BUG

柚里カオリ

BUG

 人間は、異なることを嫌う生き物だ。


 自分の考えと相反するものを『普通ではない』と定義し、それがたとえ自分自身の中に生じた一つの選択肢であったとしても、『それは間違っている』と否定して、群れの中にいることを好む。


 他人と異なることを極度に恐れ、普通ではないものを徹底的に排除する。異物とみなし、その存在を『バグ』として、悪とする。


 だが、『バグ』は本当に『バグ』であるのだろうか。多種多様な人間の考えを、ひとくくりに『バグ』とみなし、排除するべきなのだろうか。『バグ』は、本当に悪であるのだろうか。


 いったい誰が、『バグ』を『バグ』だと定義するのだろうか。


 自分自身か、はたまた他人か。それとも、神か。


 あなたは本当に『バグ』ではないと、言えるのだろうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る