第4話 冒険者?
「ここはどこですか? わたしはなんでここにいるのですか? わたしはなんで
「いや、落ち着いてください。私はここの駐在所の警察官です。質問の答えですが、同じことを私も聞きたいのです。あなたはどうやってここまできたのですか? なぜ私の軽トラに無断で乗っているのですか?」
「チューザイショ? ケーサツカン? よくわからないです。あ、わたしは冒険者です。これが冒険者証です」
そういうと彼女は衣服の中から一枚の金属プレートを取り出した。そのプレートは、青みがかった銅、青銅でできているらしい。運転免許証よりもひと回り小さい大きさの金属板だ。
そして、そこに書かれている文字は――、
【 Cランク冒険者パーティー
『
ルンシール・ブロンズ 】
そう書かれてはいる。そう、なぜかそう書かれていると知る事が出来る。
「なんで……、なんでオレはこの記号が読めるんだ?!」
そのプレートに羅列されていたのは、日本語でも、英語でも、地球上のどの言語でもなく、まるで記号や象形文字のようなものの連続体だった。
これではまるで……
その時、オレは最近見た異世界物のラノベの設定を思い出した。
「これって、異世界の言語……なのか?」
異世界物ラノベによくある自動言語翻訳? そんな可能性が頭をよぎるが、あわててその考えを頭から追いやろうとする。
オレは何を考えているんだ? もしかしてこれは夢? もしくは寝ぼけているのか? いや、オレはしっかり目覚めていて今は業務遂行中だという自覚も緊張もある。実際、背中には緊張からか、気温も高くないのに嫌な汗が背筋を伝っている。
このようなことは警察学校でも教えてくれなかったし、マニュアルにもないし、経験則としてもどんな先輩警察官でも遭遇したことのないような事案に違いない。
そんな思考が一瞬で頭蓋の中を駆け巡っていた時、彼女が口を開く。
「あの、わたしは、どうしてここにいるのかわかりません。覚えているのは、お兄ちゃんたちと一緒に冒険者ギルドの依頼でリソン村って方の森の中で角イノシシを狩っていた最中に、とっても昏い水たまりに足を踏み入れて、変な光に包まれて穴に落っこちたような感覚がして……」
リソン村? 角イノシシ? リソンとは離村のことだろうか? イノシシに生えているのは角ではなく牙だったはずだ。
それに、何? 冒険者ギルド? そんな名前のカフェとかだろうか? 仮にそうだとしても、そんなこじゃれた設定の店など首都圏にはあってもこの田舎の晴田県なんぞにあるはずもない。ましてやここはその晴田県の中でも田舎の丸舘市であり、しかもこの駐在所はその丸舘氏の外れに位置するのだ。
いろいろ疑問が尽きないが、まずは話を全部聞いてみないことにはな。
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