第80話 肉うどん問題
どうやら、緒方巡査の長い話を総合すると、ルンが軽トラから5m以上離れても何ともならなかったとのこと。
「それは本当か?」
「うん、本当だよ晴兄ちゃん。わたしもびっくりしちゃった!」
「何
「いや、その件での相談もあって、急いで駐在所に戻ってきたんです。」
「そうだったのか。まあいい。でも、もう昼だ。話の続きはメシを食ってからってことにしようか」
「「はい」」
「ん? ところで、何で制服に着替えてきたんだ? 今日は二人とも非番だろうに」
「だって、駐在所の中に私服の女性がいるのを見られたら、地域の方々に何と思われるかなって思いまして……」
「ふむ、まあ、確かにな。」
世間では、警察官
なので、私腹を着た緒方巡査とルンが駐在所の中にいるとなれば、何かで捕まったかオレが連れ込んだかの2択で邪推されてしまう公算が強い。
そうなると、オレの評判はもちろん、警察組織全体の評判がよからぬことになってしまうので、気を遣ったというわけだな。
「で、オレは出前を取るが、お前らはどうする?」
「あ、私も出前にします」
「わたしも」
「せっかくの非番なんだから、また着替えてどっかに食いに行けばいいのに」
「もう、たこ焼き食べたから大丈夫ですよ」
「いや、たこ焼き食べたのに出前取るのか?」
「それはそれ、これはこれです」
ということで、安定の『なかおか屋』からオレは辛味噌ラーメン大盛り、緒方巡査とルンは少し軽めにという事で肉うどんにしていた。
肉うどんって軽食なのかな?
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
昼食も終わり、午後になってルンの検証をすることに。
「ルン? 本当にいいのか? また苦しい思いをするんだぞ?」
「うん、そりゃ苦しいのは嫌だけど、こういうのははっきりさせておきたいし、それに、動ける範囲が広がっていればもっと楽しい事できるかなって」
そうか、そうだよな。
普段はいつも笑顔だからオレ達も忘れがちになるが、軽トラから5mしか離れられないという生活は、他人のオレ達が思っている以上に不自由できついものがあるんだろうな。
「じゃあ始めるか。緒方巡査、
「了解」
駐在所の備品、交通事故や事件現場の現場検証などで使用するメジャーを用意する。
「あとは、救急セットと酸素スプレーもだな」
「了解です」
ルンが苦しくなっても、すぐに軽トラ保護範囲内に戻れば大丈夫だとは思うのだが、念には念を入れて越したことはない。
さあ、検証を始めよう、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます