第4話 事後処理

 そのカードを手に取るとそいつの顔写真?があり、名前やらステータスが記載されている。

 鑑定と同じで、名前は赤かった。

 鑑定を使ってみると、コンディションカードとある。

 コンディションカードとは何か?と思いながら凝視すると詳細が見えた。

 目の前に半透明な画面が現れてそこに見えている。

 おお!流石ゲームだ。 

 すごい技術だなと感心したよ。

 小さくなれと思うと小さくなり、コツがいるが、どうやら自在に大きさや位置を調整できるようだ。


 コンディションカードの説明はこうだ。


 コンディションカード

 己の名前やパラメーターなどを記した個人情報の塊。

 コンディションカードオープンと念じるか言葉にすればコンディションカードが体の任意の場所に顕現できる。指定のない場合左手の甲から出る。

 コンディションカードは顕現していれば誰にでも見える。

 本人がコンディションカードに触れながら体から引き出すと体から出せるが、体から離すと1時間程すると霧散して体内に戻る。


 死亡時は額又は心臓の辺りからカードが出る。


 そいつのカードにはこうあった。


 名前 ジジンバウル

 レベル 6

 職業 盗賊

 称号 犯罪者


 少な!と思うも、他も同じ感じだ。


 試しに自分のステータスを見る事にし、ステータスオープンと発した。


 名前 アッテンボロー

 年齢 19

 レベル 7

 体力 21+補正5

 魔力 21+補正5

 体強 21+補正5

 魔強 21+補正5

 ボーナス残り 6

 第1職業 一般人

 第2職業 英雄

【称号】

 盗賊討伐者


【英雄固有スキル】

 鑑定 レベル1

【エクストラスキル】

 強化

【一般スキル】

 転移 レベル1

 言語理解


 後は装備とかの項目だな。

 ステータスカードオープンと念じるも何も起こらず。


 コンディション、コンディションオープンと発するも反応なし。

 コンディションカードオープンと発すると左手の甲に先程の盗賊と同じ様なカードが現れた。

 おお!出たな!しかし表示項目が盗賊と変わらない。


 名前 アッテンボロー

 年齢 19

 レベル 7

 職業 一般人

 称号 盗賊討伐者


 なる程!と唸る。

 取り敢えずステータスの内容を考える。

 レベル 7

 体力 22+補正5

 ・

 ・

 ボーナス 6


 とあるが、キャラメイキングの時はレベル 1、体力 15+補正5だった。

 次に上がった時に判明するが、

 体力は

 15が21になっており、上がったレベル分上がっている。

 また、ボーナスは補正値へのボーナスのようだ。6という事はレベルが1上がると1貰えるようだ。


 取り敢えずこうした。


 名前 アッテンボロー

 年齢 19

 レベル 7

 体力 21+補正8

 魔力 21+補正5

 体強 21+補正8

 魔強 21+補正5

 ボーナス残り 0

 第1職業 一般人

 第2職業 英雄

【称号 】

 盗賊討伐者

【英雄固有スキル】

 鑑定 レベル1

【エクストラスキル】

 強化

【一般スキル】

 転移 レベル1

 言語理解



 今は魔法が使えないから補正を近接戦闘向けの想定に振った。

 この補正値は自由に変更できるようだ。


 取り敢えず息が整ったので、逃げようとしている所を倒した盗賊のカードを5枚手に持ち、襲われていた人達の所に向かう。


 何人かは警戒したようだが、中年の男が1人歩み出て来たので、俺はハッとなり剣を鞘に収めてからゆっくりと近付いて行き、俺の方から先に声を掛けた。


「賊はもう倒しきりましたか?」


「あっはい。何処のどなたか存じませんが、冒険者様のお陰で助かりました。私は近くの町で商人を営んでおりますカノープスと申します。お陰様で奴隷に数人の被害が出る程度で済みました」


「奴隷ですか?」


「はい。いちいち冒険者を雇っていてはお金が掛かって仕方がありませんから、私共のような商人は行商の護衛を自前の戦闘奴隷でするのが一般的です。今部下や奴隷に怪我人の治療と盗賊のコンディションカード、装備品を剥ぎ取って集めております。失礼ですが冒険者様ですよね?」


「ああ。そんな感じだ。名前は・・・」


 あれ?俺は誰だ?名前が出て来ない。取り敢えずキャラネームを名乗ろう。


「・・アッテンボローです」


「アッテンボロー様はこれからどうなさるので?」


「実は記憶をなくしていて彷徨っていたんだ。カノープスさんの目的地か、通りすがりの町に連れて行ってくれると有り難いのですが」


「それでしたら是非一緒に町に行きましょう。町に着きましたら一緒に盗賊のカードを引き渡して懸賞金などを頂きましょう。今はアッテンボロー様が倒された分のカードと装備を分けますので少しお待ち下さい」


「そうして貰えると助かるよ。ここらは盗賊が多いのか?」


「我らのような商隊を襲うのはあまり聞きませんが、小人数の旅人は時おり被害に遭う者がおります」


【レベルアップ!】

 パンパカパーンとアラームと共にレベルアップした旨が頭の中に響き渡った。


「カノープスさん、盗賊が今死にませんでした?」


「多分頭領でしょう。アッテンボロー様が胸を刺されても直ぐに死ななかった者がいましたが、今しがた死んだのでしょうな。頭領のようですからカードでも見てみますか」 


 確かに俺が倒して刺した奴だ。

 スキンヘッドで筋骨隆々な如何にもといった30歳前後だ。


 名前 ジェイン

 レベル 27

 職業  盗賊

 称号  重犯罪人


「凄いですな。かなりのレベルですが、見ていた者の話ですとスキルを使われたとか?圧倒的だったと聞いております」


「装備の違いからですよ。まあ、剣術の腕にはそこそこ自信はありますが」


 話しはそこそこで俺も協力していたが、ふと見ると死体を片付ける者の中に物凄く綺麗な女がおり、NPCの顔面偏差値はやたらと高いな!と少し見惚れていた。

 うん。俺の理想に近いな。


 程なくして後始末が終わったので、準備が出来次第出発となった。

 因みに奴隷の死体は装備を回収した後、掘った穴に埋めて盗賊は街道の脇などに放り出して放置だった。

 俺は商隊主のカノープスさんが御者をしている馬車に乗り、今は御者席にいる。

 本来は奴隷に御者をさせるが、先の戦闘で何人か死んだのでこれ以上護衛を割けないから自分が御者をするしかないと言っていた。 


 しかし、良くできたゲームだなあと感心した。

 AIの発達が目まぐるしいとは聞いているが、話していてもNPCと話している感じがせず、人と話しているとしか思えないんだよな。


 無駄に懲り過ぎだよな。

 臭いとかまじでどうやってんだよ?と思うも、さっきレベルアップしたようだからステータスを見て考えに耽けようと思うのであった。

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