03 のこちゃんの夢
長めの休み時間とあって、
金属製の
「私立スタープレーン学園の小学校?……いい
「そうそう、よく見たらブレザーと帽子がお
私立スタープレーン学園は、
最近の
特に今日は、のこちゃんが
「それで、好きなチャムケアやタイトルを教え合ってて、スマホの電池がすぐ無くなっちゃうんだよねぇ」
「のこが楽しそうで何よりだよ」
胸の学年バッヂから、のこちゃんたちよりも上級の3年生である事が分かる。
「あれ、
「うわ、
「あ?
「いやその、
「おっ」
鬼の様な
そう
身長も、
体育会系部活で
引き
ただ、背中に届く長めストレートの髪は
もしかすると、そんな辺りが鬼の部分なのかも知れない。
そう
ぼんやりと失礼な事を考えていたのこちゃんであったが、よく見ればその髪には
「ああっ、ケアビース…」
「!」
顔色を変えた
その一連の
女子とは言え、
あまりにも
「のこ………え、
校舎から出た所で、バタンと金属製の
のこちゃんが
少し
「まさか、あん時のやつが
「えへへへ」
「笑ってるし」
ムッとした
それならば、
そして何より、チャムケア好きに悪い人はいない。
「
「ただ、昔見たやつをたまたま
カッコ良かったからさ……」
「あの回は、
カナハちゃんともレイナーで
「何で、お前たちレイナー登録してんだよ」
ちなみに、"レイナー"とは、スマホで絶大なシェアを
「おかげさまですっかり
いつでも、
カナハちゃんも、
「おかげさまって言うなっ」
"カナハ"は、アプリ上で女の子が
勿論、のこちゃんの場合は、"のこ"と設定した。
「のこ?、ああ、
「え?……………」
一瞬、果たしてそうなのかな?と
自分で"
「……まぁ、そうですかねぇ」
なので、変な間を作りながらも
そんな様子に、
「まぁ、
「それじゃあ………」
「ん、それほど
チャムケア
「しかたないですね」
「まぁ、
もし、名前の事で
もし相手がいるなら、カッチリ
急に元気を無くしてしまったのこちゃんに何を思ったか、
「し、しめる?」
びっくりしたのこちゃんが目を白黒させていると、
「気にしている事、
そう言うと、
なるほど、基本的には良い人だけど、ああいう所が"鬼"なんだろうなぁとぼんやり考えながら見送ったのこちゃんである。
――――――――――――――――
「いやいや、
何やら急いでいた
加えて、二人の教室からはのこちゃんのいる教室が
「え、
のこちゃんが
「でも、すくねちゃん、思いっきり本人に
「いや、あれはその…ごにょごにょ」
「ああ、
「知っているのか、まなっちゃん!」
「すくねちゃんは、
恐らくきょう姉さんからの受け売りと
ちなみに、流されてしまったのこちゃんは、小ネタを
「あの
「え、
意外な方向の話だったので、のこちゃんが確認すると、そうだよと
「"鬼天使"と書いて、キューティーと読ませるそうだね?すくねちゃん」
「まぁね」
話しをパスされた
名前に
「小学校へ上がってからイジられ始めて、何度もお母さんに
大人になって、
「お父さんは?」
「いないってさ。
そう言われてみれば、
「なるほど、それで"
のこちゃんがポツリと
「それで、のこが
「のこちゃん、
二人が心配してくれている事が
「
「あっ………悪い、
「もう、そんなのはとっくの昔に通りすぎちまってらぁ、気にすんねぇ」
「何で、急にべらんめい調なんだい?」
そんなおどけた様子に、のこちゃんが
「まぁ、わたしの場合は、自分でこのままが良いって決めたからね。
本当に、
ついでに、そう言えばあっちでチャムケアが放送される時は"輝的美天使"と表記されるんだったな等と、
「
「のこ……」
ならば、のこちゃんは、それに
何より、
もらった
ちょっとだけお父さんにも
そもそも、
とは言え、
なので、
「いい
でも、あたしも分んねぇなぁ……そもそも、名前の事は知ってるけど、そばにいて気にした事無いしさ」
それだろうねと、
「
だから、そんな事を気にしない人たちに
のこちゃんは、ふむむと二人の言葉を
「それって、
………だけど、レイナーのチャムケア
「そりゃ、そうだろう」
「それは、
「むう」
「まぁ、
相変わらずぶれないのこちゃんの
その
「勝手に
人見知りな所あるし、しかも三年生が
この場にいない
少し強引に参加を
「うすは、
「いや、ひなちゃんは、のこちゃんがそうしたいと言うなら大丈夫だと思うよ。
理由が理由だからね」
「しっ………そ、そうなの?」
本当に何か知っていそうな
「だったら、休みの予定くらいは、
「のこ、
「ここで、わたしがやらなきゃ、
「………………」
「………………」
言いたい事は何となく分かったものの、
見守られている
ちなみにケアメルティとは、『スカウトチャムケア♯』に登場する、勝ち気な主人公チャムケアである。
ピンク主体で全身フリルの可愛いデザインなものの、より
それまで可愛さにばかり目を
――――――――――――――――
翌日、
ただ、よく考えてみたら遊ぶ予定の日が連休に入ってすぐとあって、こんな急にお
その辺り、
これまでの
「ち、
「………ああ、うん、その日なら良いよ」
「急なんで、ちょっと
本当にイメージ通りだったので、のこちゃんも
「
「あ、いや、それは………」
そういえば、先に言っておかないといけない事があったと、のこちゃんは思い出した。
「あっ、あの、わたしと
「ん?そういうのジブンは気んなんないからさ、
「はい。
それで、
「お?、おう」
先ほどの"急に
ならば、カッコ良い思い出と言いつつ
のこちゃん自身にとってみれば
「あー、
「お
そう、
何も
それはそれとして、後でカナハちゃんにレイナーでメッセージを送ろうとか思いながら、心の
休み時間も終わりつつあり、あらためて
「なぁ、
「え…あ、はい?」
「何か、そっちこそ変な気つかってるみたいだけど、あれだ……ジブンがチャムケアの事をにごしたのは、中三にもなってどうかなって思っただけなんで、
「…………………」
「
ジブンがあんまり分かんないのは本当なんだけど、それとこれは関係無いからさ」
そう言いながら少し
「分かりました!じゃあこれからは、色々と
あれ?
しかし、のこちゃん自身とは、
それがここまでスムーズに良い方向へ事が
それにしても、
ただ、やはり……やはりそうなのだ。
チャムケア好きは
それだけ、チャムケアは素晴らしいコンテンツであり、長年にわたって愛され続けている理由もよく分かるというもの。
こうなれば、
これは、
まだカナハちゃんと二人きりのチャムケア
その日の夜、のこちゃんのそんな調子に乗った
確かに、ツッコミ
――――――――――――――――
当然ながら、必要な物はすでに
ダークグレイがちょっと地味な印象なものの、きょう姉さんが学生時代に使っていたおしゃれ系のデザインで、作りはしっかりしている。
本格的な山歩きをするつもりはないとは言え、
ちなみに、きょう姉さんの
お弁当は早起きして自分で作ろうとしたのこちゃんであるのだが、当日の予定を家族に話した所、他の子たちも
確かに、その方がお弁当のクオリティーは
首を
もちろん、早起きの予定は
しかし、いつもであれば
特にチャムケアは、どのシリーズタイトルにも
朝寝坊しない事を鉄の
「でも、今夜は、しかたないよね」
間もなく、録画機の時計表示だけが
どうやら、のこちゃんが少しだけ
はからずも、自分で決めた時間に寝る
そして、のこちゃんは夢を見ていた。
のこちゃんがチャムケアを
都内の小学校へ上がってすぐにこちらへ転校した事もあり、
朝こそ
1年生は、
後から聞いた話によれば、小学校から家までの
そんな
もちろん、きょう姉さんに
「この
「おとうさんが!」
ただでさえジャンルに対する
きょう姉さん
のこちゃんは、かなり
あの、仲間を
「おお…おお…おおお……」
チャムケアの劇中に
正確には、
その
チャムケアシリーズ
そう言えば、
きょう姉さんの
「まぶりーとまほぅぅぅく!」
「あっはっは、似てるよ、のこちゃん」
それからは、放送中の作品を
もちろん、のこちゃんの立場としては学校のお勉強もがんばらないといけないものの、"それはそれ、これはこれ"なので、子供心に
もう、
「この、けあまぶりーは、もーれつなんだかやー!」
目覚ましが
まだ午前5時であっても、冬から春へ季節が変わった事を
普段から寝起きは良い方なのだが、遊びに行く日の朝となると、
頭もハッキリしている。
「よしっ」
のこちゃんは思い切り立ち上がると、すぐに着替え始めた。
もう、
――――――――――――――――
待ち合わせの場所へ向かう
しかも、それがチャムケアを
天気が良いので、ご両親と遊びに行くのだと言う。
カナハちゃんのご両親もにこやかに、のこちゃんへ
「お
「確かに、うちの学校にはお
電車通学ですしとカナハちゃんは笑う。
「お散歩がてら、都内の方へお買い物に………チャーミングストアにも寄るつもりです」
「マジか!」
カナハちゃんが小さな声で付け足す行動予定に、のこちゃんは
チャーミングストアとは、正式には"チャムケア・チャーミングストア"と言い、
「まさか、
カナハちゃんはニヤリと笑うと、夜にメッセージと
してやられた。
まだメイクそのものに手を出す気がないとは言え、劇中のアイテムとなれば、話は変わってくる。
のこちゃんとて、チャーミングストアには、きょう姉さんに連れられて何度か行った事があった。
しかし、
横浜だと
当然ながら、まごまごしている間にも商品は変わって行く。
シリーズ作品が新しく始まった時期ともなれば
「……カナハちゃん、
むうと
まだ
手伝った祖母のお弁当は、
祖母とのこちゃんが楽しげにあれやこれやと
きょう姉さんは、大がかりな
そう言えば、
「こうなっちゃったんだから、しょうがないよねぇ………」
青空を見上げながら、ふと、
「絵の
例え過去に
のこちゃんは、いま幸せなのである。
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