやめた方が良いらしい。


お弁当は早起きして自分で作ろうとしたのこちゃんであるのだが、当日の予定を家族に話した所、他の子たちも一緒いっしょにつまめる物を持って行きなさいという理由で、急遽きゅうきょ祖母が用意してくれる事となった。


確かに、その方がお弁当のクオリティーは保証付ほしょうつきになるとは言え、いささか強引に説得せっとくされた様な気もする。


首をかしげつつも、これで準備じゅんび万端ばんたんととのったとあり、のこちゃんは祖父母ときょう姉さんにおやすみなさいを言ってさっさと布団ふとんもぐってしまった。


もちろん、早起きの予定は変更へんこうせずに、祖母をお手伝いするつもりなのだ。


しかし、いつもであれば就寝しゅうしん前に録画してある番組のチェックやら、チャムケアの見返しを楽しむ時間である。


特にチャムケアは、どのシリーズタイトルにも視聴しちょうするたびに新しい発見があるので、決して見飽みあきる事がない。


朝寝坊しない事を鉄のおきてとして、みずら設定した入眠にゅうみん時間までは、テレビの前に座っているのが夜のルーティンとなっていた。


「でも、今夜は、しかたないよね」


未練みれんが無い訳ではないものの、より楽しみな明日にそなえて、のこちゃんは電気を消してキッパリと目をじる。


間もなく、録画機の時計表示だけが主張しゅちょうする暗い部屋に、小さな寝息ねいきが聞こえてきた。


どうやら、のこちゃんが少しだけ危惧きぐしていた"遠足などの前の夜に興奮こうふんして目がえてしまう現象げんしょう"は起こらず、すんなりとねむりに落ちれたのだろう。


はからずも、自分で決めた時間に寝る習慣しゅうかん有効ゆうこうだったのかも知れない。


そして、のこちゃんは夢を見ていた。



のこちゃんがチャムケアを意識いしきし始めたのは、日曜日の朝にテレビを見る習慣しゅうかんがついた、小学校1年生のころである。



都内の小学校へ上がってすぐにこちらへ転校した事もあり、佐橋さはしの家へ引き取られてしばらくは、まわりにお友だちどころか顔見知りもだれ一人としていなかった。


朝こそ地域ちいき主導しゅどうの集団登校にくっついて行く形だったものの、お父さんのうわさからなのか教室でのこちゃんに話しかけるクラスメイトはおらず、一人でとぼとぼと下校する毎日が続いた。


1年生は、三々さんさん五々ごごではありながらも、まだ地域ちいきごとにまとまって下校している時期じきである。


後から聞いた話によれば、小学校から家までの距離きょりがそれほど遠くなかった事と、近所にクラスメイトがいなかった事もかさなっての状況じょうきょうではあったらしい。


そんな日々ひびの中では、何か楽しみを見出みいだすとなると、きょう姉さんのみょう充実じゅうじつしている特撮ヒーロー作品ライブラリーをかたぱしから視聴しちょうするくらいしかなかったとも言える。


もちろん、きょう姉さんにすすめられるままにという、ただきはつくものの。


「このてつさんのお父さんも時空刑事じくうけいじでね、敵につかまっちゃってるんだよ」


「おとうさんが!」


ただでさえジャンルに対する素養そようがあり、何でもに受けがちなのが幼年期ならば、やはりそれら作品群さくひんぐん影響えいきょうはのこちゃんにも大きかったのだろう。


きょう姉さん一押いちおしである時空刑事じくうけいじシリーズの主人公"吉祥寺きちじょうじてつ"がかわジャンを着用していたキャラだったので、衣料品いりょうひんを求めるため家族でお買い物に出かけた際、ピンクやフリルの付いた可愛らしい服よりもかわジャンへ興味きょうみを持ったのこちゃんに祖母が目を丸くした事もある。


のこちゃんは、かなり率先そっせんして特撮ヒーロー作品に関心かんしんを向ける様になり、シュープリム戦団シリーズとフルヘルムナイトシリーズの本放送をチェックするだんいたって、ついに同じ放送枠ほうそうわくであるチャムケアに出会ったのだ。


あの、仲間をて共に困難こんなんな目標に立ち向かい、熱い信念しんねんかてとしておのれこぶしで悪い状態じょうたいくつがえして行く、かがやく少女たちの物語である。


「おお…おお…おおお……」


チャムケアの劇中にえがかれるその作風は、のこちゃんから、決して順調じゅんちょうとは言いがた現実げんじつ一時ひとときわすれさせてくれた。


正確には、一時ひとときどころか、全身ぜんしん全霊ぜんれいでのめり込んだ訳なのだが。



そのころ放送していたのは、『ラックネスサージチャムケア!』である。


チャムケアシリーズ十周年じゅっしゅうねん記念きねん作品とあって、毎回OP冒頭ぼうとう歴代れきだいチャムケアたちが、わるわる番組の長寿ちょうじゅいわ挨拶あいさつをする企画きかくになっていた。


そう言えば、過去かこさく興味きょうみを持つけになったのもこれだよなぁと、夢の中でのこちゃんはなつかしく思い出す。


きょう姉さんの解説かいせつによると、主人公が変身するケアマブリーは、むかし同じ会社が製作せいさくして大ヒットしたロボットアニメの必殺技を取り込んでいるとの事で、作品に歴史れきしありと感心かんしんしきりなのこちゃんだった。


「まぶりーとまほぅぅぅく!」


「あっはっは、似てるよ、のこちゃん」


それからは、放送中の作品を録画ろくがする自分だけの環境かんきょうや、過去かこさく視聴しちょうする方法などをきょう姉さんに相談したりと、大好きになったチャムケアを追いかける日々ひびの始まりである。


もちろん、のこちゃんの立場としては学校のお勉強もがんばらないといけないものの、"それはそれ、これはこれ"なので、子供心に気合きあいで何とかしてやろうという活力かつりょくが生まれる結果にいたった。


もう、れない場所に来てしまった程度ていどの事では、気持ちをしずめてなどいられないのだ。


「この、けあまぶりーは、もーれつなんだかやー!」


われながら単純たんじゅんだよねぇとあきれつつも、悪い気のしないのこちゃんはねむりをさらふかめ、意識いしき手放てばなしていった。



目覚ましがって、のこちゃんの意識いしき瞬時しゅんじ覚醒かくせいする。


まだ午前5時であっても、冬から春へ季節が変わった事を主張しゅちょうする様に、雨戸の隙間すきまからは少し朝陽あさひがこぼれていた。


布団ふとんいきおいよくめくり上がり、のこちゃんは、すかさずガバリと身を起こす。


普段から寝起きは良い方なのだが、遊びに行く日の朝となると、比較ひかくにならないほどスイッチの入りが迅速じんそくになるのだ。


頭もハッキリしている。


「よしっ」


のこちゃんは思い切り立ち上がると、すぐに着替え始めた。


もう、肌寒はだざむさは気にならない。



――――――――――――――――



待ち合わせの場所へ向かう途中とちゅうで、のこちゃんは、お出かけするとおぼしきおしゃれした姿のカナハちゃんと会った。


鈴木すずき先輩せんぱいとカナハちゃんに初めて出会った、あの歩道である。


制服せいふく姿すがた可愛かわいかったが、明るいすみれ色と白のコーディネイトがいかにもお嬢様じょうさまっぽくて、のこちゃんの目から見てもカナハちゃんはかがやいていた。


しかも、それがチャムケアを愛好あいこうする同志どうしとなれば、例え小学生であろうとのこちゃんにとってはなかなか心強い存在だ。


天気が良いので、ご両親と遊びに行くのだと言う。


カナハちゃんのご両親もにこやかに、のこちゃんへ会釈えしゃくする。


「お嬢様じょうさまは、自家用車とかで行動するのかと思ってたよ」


「確かに、うちの学校にはお嬢様じょうさま系が多いですけど、わたしは違いますよ~」


電車通学ですしとカナハちゃんは笑う。


「お散歩がてら、都内の方へお買い物に………チャーミングストアにも寄るつもりです」


「マジか!」


カナハちゃんが小さな声で付け足す行動予定に、のこちゃんは瞠目どうもくする。


チャーミングストアとは、正式には"チャムケア・チャーミングストア"と言い、いくつか店舗てんぽ展開てんかいされている公式のチャムケアグッズ専門店である。


「まさか、新展開しんてんかいのコスメねらいか、カナハちゃん………」


カナハちゃんはニヤリと笑うと、夜にメッセージと戦利品せんりひんの画像を送りますとささやいて、ご両親と共に駅へ向かってしまった。


してやられた。


まだメイクそのものに手を出す気がないとは言え、劇中のアイテムとなれば、話は変わってくる。


のこちゃんとて、チャーミングストアには、きょう姉さんに連れられて何度か行った事があった。


しかし、くだんの事件や事故が都内とない各所かくしょみょうに起きている状況じょうきょうもあって言いだしづらく、最近はとんとご無沙汰ぶさただったのだ。


横浜だとさらに遠くなるし、関西は論外ろんがいで、期間限定の出張しゅっちょう店舗てんぽも夏休みならこちらへも来そうな気がするものの、やはり現在だとむずかしい。


当然ながら、まごまごしている間にも商品は変わって行く。


シリーズ作品が新しく始まった時期ともなれば尚更なおさらで、チャーミングストアでしか手に入らないラインナップもあり、のこちゃんも気が気ではなかったのだ。


「……カナハちゃん、あなどがたしっ」


むうとうなりながらも、朝のニュースでは取り立てて事件がほうじられていなかった事を思い出しつつ、無事ぶじで帰れよとカナハちゃん一家の背中にいのるのこちゃんであった。



みなとの待ち合わせは、駅近くの公園である。


まだほかに誰も来ていないので、のこちゃんはデイパックをかかえて、そなけの木製もくせいながベンチに座る。


手伝った祖母のお弁当は、予想よそうどお出色しゅっしょく出来できなので、お昼が楽しみだ。


祖母とのこちゃんが楽しげにあれやこれやとさわぎながらお弁当を作っていると、寝ていられなかったのか祖父も早く起きてきて、朝食は一緒いっしょにとった。


きょう姉さんは、大がかりな店舗てんぽ模様替もよえがえがあるとかで、早くから出勤しゅっきんしてしまった。


陽射ひざしがやわらかく風もおだやかで、今日晴れて本当に良かったと、のこちゃんは思う。


そう言えば、昨夜ゆうべは、チャムケアを見始めたころの夢を見た様な気がしていた。


「こうなっちゃったんだから、しょうがないよねぇ………」


青空を見上げながら、ふと、将来しょうらいは何かしらチャムケアシリーズに係わる仕事が出来たら良いなと思う。


「絵の腕前うでまえは、微妙びみょうなんだけどねぇ………」


鈴木すずき先輩せんぱいの所へ部活をしぼることにした宿福すくねちゃんがいそがしくて、不参加になってしまった春の映画には、ひなちゃんとまなっちゃんが一緒いっしょに行ってくれるらしい。


例え過去につらい何かがあったとしても、これから起こるであろう楽しい事に、あえてそれを紐付ひもづける理由は無い。


のこちゃんは、いま幸せなのである。

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