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見た目だけはスペシャルなパツキン黒ギャルのメイコちゃんは、自意識と承認欲求を拗らせ過ぎたあまり基本的に男を見下しています。
具体的にどのくらい見下しているかと言えば、SNSに横行する自称フェミニスト達の概ね一割ぶんくらい見下してます。
つまり男を社会のゴミ同然に思っています。社会を支える人員の半分が男性であることを忘れている典型例です。俗に言う世間知らずです。
なので異種族とは言えオスに手も足も出なかった純然たる事実が相当に堪えたらしく、背筋を丸め、とぼとぼ歩いています。
この調子で、他人の痛みを理解できる素敵な黒ギャルになりましょう。メイコちゃんは地黒なので白ギャルにはなれません。
それはそれとして、次の罠です。
災難は畳み掛けてこそ災難なのです。ドロップアウトはあっても、ギブアップはありません。
「きゃあぁぁぁぁっ!?」
悲鳴だけは可愛いメイコちゃん。ここが電車だったら近くに乗っていたサラリーマンが無条件で痴漢冤罪をかけられることでしょう。
そういうところです。
さあ。まんまと起動スイッチを踏んでしまい、落ちてきた吊り天井。
じゃらじゃらと鳴る鎖の擦れる音。例え全盛期のボルトでも逃げられない速度と範囲です。
全盛期のボルトでも無理ということは、つまり人類に打つ手はありません。諦めずとも試合終了です。
「ごぇ」
床と天井にサンドイッチされるメイコちゃん。
サンドイッチと言えばSNS映えする食事の上位に位置するので、ネット中毒の承認欲求モンスターなメイコちゃんとしては、きっと本望でしょう。
「が、あぁ、潰れっ、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっっ!!」
棘が生えてるわけでも熱されてるわけでも電気が流れているわけでもないのに、滅茶苦茶な叫びよう。かなり大袈裟です。
サッカーでは相手選手との衝突時、オーバーに痛がると芸術点扱いで時々ファウルを貰えますが、生憎とダンジョンに審判は居ないため無意味です。
ただし仮病は社会人必須スキルのひとつなので、覚えておいて損はありません。
目には目を、歯には歯を、ブラック企業にはブラック社員として立ち向かいましょう。ボイスレコーダーは常に懐へ忍ばせておくのが常識です。
「あぐ、あ、うぐっ」
おっと大変。メイコちゃんが泣きそうです。どうやら無駄にスタイルが良くて胸が大きい分、肺周りの圧迫感が強いみたいです。
或いは、もしかすると閉所恐怖症なのかも知れません。まあ大抵の人間は突然身動きを奪われ、閉塞感に襲われれば、パニックを起こしますが。
当ダンジョンの創造主は世間をなめてる黒ギャルを酷い目に遭わせたいだけで、大怪我をさせたいわけでも泣かせたいわけでもありません。
なので吊り天井が引き上がって行きます。
真に賢く性格の悪い加害者は、イジメとイジリの仕分けが非常に巧みなのです。
「えほっ、けほっ……うぅ」
解放され、咳き込むメイコちゃん。
目尻に涙を溜め、俯く姿はマジ泣き寸前。
しかし、どうにか寸前のまま指先で雫を拭い、前を睨みました。
良かったですね。
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